パリオリンピック男子サッカーは「23歳以下」世界のU−23選手の市場価値のトップ10を調べてみた
世界中のサッカー選手の市場価値を発表しランキング化している『トランスファーマルクト』(https://www.transfermarkt.jp/)が、昨シーズンの終わりに各選手の価格を最新にアップデート。ここでは世界のU−23(23歳以下)の選手に焦点を当てて、トップ10を調べてみた。
【レアル・マドリードに3人】欧州のサッカーシーンで、若いトップ・オプ・トップ選手の移籍金上昇が止まらず、市場価値も高騰している昨今。日本でU−23と言えば五輪世代でこれからの選手という認識が一般的だが、世界のトップレベルではすでにクラブで中心を担い、五輪代表ではなく、A代表で主力となる選手ばかりだ。
23歳以下の市場価値1位のベリンガム(右)と2位のサカ(左) photo by Getty Images
1位:ジュード・ベリンガム(イングランド/21歳/レアル・マドリード)約300億円(1億8000万ユーロ)
2位:ブカヨ・サカ(イングランド/22歳/アーセナル)約240億円(1億4000万ユーロ)
3位:フロリアン・ビルツ(ドイツ/21歳/レバークーゼン)約220億円(1億3000万ユーロ)
3位:ジャマル・ムシアラ(ドイツ/21歳/バイエルン)約220億円(1億3000万ユーロ)
5位:ラミン・ヤマル(スペイン/17歳/バルセロナ)約200億円(1億2000万ユーロ)
6位:ロドリゴ(ブラジル/23歳/レアル・マドリード)約190億円(1億1000万ユーロ)
7位:エドゥアルド・カマビンガ(フランス/21歳/レアル・マドリード)約170億円(1億ユーロ)
8位:ガビ(スペイン/19歳/バルセロナ)約150億円(9000万ユーロ)
9位:ペドリ(スペイン/21歳/バルセロナ)約140億円(8000万ユーロ)
9位:コール・パーマー(イングランド/22歳/チェルシー)約140億円(8000万ユーロ)
9位:シャビ・シモンズ(オランダ/21歳/パリ・サンジェルマン)約140億円(8000万ユーロ)
9位:フヴィチャ・クヴァラツヘリア(ジョージア/23歳/ナポリ)約140億円(8000万ユーロ)
9位:ウィリアン・サリバ(フランス/23歳/アーセナル)約140億円(8000万ユーロ)
そんなU−23で現在もっとも価値が高いとされるのは、レアル・マドリード(スペイン)のジュード・ベリンガム(イングランド代表)で1億8000万ユーロ。全年齢を対象にしてもアーリング・ハーランド(ノルウェー代表/マンチェスター・シティ/イングランド)、ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表/レアル・マドリード)、キリアン・エムバペ(フランス代表/レアル・マドリード)と並んで、世界でもっとも市場価値の高い選手である。
昨季、ドルトムント(ドイツ)から加入すると開幕から4試合連続ゴールを記録し、瞬く間に"白い巨人"(レアル・マドリードの愛称)の新しいアイコンとなったベリンガムは、高いアスリート能力にドリブルやパス、シュートまでどれも高水準の能力を備えている。
そのうえで、ビッグゲームでチームを勝たせるゴールを決められるメンタリティとクオリティを21歳の若さで備えているのが恐ろしい。先日のEURO2024のラウンド16で、敗戦寸前だったアディショナルタイム5分に決めたバイシクルシュートは、まさに自身の存在価値を証明する圧巻のゴール。今年のバロンドール(世界年間最優秀選手)最有力であることも納得のパフォーマンスだった。
同じくレアル・マドリード勢から右ウイングやセンターフォワードもこなすロドリゴが6位、抜群のキープ力と推進力ある持ち運びで攻撃を前進させるエドゥアルド・カマビンガが7位にランクイン。昨季UEFAチャンピオンズリーグを制覇したチームのタレント力を象徴している。
【質の高いアタッカーに高い価値】2位はアーセナル(イングランド)のブカヨ・サカ(イングランド代表)で約240億円。右ウイングの若手でもっとも価値の高い選手となった。2021−22シーズンから2シーズンにわたって全試合出場を続け、昨季第8節のマンチェスター・シティ戦を欠場するまでに87試合連続出場というクラブレコードを記録した。
