滝沢秀明氏

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14日に野外フェス出演

 今年元旦にデビューした3人組アイドルグループのNumber_i(ナンバー・アイ)が今月14日、米カリフォルニアで開催される世界最大級の野外音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル2024」に出演するという。グループ結成当初から目標に掲げてきた「世界進出」への試金石となりそうだが、果たしてどうなるのか。

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 Number_iは旧ジャニーズ事務所の男性アイドルグループ・King & Princeのメンバーとして活動していた平野紫耀神宮寺勇太岸優太が同グループを脱退して結成。旧ジャニーズ事務所の副社長だった滝沢秀明が立ち上げた新芸能事務所・TOBE(トゥービー)に合流後、満を持して元日デビューを果たした。デビュー曲の「GOAT」のミュージックビデオ(MV)は公開3日で1000万回再生を突破するなど勢いを見せ、現在までに4511万回再生(4月11日時点)を記録している。

滝沢秀明

「GOAT」とは「Greatest Of All Time」のスラングでスポーツやエンターテインメントなどの分野で最も優れた存在を指す「最高到達点」という意味で使われている。全編ラップの同曲は強烈なヒップホップテイストを全面に押し出した意欲作で、メンバーも「曲が流れるだけで勝手に体が動き出す」「今の自分たちのスタイルを見せつけていく」と胸を張る。

 日本のアイドルが挑戦しないような激しいダンスとラップを繰り出しながら、歌詞の中で「I’m the New GOAT」と自分たちが“最高の存在”であることをアピールしている。振り付けを担当したRIEHATAはBTSやTWICEなどK-POPのダンスを担当したこともある世界的なコレオグラファーだ。滝沢社長が「グローバルに挑戦できる曲」というだけあって、1月3日のYouTube MVのデイリーランキングではグローバル1位を獲得し、メディアには「快挙」の文字が躍った。

“世界の平野”アピール

 その後、メンバーの平野は世界的なファッションブランド「ルイ・ヴィトン」とパートナーシップを結び、「イヴ・サンローラン・ボーテ」のアジアアンバサダーに就任。3月25日にフランス・パリで開催された「YSL ラブシャイン リップスティック」のイベントに出席し存在感を見せていた。その際にインスタグラムのフォロワー数1220万人を誇るアメリカのラッパー、スウェイ・リーや、イギリスのポップアイコンであるスーパースターのデュア・リパとのツーショットを披露して“世界の平野”をアピールした。

 個人としては世界進出に向かって着実に前進しているように見えるが、肝心のグループの音楽活動はどうなのか。海外事情に詳しい音楽ライターは厳しい見方だ。

「まず、『GOAT』という楽曲に目新しさがありません。ラッパーのEMINEM(エミネム)の曲に『G.O.A.T』『Respect The G.O.A.T.』『Respect the G.O.A.T. 2』があり、LL Cool J(エルエルクールジェイ)が2000年にリリースしたアルバム『G.O.A.T. (Greatest Of All Time)』の中にも『The G.O.A.T.』という曲が収録されています。Number_iは3月2日にNHK総合の音楽番組『Venue101』に地上波番組として初生出演しましたが、一緒に出演した韓国のボーイズグループ・ATEEZ(エイティーズ)も昨年6月に公開した楽曲『BOUNCY』のMVの中で“GOAT”を題材にしていました。こちらの再生回数は1億1000万回を超えています。そもそも、日本の音楽市場は世界第2位ですから日本のファンが大きく動けば世界デイリーランキングで1位になるのはそれほど難しくありませんし、世界を狙うといいながらなぜ英語詞にしなかったのか。こちらも疑問が残ります」

 実際に海外のファンをどれくらい掘り起こせているのだろうか。グーグルトレンドでYouTube動画の検索主要国を調べると、Number_iはほぼ日本だけとなっており、これに香港と台湾がごくわずか。K-POPが世界中に広がっているのとは対照的だ。Number_iのYouTubeチャンネル登録者数は76万人に達したが、その後は伸び悩んでおり、コメント欄も日本語が圧倒的に多い。

 さらに調べてみると、音楽業界で人気度の信頼性が高いとされるSpotify(スポティファイ)での、Number_iの月間リスナー数は116万人。世界ツアーを行っているYOASOBIは880万人、韓国のボーイズグループ・SEVENTEENは640万人、優里は322万人というからその背中ははるか遠くだ。もちろん、今年元日にデビューしてからまだ日が浅いため今後の伸びしろに期待したいところだが……。

「ぶちかまします!」

「3月にはTOBE所属の三宅健、北山宏光、Number_i、IMP.、大東立樹、wink firstが出演した同社初のコンサート『to HEROes 〜TOBE 1st Super Live〜』が4日間にわたって東京ドームで開催され計22万人を動員しました。また、4月1日放送のTBS系『CDTVライブ!ライブ!』でも、ステージにMVの撮影に使ったカートを登場させるなど破格の扱いでした。このように国内の人気は盤石なので、その勢いで海外進出を目指したいところでしょうが、かつてジャニーズ系のアイドルが不動の人気を集めていた台湾では、主役が交代し現地レコード店『五大唱片』の日韓チャートベスト20を見てもK-POP系アイドル一色です。滝沢社長がメンバーとして活躍したタッキー&翼は、2002年に台北公演を実現させているだけに隔世の感がありますね」(同)。

 強烈なヒップホップで世界的に活躍している振付師のRIEHATAを起用したダンスナンバーの「GOAT」が海外市場を意識しているのは間違いないが、世界進出の海図はなかなか見えてこないのが実情だ。

 興行に詳しい音楽番組プロデューサーはこう話す。

「BTSやSEVENTEEN、ENHYPEN、LE SSERAFIM、NewJeansを擁するHYBE LABELSのYouTubeチャンネル登録者数は何と7440万人です。こうした強力なグローバルプラットフォームに新人のTWS、BOYNEXTDOOR、ILLITを乗せていくことでHYBEは勢力拡大の一途です。これに比べると日本の芸能事務所のプラットフォームはあまりに貧弱です。そこを突破するため、例えばEXILEを擁する芸能事務所LDHは6億人の音楽市場を持つ東南アジアをターゲットに定め、所属するボーイズグループの BALLISTIK BOYZとPSYCHIC FEVERを22年8月から半年間タイに送り込み現地の言葉や文化を学ばせました。それが奏功して今ではタイの音楽チャートの上位に食い込むほどの人気です。同じようにジャニーズ事務所時代、メンバーをアメリカに送りTravis Japanとして世界デビューに導いたのは滝沢社長です。世界を目指すNumber_iについても秘策を練っている可能性があります。米国で人気を誇るヒップホップアーティストとYouTube動画でコラボし世界に存在を知らしめる、といった手法もありますからね」

 今月14日に世界最大級の野外音楽フェスのステージに立つNumber_i。「ぶちかまします!」とコメントを出しているが、世界がどのような反応を見せるか注目される。

デイリー新潮編集部