フリード、クラウン エステート、ジムニー5ドア、スイスポ――24年下半期のクルマの勝者はどれだ?
前回は「2024年上半期ベストヒット」と題して、クルマのトレンドやヒット車種を紹介しましたが、今回はその下半期版として、「次に何がくるのか?」というネクストトレンドを3つのキーワードでまとめました! クルマ編は、今回もモータージャーナリストの岡本幸一郎さんに解説をしていただいています。
キーワード01【フリード】
ホンダのコンパクトミニバン「フリード」の新型モデル(3代目)が6月に発売され、快進撃を続けています。岡本さんも大本命モデルと太鼓判!
「ティザーサイトが立ち上がって間もない頃、あるイベントでフリードがちょっと展示されたんですね。そうしたら長蛇の列ですよ! スーパーカーとかじゃないのに、少しでも早く見たい人がこんなに大勢いるんだと驚きました」(岡本さん)
そもそもフリードとはどのような車種なのでしょうか?
「ちょうどいい、に尽きるかなと思います。取り回しのいいコンパクトなサイズで、だけど室内は広くて3列目までしっかり座れる。絶妙なバランスですね」(岡本さん)
今回のモデルチェンジの一番の変更点はどこでしょう?
「今まで、結構リコールされた『i-DCD』というハイブリッドシステムを最後まで積んでいたのがフリードだったんですね。今回、モデルチェンジで最新の『e:HEV』という、非常に効率も性能も高いシステムに置き換えられています。なので走りが見違えると思います」(岡本さん)
キーワード02【プレミアム価格帯のワゴンに異変?】
プレミアム価格帯、特に輸入車のメルセデスベンツ、BMW、アウディが強いワゴンの領域で異変が起こるのではないか、と岡本さん。
「まず、ワゴンってすっかり減っちゃったんですよね。日本も昔は各メーカーがワゴンをラインナップしてたと思うんですけど、今や数えるほどしかない。アメリカのメーカーに至っては一台もありません。みんなSUVになった。そんな中でも比較的健闘しているのはドイツのメーカーのワゴンです」(岡本さん)
しかし、岡本さんはトヨタ「クラウン エステート」(2024年発売予定)の復活に注目。「エステート」は「クラウン」のステーションワゴンです。
「クラウンはもともとワゴンがあったんですけど、しばらくなかった。今回出る16代目クラウンの実車を見てまいりました。これがひょっとしたらアッパーミドルの輸入車のクラスを食うのではないかと思うような出来栄えですね」(岡本さん)
比較対象は大きさ的にはメルセデスの「Eクラス」、BMWの「5シリーズ」、アウディの「A6」あたりとのこと。
「プレミアム性のある日本のワゴンって最近なかったんです。そこに名乗りを上げたクラウンが、どう受け入れられるかは非常に興味深い。円安で輸入車の価格が上がっていることもあって、これまでドイツのプレミアムブランドのワゴンを買っていた人が、クラウンのエステートに行くんじゃないかなと私は踏んでおります」(岡本さん)
キーワード03【キャラ立ち系続々】
上半期のまとめでは「ランドクルーザー250」「トライトン」と個性が際立っている車種を紹介しましたが、下半期以降もさらに“キャラ立ち系車種”が続々出てくる、と岡本さん。
「下半期に間に合うかはわかりませんが、面白そうな車があります。たとえば『ジムニー5ドア』や『スイフトスポーツ』。スズキで価格もそれほど高くならないでしょう。
あとは『ランドクルーザー』の小さい版が出るという噂もあります。『カローラ クロス』くらいのサイズと言われてますけど、ランクルに恥じない内容で出てくる。ちゃんとラダーフレームを使って、本格的な悪路走破性もあって、デザインはランクル。これ、めちゃめちゃ売れそうな感じしないですか?」(岡本さん)
先に名前が上がったスイフトスポーツはどうでしょうか。
「2023年はスイフト全体の中で、スイフトスポーツの販売比率が5割も行ってるんです。2023年はベース車のスイフトがモデル末期だったので特殊な状況かなと思っていたら、そんなことはなくて、新型スイフトになってからも4割ぐらいの高い販売比率だそうです」(岡本さん)
では、キャラが立っているクルマが売れる理由とは?
「せっかく買うなら面白いものという風に皆さん思ってらっしゃるのではないかと。付加価値ですね。基本性能はもちろん、基本を踏まえた上での付加価値に購入する理由を求めているのではないでしょうか」(岡本さん)
多様化して魅力的な選択肢が増えている今、どのようなトレンドが形成されるか、下半期も目が離せません。
まとめ/柚木安津