竹内都子、芸能界きってのおしどり夫婦の29年。仲良しの秘訣は海外旅行。夢だった“2人芝居”はライフワークに
お笑いコンビ・ピンクの電話の“みやちゃん”として人気を集め、俳優、リポーター、声優など幅広いジャンルで活躍している竹内都子(たけうち・みやこ)さん。
『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)では14年間リポーターを務め、2005年からアニメ『ドラえもん』シリーズ(テレビ朝日系)でジャイアンのママの声を担当。連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)、『燕は戻ってこない』(NHK)、映画『半世界』(阪本順治監督)などに出演。YouTubeチャンネル「みやちゃんねる」では、得意な料理の腕前を活かしてお勧めのお酒のアテ料理の動画などを配信。
菅原大吉さんとタッグを組んだ夫婦印(めおとじるし)プロデュースによる2人芝居『満月〜平成親馬鹿物語〜(改訂版)』(作・演出:水谷龍二)を2024年8月17日(土)の米沢公演を始め、全国5都市で上演する。
◆ホッコリ癒しの“三婆”トリオに
2005年、『ドラマ30 家族善哉』(TBS系)で連続ドラマ初主演を果たし、俳優として多くのドラマ、映画に出演している竹内さん。2023年には『グランマの憂鬱』(フジテレビ系)に出演。
このドラマは、百目鬼(どうめき)村で代々総領を務める主人公・グランマ(百目鬼ミキ=萬田久子)が村に巻き起こるさまざまな問題に「喝!」を入れ、一刀両断していく“痛快ほっこり物語”。竹内さんは、鷲尾真知子さん、駒塚由衣さんとともに、親しみやすいおばちゃんトリオ、通称「三婆(さんばば)」のメイ役を演じた。
――凛としたグランマと対照的な3人組でしたね。
「おもしろかったです。鷲尾さんとも本当に久しぶりにお会いできて。鷲尾さんは、やっぱりさすがだなって思いました。衣装合わせのときに、『私たちは妖精なんでしょう?これは実物の人間というより、妖精という感じだよね』って言ったんですよ。
たしかにそうなんですよね。どこの誰とかいうことじゃなくて、おばあさんなんだけど、フワフワしていて、いつも家の周りをフラフラフラフラしているみたいな(笑)。村のあちこちに顔を出していろんなことを見聞きして、グランマにも心を寄せるから、そういうことなんだなって」
――ホッコリした雰囲気もいい感じでしたね。
「ありがとうございます。あれも結構考えてやったのかな。『どうする?』みたいなことで。ちゃんと場所は言ってないけど、感じとしたら茨城県のどこかの山みたいな田舎という設定で。ちょっとそういう北関東系の訛りがあったほうがいいのかなと思ったんですけど、鷲尾さんは、『私は訛らないでいくわ』って言って、もうちょっとゆっくりしゃべりましょうとか、それぞれにキャラクターを考えてね。楽しかったですね」
――のどかでいいところでしたね。
「そうですよね。だから、やっぱりファンタジーというか、ちょっとそういう緩(ゆる)むような場面を担当させていただきました」
――撮影の休憩時間などはどのように?
