ただ、それよりも近くの席のお姉さんに思いっきりコーヒーがかかっていたので。彼氏には見えていなかったのか、私だけを心配し続けるんです。さすがにありえないというか……」

 運悪く、そのお姉さんは真っ白のワンピースを着ていたとか。

「彼氏がお姉さんに何も声を掛けないので、私が『すみません!』と頭を下げると、彼氏も『あ、すみません』とだけ言いました。お姉さんの連れの方が、彼のことを珍獣を見るような目で見ていました」

◆“ありえない一言”にドン引き

 そこに店員が大慌てで駆けつけて、お姉さんにシミ抜きやナプキンを手渡した。その様子を見た彼氏は、平然と「じゃあ、行こうか」と言い放ったのだ。

「こいつ正気か……? と思いました。他人の真っ白のワンピースをコーヒーまみれにした挙句、謝罪の言葉もナシ。普通は真っ先に謝りますよね?

 本人も連れの方もビックリしすぎてポカーンですよ。周りの人がヒソヒソ声で『ありえない』『かわいそう』って話しているのが聞こえました。もう一緒にいるのが恥ずかしすぎて」

 萌香さんは、いったん店の外に彼氏と出た。そこで、お姉さんに謝罪してクリーニング代を支払ってくるように諭した。

「彼は終始『なんで?』『そんなん店員がなんとかするっしょ』と悪びれない様子で。最終的に『しつこくない? うちらが汚れてないならそれでいいじゃん』と開き直ったんです。さすがにドン引きでした」

 萌香さんは別れを切り出したそうだが、彼は納得がいかないようで別れ話は平行線をたどっているという。「夏が終わる頃には私のことを忘れてほしいですね」と苦笑いだった。まさに“覆水盆に返らず”かもしれない……。

<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720