【清水 芽々】「どうしても結婚するなら、子どもはつくらないと約束して」…いとこ婚で身内から「子づくり禁止令」を出された夫婦の「不満」

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渋沢栄一もいとこ婚

7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行される。今回1万円札の肖像画となったのは「日本資本主義の父」とも「近代日本経済の父」とも称され、500社以上に及ぶ著名企業の設立に携わった渋沢栄一だ。

渋沢と言えばふたりの妻との間に7人の子どもをもうけているが、そのうち5人を授かった最初の妻とはいとこ同士の結婚だった。

いとこ同士の結婚は日本の法律で認められているものの、抵抗を示す人は少なくない。よく聞くのが「近親婚の範疇にあたるのではないか? 遺伝子も近い。他人同士の夫婦よりも、障がいを持つ子どもが生まれる確率が高いから」という理由だ。

一般的に何らかの障がいを持った子どもが生まれる確率は1.02%とされていて、これがいとこ同士の子どもになると1.69%に上昇し、いとこ同士の結婚は先天異常の頻度が1.66倍ほど高まるという論文もある。実際はどうなのだろうか?

筆者が複数の産科医に取材したところ「いとこ婚における、障がい児の誕生リスク」のデータについては医師によって見解が分かれることがわかった。

「医学的に言えば、血縁同士の結婚だと『常染色体劣性遺伝』による疾患のリスクがまずあげられますが、これは他人同士の結婚より12倍高まると言われています」

とリスクについて名言する医師もいれば、

「いとこ同士婚の出産については、サンプル数が圧倒的に少ないため、データの数字はあまり参考にならないと考えます」

という医師もいた。

「確かに妊婦さんから言い出さない限り、生まれて来る赤ちゃんの両親がいとこ同士かどうかはわかりません。私はこれまでにいとこ同士だというご夫婦の赤ちゃんを6組ほど取りあげましたが、全員が健常児として生まれましたし、その後何か異常が見つかったという話しも聞いた覚えがありません」(これまでに5000人近い出産に立ち合った産科医)

そうかと思うと、

「『妻とはいとこ同士なので子どもを持つ気がない』とパイプカットをしたご主人がいました」

という話も聞くことができた。

いすれにせよ「いとこ婚による出産」が悩ましいものに変わりはなく、いとこ婚自体も、渋沢栄一が生きた時代のように、周囲から無条件で歓迎されるような状況ではないようだ。

子づくりを禁止された夫婦

東北地方在住の宮田巧さん(仮名・34歳)・彩美さん(仮名・34歳)は5年前に結婚。未だに新婚かと間違われるくらい仲睦まじい夫婦ではあるのだが、ふたりがいとこ同士であることを理由に、子づくりをめぐって家族間で不協和音が生じている。

「母親同士が姉妹なので、私にとっては姑にあたる伯母(61歳)から、子づくりを禁止されているんです。理由は血縁関係のある夫婦からは障がいのある子どもが生まれる確率が高いから。確かにそういうデータがあるというのは聞いたことがありますが、いとこ同士の結婚は法律で認められているわけですし、正当な夫婦であれば子どもを持つのは自然なこと。それを禁止するというのは納得が行きません」(彩美さん。以下同)

巧さんと彩美さんが「結婚する」と伝えた時、双方の家族は戸惑いを隠せなかったそうだが、巧さんと彩美さんの意志が固かったため、結婚を認めざるを得なかったという。

「最後まで反対していたのが、伯母でした。『わざわざいとこ同士で結婚するなんて、他に相手がいないみたいでみっともない』という考えなのです。『どうしても結婚するというのなら、子どもはつくらないと約束して』とも言ってましたが、私も夫も将来的には子どもが欲しいと思っていたので、聞く耳は持ちませんでした」

強行突破のようなかたちで結婚したふたり。結婚後は実家からの干渉から逃れるように、一旦は県外に新居を構えたものの、巧さんの会社が倒産。再就職先と経済的な事情で、ふたりは巧さんの実家に同居することになるのだが、これが嫁姑…いや親子バトルの始まりだった。

代理母や養子を勧められ

巧さん・彩美さん夫婦の日常の様子から、ふたりが子どもを諦めていないことを悟った伯母は、「どうしても子どもが欲しいなら養子のアテがあるんだけど…」「代理母とかはどう?」などと、しきりに提案して来たという。

「よくよく聞けば、養子のアテというのは血縁関係のない遠戚が産んだ赤ちゃんのことで、何でもその親戚は経済的な事情から子どもを育てられないそうです。あと代理母というのも、夫の精子をよその女性に人工授精させて産ませるという意味でした。私たちが不妊治療でもしていれば別ですが、今の段階では『勘弁して』という感じです」

巧さん・彩美さん夫婦の人格を無視したとも言える伯母の発言に、激しく反発する巧さん・彩美さん夫婦は「既成事実を作る」ため妊活に励むのだが、伯母もまた、それを阻止するための行動に出るのだった。

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