「大体3人でお茶を飲んでおしゃべりして。駒さん(駒塚由衣)は、もともと実家が新橋の料亭をやってらっしゃった人なので、すごくお料理が得意なんですよ。それで、タッパーにいろいろなおかずを詰めて『これ食べよう』って、持ってきてくれるんです。だから、休憩時間はそういうのを食べながら、本当に三婆みたいな感じで(笑)。そこを撮ったら、そのまま使えそうな感じでした、本当に(笑)。楽しかったですね」
菅原大吉さんと愛犬・プリマベーラちゃん&チャオちゃんと
◆購入したワインにプレミアが
私生活では交際11年を経て、1995年2月に俳優・菅原大吉さんと結婚。芸能界でもおしどり夫婦として知られている。ふたりともイタリアとワインが大好きで、イタリアへワインツアーに行くほど。95年5月には、結婚を記念して95年の「シャトー・ラフィット・ロートシルト」と「シャトー・ラトゥール」の赤ワイン、それぞれ48本、計96本購入したという。
「95年はブドウの最高の当たり年ということで、毎年結婚記念日に開けるために購入することにしたんですけど、主人が『記念日ならひとり1本じゃ足りないだろう?』って言って96本になりました(笑)」
――プレミアがついてかなり高額になったそうですね。
「そうなんです。買ったときは、たしか1本が1万4千円くらいだったんです。赤ワインがまだブームになる前で。ああいうちょっといいワインは、10年ぐらい置かないとおいしくないって言われているんですよね。
でも、これは記念のものだから結婚記念日に1本ずつ飲んでいくことにしようって言っていたんですけど、やっぱりおいしくないときに、いいワインを飲むのはもったいないからって言って、飲まずにずっと置いてあったんです。
保管するためにワインセラーも買ってずっと寝かせてあったんですけど、いつか飲まなきゃいけないって思っていて。主人がネットで、今いくらくらいするのか調べたら、プレミアがついて1本が10万円以上になっていたんですよ。ビックリしました。
『でも、絶対売れへんからね。売るために買ったんちゃうからね』って言って(笑)。ただ、そうなると簡単には飲めないですよね。ふたりでは何かもったいなくてなかなか飲めないんですよ(笑)。
だから、友だちとか、いつもお世話になっている歯医者さんとか呼んで、その96本のワインを(間に入って)買ってくれたところのマスターも呼んで、その人のお店にラフィット3本とラトゥール3本を持っていって、それをみんなで飲みました」
――単純計算して、70万円分ぐらいになりますね。
「そうですよね。でも、8人ぐらいいましたからね。やっぱり2本を8人で分けるのはちょっと忍びないでしょう? 楽しく飲むためにはそれぐらいは必要かなと思って6本。ワインはやっぱり知っている人じゃないとね。
ちゃんとおいしくいただける状態にするために、その会の2日前に持ってきてって言われました。オリ(澱)も取り除いて、開けるのも飲む何時間前がいいというのをちゃんと考えてやってくれて。
飲むときに持っていって、『はい、開けてください』じゃ絶対ダメなんですよね。そうやって教えてもらったから、それからはそういう風にしています。ワインが好きな人は、ちゃんと味わって大事に飲むじゃないですか。
でも、実家に持っていったときには、全然そんなの関係ないみたいで(笑)。『これは記念のワインでね、買ったらすごい高いねんけど、ちょっとずつみんなで乾杯しましょう』って言ったのに、ビールみたいに飲んじゃって(笑)。どこでどうやって、誰と飲むかというのは、とても難しいと思いました」
料理上手で知られる竹内さんは、YouTubeチャンネル「みやちゃんねる」も開設。お酒のつまみとなるアテや料理の腕前も披露している。
――包丁さばきも見事でお料理もすばらしいですね。
「ありがとうございます。舞台でずっとできなかったので、昨日ようやくまた新しいのをあげました。ひとりでやっているので、なかなか大変なんです。下ごしらえから全部やって、編集もしてアップするというのは」
――よくおひとりで全部やってらっしゃいますよね。
「最初は、コロナ禍で暇だったからやることないし、どうしようって思って。でも、お料理は本当に好きなんです。休みの日に1日中キッチンに立っていても、何も苦じゃないんですよ。これはこうしよう、あれはこうしようって考えながら作っているのが楽しい。いつも作り置きがいっぱいだから、主人には『うちは何人家族?ここはお店?』って言われています(笑)」
