お見合いにもマナーがある。初対面の席でエリート男性に対して彼女が思ったこととは……写真と本文は直接関係ありません(写真:jumsica/PIXTA)

お見合いをしても、“交際希望”をもらえず、通過率が悪い。そんな人たちは、お見合いでの言動に問題がある。

仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、“自分では気づいていない、お見合いのときの失礼な言動”について述べる。

条件とリアルな本人のギャップ

お見合いは、それまでお互いのことを知らなかった男女が、サイトに登録されたプロフィールを見て、“この人なら、会ってみたい”と思い、申し込みをかけたり、申し込まれたお見合いを受諾したりする。

つまり、お見合いが成立した時点で、お互いに結婚相手の条件として“合格点”を出した人に会いに行くのだ。

条件では合格だったのに、お見合い後にお断りが来るのは、リアルな本人が不合格点だったからだ。

先日、かよこ(38歳、仮名)がお見合いしたのは、年収1500万円のエリート、さとる(42歳、仮名)だった。写真も好みのタイプだったので、かよこは、このお見合いにかなりの期待を抱いていた。

その日は、仕事を終えてからの夜のお見合いだった。

仕事が片付かず、思いのほか会社を出るのが遅くなってしまい、お見合いするティーラウンジには、ギリギリの到着になった。ティーラウンジに向かうと、入り口には、すでにさとるが立っていた。写真通りの素敵な男性だったので、心が躍った。

「はじめまして。さとるさんですよね」

さとるは、かよこを上から下までチラリと一瞥して、言った。

「席はすでに取ってあるので、行きましょう」

早めに来て席取りをしてくれていたようだ。かよこの中で、ますますさとるへの点数が上がった。

「写真と印象が違いますね」

しかし、好印象を抱いたのはここまでで、座って飲み物を頼み、お見合いがスタートすると、さとるが言った。

「なんだか写真と印象が違いますね。あの写真はよく撮れている」

“実物は見劣りする”と言われたようで、がよこは少しムッとしたが、とにかく1時間は大人の対応で乗り切ろうと思った。

「早めに来てお席を取っておいてくださって、ありがとうございました」

「ここのティーラウンジは、夜景が見えるから夜は、混雑するんですよ。婚活をしていると、都内のホテルのティーラウンジにも詳しくなっていきますよね」

ほかにもお見合いをしていることを匂わせる発言に、またもやムッと来たのだが、そこも受け流して、さとるをほめることに転じた。

「さとるさんは、好条件だし、お見合いのお申し込みもたくさんきているのでしょうね」

すると、さとるがさらりといった。

「そうですね。まあ、いろいろな方にお会いして、その中から決めていこうと思っています」

結婚相談所では、仮交際と真剣交際の区分があり、仮交際の期間中は何人と交際してもいいし、新しいお見合いをしてもいい。

さとるがたくさんのお見合いをしていることは、ルール違反ではないのだが、「たくさんの女性と会っていくなかで、結婚相手を決めたい」という言葉を聞いて、すでに自分は候補者から外された思いがした。

そこからもさとるは自分の話ばかりをして、かよこのことは何も聞いてこなかった。そうして、1時間弱のお見合いが終わった。

ラウンジから一緒にエレベーターに乗り、ホテルの出口に来ると、さとるが言った。

「雨が降っているし、次の約束があるので、僕はタクシーで行きます。では」

そうして、タクシー乗り場のほうに歩いていった。

お見合いを終えたかよこが、筆者に連絡を入れてきた。「すごく条件が良かったから、お金に目がくらんで期待して行ったけれど、とても自分勝手な方でした」。

「帰りのタクシーも、気の利く男性なら、『次の約束があって僕はタクシーを使うけれど、雨だから駅まで送りましょうか。一緒に乗って行きませんか?』と言ってくださいますよね。というか、私のことは見た瞬間にNGを出したんでしょうね」

そのうえで、「向こうからもお断りが来るでしょうけど、それよりも前に、私からのお断りを入れてください」と言った。

お見合いは、これからの人生を歩む相手を見つけるための大切な場だ。気に入らない相手が来たら不躾な態度を取り、気に入った相手だったら愛想をよく接する。

そんなふうに相手によって態度を変えるような人間は、付き合っていくうちに馬脚を現す。そんな人とは誰も結婚したいとは思わないはずだ。

お見合いでのNGな言動とは?

