アマゾンの奥地で暮らす部族が、イーロン・マスク氏の衛星インターネットサービスであるStarlinkのおかげで高速インターネット通信を利用可能となりました。しかし、部族の長老たちは若者たちがソーシャルメディアやポルノの中毒になってしまったと不満を漏らしています。

Remote Amazon tribe connects to Elon Musk's Starlink internet service, become hooked on porn, social media

https://nypost.com/2024/06/04/lifestyle/remote-amazon-tribe-connects-to-elon-musks-starlink-internet-service-become-hooked-on-porn-social-media/



ブラジルのイトゥイ川沿いの辺鄙(へんぴ)な熱帯雨林地帯で暮らすマルボ族は、2023年9月に初めてインターネット環境を手に入れました。アマゾンの奥地でインターネットに接続できるようになったのは、衛星インターネットサービスのStarlinkのおかげです。

Starlinkが利用可能になった時のことを、マイナ族のツァイナマ・マルボさん(73歳)は「それが届いたとき、みんなが喜んでいました」「しかし、状況は悪化し、記事作成時点では若者がインターネットのせいで怠惰になり、白人のやり方を学んでいます」と語っています。

マルボ族は公共の場でキスすることを嫌うような、貞淑(ていしゅく)な部族です。しかし、マルボ族がStarlinkを手に入れたことで、部族内での慣習が大きく変わってしまうことを老人たちは危惧しています。アルフレド・マルボさんによると、部族の青年たちはグループチャットを使ってポルノ動画を共有するようになっており、一部の若者が「攻撃的な性行動」をみせるようになっているそうです。

アルフレドさんは「若者が突然スクリーンを見るようになったことで、変態的な性行為を試してみたくなったのではないかと心配しています」「みんながとてもつながっているので、時には自分の家族とさえ話さないこともあります」と、インターネットを使うようになった若者たちの変化を嘆きました。



Starlinkは地上アンテナを使って低軌道衛星上に存在する6000基の人工衛星ネットワークと通信することで、インターネットに接続します。接続に利用する地上アンテナは、アメリカの起業家であるアリソン・ルノー氏によってマルボ族に提供されました。

当初、マルボ族はヘビに噛まれて命の危機に陥るような事態が発生した際に、当局に連絡して助けを求めることができるとして、Starlinkの提供を歓迎していました。実際、エノク・マルボさん(40歳)によると、Starlinkのおかげで部族民の命が救われた事例もあるそうです。

また、マルボ族の若者たちは「自分の周囲の環境の向こう側に何があるのかを概念化できなかったところに、可能性の世界が開かれた」と語り、インターネットへの接続がもたらした恩恵を語っています。マルボ族の10代の少女は、「今は世界を旅することが夢」と語っており、別の10代の少女は「ブラジルのサンパウロで歯科医になる」という夢を語りました。

インターネットの弊害を語っているのは部族の老人たちだけではありません。エノクさんもインターネットの登場により、「部族内のルーチンが大きく変わり、有害な影響が起きた」と語っています。

タマセイ・マルボさん(42歳)も、「若者の中には私たちの伝統を守っている人もいますが、午後中ずっと携帯電話をいじり続けている人もいます」と語り、インターネット機器の到来による弊害を語りました。



子どもの親であるカイパ・マルボさんは、子どもたちが暴力的なファースト・パーソン・シューティング(FPS)をプレイすることに不安を感じているとしており、「子どもたちが突然真似するのではないかと心配です」と語りました。

また、多くの若者がソーシャルメディアで見知らぬ人とチャットしているものの、デジタルリテラシーが欠如しているため、インターネット詐欺の被害に遭ったそうです。

マルボ部の若者たちがあまりにもインターネットに依存していたため、マルボ族の長老たちは口承で伝えられてきた歴史と文化が永遠に失われてしまうことを恐れ、今では毎朝2時間、毎晩5時間、日曜日は一日中、インターネットへのアクセスを制限しています。