――菅原さんが「うちはかみさんが料理がうまいから、結局毎晩飲んじゃうんですよ」っておっしゃっていました。いいですね。
「うまくはないですよ。うまくはないけど、ただ作って食べることが好きなんですよね(笑)。和洋中何でも興味のあるものを作りますけど、主人に『何が一番おいしかった?』って聞くと、必ず『刺身と納豆』って(笑)」
◆海外旅行は細かく決めずに
夫婦でイタリア、スペインなど、海外旅行にもよく出かけている竹内さん。あまりスケジュールは細かく決めずに行くという。
――海外に行かれたとき、道を間違えても竹内さんは絶対に怒らないと菅原さんがおっしゃっていました。
「そういうところは一切責めないです。私たちはイタリアが好きなんですけど、イタリアでレンタカーだけ借りて、ホテルを取らずに行くから、好きなところを回っていくみたいな旅をしていたんですね。味方は相手しかいないわけです。そこでケンカをしたら、もう味方は誰もいないしね。抜け道がないケンカみたいになっちゃうじゃないですか(笑)。
『道はどこかで繋がっているからいいよ』って言って、もし逆に走っていたってUターンすればいいんだしっていう感じです。
だから、夫婦で海外旅行に行くのはいいですよ。それは本当にお勧めです。それもノープランで行ったら、絶対協力しないといけないから(笑)。疲れますけどね。ふたりで協力しないと食べるところも泊まるところも決まらないですからね。
私たちの仕事は全国いろんなところに行くし、海外にも行くけど、やっぱり決められた飛行機に乗って、決められたホテルに泊まって…すべて言われた通りに動いているだけで、何ひとつ自分たちで決めて動くことはないじゃないですか。
だから、そういう風に旅をスケジュールして行っても、ここをチェックアウトして移動して、何時の電車に乗って次のところに行って、ホテルまで移動して、チェックインして…というスケジュールをこなしているだけみたいになってきちゃうんですよね。
何時に出ないと次のホテルに間に合わないとかね。そのホテルに行くことが目的じゃなくて、その旅自体を楽しまなきゃいけないのに、ホテルを移動することがノルマみたいになってきちゃうのが何か嫌だったんですよね。
だから、いろいろ決めないで、ここにもう一泊するみたいなことでもいいし、近所で買ったワインを飲んだらおいしくて、そのワイナリーが近くだったら行ってみるのもいいし、その近くに泊まるということもできる。思いもよらないところにも行けたりとか意外な出会いがあったりする、そのほうが旅をしている感じがするんですよね」
――現地でレンタカーを借りて?
「そうですね。往復の飛行機のチケットは取って、車移動の場合はレンタカーを借りますけど、最近は車移動じゃないこともあるんですよね。この間は2週間くらいスペインのサン・セバスチャンというところに行ったんですけど、あそこの旧市街はバル(食堂とバーが一緒になったようなお店)ばかりなんですよ。それで、みんな立ち飲みでハシゴして…という感じなんです。
だから、意外と徒歩でどこにでも行けるし、ちょっと遠くに行くときにはバスに乗れば結構どこにでも行ける。空港にもバスで行けるし、次の街にもバスで行けるので、車を借りなくていいじゃんということになって(笑)。
そういうときにはひとつのところに長くいることにして。やっぱり料理がしたくなるんですよね。料理ができないと何かストレスが溜まっちゃうんです(笑)。だから、ホテルじゃなくてアパートみたいなところにして。
今は民泊みたいなところがいっぱいあるので、キッチンや洗濯機もあるから、本当に暮らすように旅ができるんですよね。だから、YouTubeでも紹介したカメノテ(甲殻類の一種)も買っちゃいましたけど、市場とかに行ったら、もうたまらないわけですよ。
外に出て飲み食いしたいのに、こんなに買って帰ったらなあとか思うけど、いっぱい買っちゃって。それで、お部屋でカメノテを茹でて、それを食べてワインを飲んで外出して。
主人がサッカーの久保(建英)くんのファンなんです。久保くんは今、スペインのレアル・ソシエダにいるから、現地で試合を見たいって言っていたんです。そうしたら、あの辺(バスク地方)は世界一の美食の街って言われているから、これはもう行くしかないやろと思って(笑)。
でもね、ちょっと年齢的にも衰えを感じました。昔はいくら食べても飲んでも平気やったのに、さすがに1週間目ぐらいでちょっと胃がもたれて、毎日胃腸薬を飲んで出かけて。菅原が練り梅みたいなのを持ってきていたので、それをお湯で溶いて、ふたりで『おいしいね。やっぱりこういうのがいいね』とか言って飲んでいました(笑)」
