ワシントン近郊のメリーランド州ロックビルのオカメザクラ(黄慶三さん提供)

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(ワシントン中央社)米首都ワシントンのポトマック川河畔には、ソメイヨシノを中心とした桜が咲き誇る。現地に住む台湾出身の黄慶三さんは10年余り前、ワシントン近郊のメリーランド州ロックビルを車で運転していたところ、他とは違う赤色の桜があるのに気が付いた。調査の結果、この桜が台湾にもルーツを持つことを発見したという。

小さい頃から植物が好きで、園芸に関するブログも開設している黄さん。ある日、偶然にもネオンのように輝く赤色の花びらを持つ桜を見つけた。「ワシントンではあんな色の桜は見られない」と不思議に思い、仕事の傍らで調査を開始することにした。そして、この桜が台湾南部にある阿里山を原産とするカンヒザクラと日本のフジザクラを交配させた「オカメザクラ」であることを突き止めた。

オカメザクラを生み出したのは、「日本の桜の権威」とされた英園芸家のコリングウッド・イングラム氏。黄さんによれば、イングラム氏はカンヒザクラを気に入っていたものの、気候が異なる日本での生育には適さないことを考慮し、日本のフジザクラと掛け合わせることにした。10年余りの研究、改良の末、1947年にオカメを発表した。

黄さんは、メリーランド州モントゴメリーのブルックサイド庭園でも台湾にゆかりのある品種を発見した。それは「ファーストレディー」と呼ばれる桜。カンヒザクラとオカメザクラを交配させた品種で、米国立樹木園で育成された。

ワシントンでは先月20日から全米桜祭りが開かれている。オカメザクラは議会墓地で見ることができる。イベントは14日まで。

(石秀娟/編集:名切千絵)