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「月に1度夫婦の営みをしてくれないなら離婚する」と夫から迫られている──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

夫は遠方へ単身赴任しており、週末だけ自宅に帰ってくるという生活ですが、自宅に帰ってきてもゲーム三昧で家のことは何もしません。相談者自身も小学生の子どもを育てながら働く忙しい日々を送っており、「週末は家事育児に追われ性欲が湧かない」とこぼします。

そんな状態にもかかわらず、「月1度は夫婦の営みをしろ」と言われ、恐怖心が募っていると明かしました。

相談者は、セックスレス離婚事由になるのかと心配するとともに、仮に離婚になった場合に自分の責任だとして慰謝料請求されたり財産分与に悪影響があるのかも気になるようです。夫の要求に応じない場合はどうなるのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。

●長期間拒否をし続ければ「慰謝料発生」「離婚事由」になり得る

──夫婦間には性交渉をする義務があるのでしょうか。

夫婦間であっても性的自由は保障されていますので、自らの意思に反して性交に応じる義務はありません。

──拒否したことで何らかの法的責任が発生することはありますか。

ただし、長期間にわたって、正当な理由なく性交渉を拒否している場合には、相手に対する慰謝料の支払義務を負う場合はあると考えます。

どの程度が「長期間」かという明確な基準はないですが、1年以上性交渉を拒否し、性交渉拒否に正当な理由がなければ、慰謝料の支払義務が発生する可能性があると考えます。

──セックスレス離婚事由になるのでしょうか。

正当な理由がない長期間のセックスレスにより、夫婦関係が修復不可能なほどに悪化してしまった場合には、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして離婚事由に該当する可能性はあると考えます。

過去には、妻からの性交渉を拒否し続ける一方、アダルトビデオで自慰行為にふけっていた夫に対して、妻からの慰謝料請求を認めるとともに、婚姻を継続し難い重大な事由ありとして離婚請求も認めた事案(福岡高裁平成5年3月18日判決)があります。

【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com