そうしたなか3シーズン連続で2ケタ得点を重ね、高い水準で安定したゴール関与数を記録し続けてきた。右サイドのエリア付近でボールを持てば、高い確率でドリブル突破、あるいは精度の高いクロスでチャンスクリエイト。ほとんどの相手がダブルチームで対応しなければ止められず、時には3人で対応する場面もあるほどだ。これだけ一貫性あるプレーを継続できる若手はほかにはいない。
3位のフロリアン・ビルツ(ドイツ代表)は、昨季ブンデスリーガを史上初めて無敗優勝したレバークーゼン(ドイツ)の中心選手で市場価値が急上昇した選手だ。狭いライン間でパスを受け、そこから違いを生み出せるビジョンとテクニックを備える。トップレベルでもこうした選手が珍しくなってきたので、希少価値の高い選手でもある。
同3位に同じく21歳でビルツとドイツ代表でも並んでプレーする、ジャマル・ムシアラ(バイエルン/ドイツ)。華麗なターンをするビルツに対して、ムシアラは卓越したドルブルで局面を打開できるドリブラーだ。DFがなかなか飛び込めないリズムのボールタッチは独特なものがある。バイエルンのみならず、ドイツ代表においても崩しのキーマンであるタレントの価値は伊達ではない。
【バルセロナも好選手を排出】EURO2024でもっとも注目が集まった選手のひとりでもあるラミン・ヤマル(スペイン代表/バルセロナ/スペイン)。まだ17歳の選手の市場価値が1億2000万ユーロとなるのだから恐ろしい時代だ。リオネル・メッシ(アルゼンチン代表/インテル・マイアミ/アメリカ)の17歳のデビューシーズンは7試合1得点。昨季のヤマルは16歳で37試合5得点。チーム状況の違いはあるにしても、どれだけ驚異的かは一目瞭然である。
プレー面でもその若さにして洗練され、完成度の高いアタッカーで、EURO2024準決勝のフランス戦で決めた大会最年少ゴールは、大会史上に残る本当に美しいものだった。バルセロナの未来を背負って立つヤマルの価値がこれからどこまで上がるのか楽しみでもある。
同じくバルセロナの未来を担うガビが8位、9位にペドリ(ともにスペイン代表)が並んでいる。今回のランク圏外ではあるが、17歳のパウ・クバルシ(スペイン代表)も今後市場価値を大きく伸ばす選手であることは間違いなく、育成組織"カンテラ"産(ペドリは異なる)のクオリティあるタレントが続々と現れ、バルセロナらしさを取り戻しつつあるのかもしれない。
【ヨーロッパ各国にいる若き才能】9位にはペドリのほかに4人の選手が同列で並んでいる。チェルシー(イングランド)のコール・パーマー(イングランド代表)は昨季22得点とキャリアハイを記録して大ブレイク。その活躍によって代表デビューも果たし、EURO2024では流れを変える切り札としてチームの決勝進出に貢献した。
シャビ・シモンズ(オランダ代表)もバルセロナのカンテラ産で、技巧派MFの人気銘柄だ。一昨季、PSV(オランダ)での19得点8アシストのブレイクを機に、昨季はライプツィヒ(ドイツ)へ移籍すると8得点11アシストとブンデスリーガでも高いクオリティを披露。どこもローン移籍のため、所属先のパリ・サンジェルマン(フランス)に戻ったが、来季はどこでプレーするのか注目される。
ナポリ(イタリア)のフヴィチャ・クヴァラツヘリア(ジョージア代表)は、小国ジョージアが産んだ最高傑作のウインガー。左サイドでの打開力は抜群で、昨季は11得点6アシストと高い得点力も兼備する。先日のEURO2024ではグループステージ第3節でポルトガル相手に先制点を挙げ、母国を初のベスト16へと導いたのは感動的だった。
最後はアーセナルのウィリアン・サリバ(フランス代表)。昨季リーグ最少失点を誇るアーセナル守備陣の要が、DFでは唯一のランクインとなった。まだ23歳なのが信じられないほどの落ち着きと貫禄があるプレミアリーグ屈指のセンターバックで、圧倒的な対人守備の強さに、サリバとの勝負を避ける選手もいるほどだ。
今季もヤマルやビルツのように、市場価値を急上昇させる若きタレントが台頭するのか。次世代を担うニュースターの出現に期待したい。