※菅原大吉・竹内都子夫妻の演劇ユニット「夫婦(めおと)印」プロデュース
『満月〜平成親馬鹿物語〜(改訂版)』
作・演出:水谷龍二
出演:菅原大吉 竹内都子
2024年8月17日(土)山形 米沢公演「伝国の杜置賜文化ホール」
2024年8月19日(月)高知公演「高知県立美術館ホール」
2024年8月21日(水)大阪 高槻公演「高槻城公園芸術文化劇場 北館中ホール」
2024年8月22日(木)大阪 高槻公演「高槻城公園芸術文化劇場 北館中ホール」
2024年8月31日(土)岩手 一関公演「一関文化センター 中ホール」
2024年9月1日(日)岩手 盛岡公演「盛岡劇場 メインホール」
◆自宅でお芝居の稽古は難しい
夫婦印は、「いつかはふたりで芝居を」と長年夢見てきた竹内さんと菅原さんが、演出家・水谷龍二さんの助力により2006年に立ち上げた2人芝居ユニット。
2006年に夫婦印プロデュース第1弾となる『満月−平成親馬鹿物語』、2008年に第2弾『月夜の告白』、2011年に第3弾『月とスッポン』を上演。昨年、12年ぶりに2人芝居が実現した『満月〜平成親馬鹿物語〜(改訂版)』を2024年8月17日(土)の米沢公演を皮切りに、全国5都市で上演する。
物語は、駆け落ちをした娘と息子の親同士が丁々発止でやり合う人情喜劇。女将(竹内都子)が女手一つで切り盛りをしている小さな居酒屋に、真面目そうなサラリーマン(菅原大吉)が「お宅の息子がウチの娘をそそのかして駆け落ちをした」と言ってやって来る。最初は一方的に女将を責め立てていたが、しだいに形勢が逆転していく…という展開。
――8月から地方公演ですね。
「そうなんです。地元の大阪にも初めて行くんです。初演のときから、作、演出の水谷さんは『大阪弁の役だし、大阪でやりたいよな』って言っていたんですけど、なかなか機会に恵まれなくて。でも、やるなら早めにやらなきゃいけないなと思って」
――菅原さんもおっしゃっていましたけど、この舞台はライフワークとしてずっとやっていけますよね。
「そう、年をとってもね。出るのは2人だけだから、いろんなところを回れたらいいねって話していました。セットを組むのは大変ですけど、出演者は2人だから、わりとスケジュールも合わせやすいし、稽古もやろうと思えば2人でできるじゃないですか。だから、いろんなところでできればいいなとは思っています」
――去年の公演を拝見させていただきましたけど、めちゃめちゃおもしろかったです。思いっきり笑ってホロッとして。
「ありがとうございます。初演が17年だけど、そのあと何度か再演をやっていますね。去年が13年ぶりかな? スケジュールの関係もあって、なかなかやれなかったんですよね」
――息もぴったりでしたね。菅原さんがダイナミックに飛んだのにはビックリしました。
「飛んでいましたね(笑)。中学校のときに菅原は、バレー部だったんですよ。その頃はガリガリで、付き合いはじめた頃も痩せていて身長が180センチなのに60キロなかったんです。バレー部のときも、バーンって飛んで、ゴロンって回るフライングレシーブが得意やったんです。
『全然怖くなかったんだよね』って(笑)。だから、1回自転車に乗れたら乗れるみたいなことなんじゃないですか(笑)。今回はどうなるかですよね」
――お家でも稽古されたりするのですか。
「家だとどうしても何か用事が入っちゃうじゃないですか。犬がいたりとか、宅急便が来たりとか…いろいろやることがあって、きっちり稽古はできないんですよ。だから、近くの区のセンターに行って稽古しています」
――地方に行ったら、どこに行くかとか話されているのですか。
「地元のおいしいものとか食べに行きたいですよね。あとふたりとも温泉が好きなので、時間があれば温泉とかね。舞台ではそれぞれ地域で少しセリフを変えているんです。地方公演のときには、そこの近くのスーパー銭湯だったり、温泉の話を出してあげると地元の方が喜んでくれるので」
――菅原さんが竹内さんはお芝居がやりたかった人だから、一緒にやれてうれしいとおっしゃっていました。ご夫婦でステキですね。
「ありがとうございます。このお芝居は、ちっちゃいところでもできるし、どこにでも持っていけるので、ライフワークにして全国を回れたらいいなって思っています」
お互いに対する愛が感じられ、本当にステキなご夫婦。心がホッコリする。芸能界きってのおしどり夫婦として知られているのもよくわかる。そんなおふたりの息もピッタリの舞台をぜひ楽しんで欲しい。(津島令子)