お見合いで避けるべき言動を以下にまとめてみた。

1. 無愛想。相手の目を見て会話ができない

待ち合わせ場所で会ったときに、自分の名前を名乗り、「初めまして」とあいさつをするのだが、このときに笑顔で明るくハキハキとあいさつできない人は、もうその第一印象で減点される。

「メラビアンの法則」をご存じだろうか。

人と人がコミュニケーションを取る際、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に伝わるという、心理学上の法則だ。視覚情報と聴覚情報を占める割合が圧倒的に多いので、「初めまして」という言語情報は、明るい声(聴覚情報)と笑顔(視覚情報)で伝えることが大切なのだ。

また、前出のさとるのように、「写真と印象が違いますね」などと、写真と本人のギャップを告げるのは御法度。

お見合い写真は、プロのカメラマンがきれいに撮り、修正をかけていることも多いので、実物が写真よりも劣るのはよくあること。言葉に出して言われた相手は、いい気持ちがしない。

「何人と会いましたか?」は×

2.婚活歴、婚活状況は話さない、聞かない

「どのくらい婚活しているんですか?」「何人と会いましたか?」「今、仮交際している人はいますか?」「真剣交際に入った人はいましたか?」など、相手の婚活歴を聞くのは、マナー違反だ。

また、さとるのように「(今は仮交際期間中だから)たくさんの人に会って、そこから結婚相手を決めたい」というように、自分の婚活状況を話すことも、相手にマイナスな印象を与える。

3.過去に会った相手の悪口を言わない

「以前お見合いした人(お付き合いした人)で、こんな最悪な人がいました」などと、過去の相手の悪口をお見合いの席で言うのもタブー。

また、再婚者だった場合、相手は、“なぜ離婚したのか”その理由が気になるところだが、別れた相手のことをひどくけなすのもよくない。夫婦が離婚に至るのは、どちらにも原因があるわけで、相手の非ばかり責め立てるのは、聞いているほうは気持ちがよくない。

さらに、死別だった場合、死んだパートナーを美化して話すと、未練があるように思われてしまう。

4.家族をほめる、けなす

お見合いの席で家族の話が出たら、それを話すのは自然な流れなのだが、このとき「家族とは仲がよくない」「両親の愛情を感じたことはない」などと、家族を悪く言うことは避けたほうがいい。

結婚は、入籍をすれば相手の家族ともつながることになる。家族との関係がうまくいっていないことを聞かされたら、相手は不安になるだけだ。

逆に、「家族仲がいい」のをアピールしすぎるのも、自立できていない印象を与える。

また「姉(妹)が、婚活を応援してくれている」「兄(弟)が言うことは、いつも正しい」というように、兄弟姉妹と仲がよく、その助言をよく聞いているといった話をするのも、相手に小姑舅(こじゅうと)の存在をチラつかせることになってしまう。

金の話は信頼関係ができてから

5.お金の話はしない


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お見合いの席では、金銭に関する話はしないほうが無難だ。

シニアの婚活になると、男性側がお見合いの席で、貯金の額や資産、年金のことを細かく話し、「結婚しても金銭面の心配はない」ことを強調する人もいるのだが、これはマイナスでしかない。

お金の話は結婚生活において重要な事柄なのだが、それを話すのは相手との信頼関係が深まってからだ。


お見合いの場では、お互い仕事のこと、趣味や休みの日の過ごし方、将来のビジョンなど明るく話すことが望ましい。大切なのはネガティブ用語を使わずに、明るく楽しい雰囲気を作り出し、話の結論はいつもポジティブにすることも忘れてはいけない。

(鎌田 れい : 仲人・ライター)