三井グループの「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者30名を発表
三井グループ350周年を記念して行われた「三井みらいチャレンジャーズオーディション」。この最終通過者が3月19日に発表されました。「事業・社会活動」「研究・留学」「カルチャー創造」それぞれの分野において、若者たちはどのような夢や目標を描いているのでしょうか。
未来ある若者30名が一堂に会した「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者発表会
○722名のチャレンジャーが名乗りを上げた「三井みらいチャレンジャーズオーディション」
2023年は、三井グループの元祖である「三井高利」が江戸に進出し、日本橋に越後屋を出店してから350年の節目となりました。栄えある350周年を記念し、2023年度から2027年度の5年間、三井グループは社会課題解決に向けたさまざまな記念事業を実施しています。
三井グループ350周年記念事業の一例
そのひとつが、夢や目標を持ちチャレンジする次の時代を担う若者を発掘・応援するプロジェクト「三井みらいチャレンジャーズオーディション」です。2023年8月より応募受付を開始し、締め切りまでの3カ月間で722名ものチャレンジャーが名乗りを上げました。
募集された人数は3分野・各10名、計30名。1つ目は、新しい事業や社会貢献活動によって、世の中にイノベーションを起こそうとしている人を求める「事業・社会活動部門」。2つ目は、より良い未来の社会を目指し、海外留学も含めさまざまな場で学び、研究しようとしている人を求める「研究・留学部門」。3つ目は、自らの文化芸術活動を通じて新しいカルチャーや価値観の創造に挑もうとしている人を求める「カルチャー創造部門」です。
最終通過者には、「活動に対する支援金として一律500万円の提供(初年度)」「活動状況や資金ニーズに応じた追加の支援金提供(2年目から最長3年間)」「オーディション通過者同士のネットワーキング機会の提供等、一定のプラットフォーム提供」「チャレンジ内容や活動進捗を踏まえた通過者個々人に合わせた支援」といった支援が与えられます。
そして3月19日、ついに最終通過者30名の発表が行われました。狭き門を突破した若きチャレンジャーたちを紹介しましょう。
○すべてのチャレンジャーに最大限の敬意を
「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者発表会の開会にあたり、三菱グループ350周年記念事業実行委員会の委員長を務める三井不動産 代表取締役会長の菰田正信氏は、次のように挨拶を述べます。
「自らの意思で新しい一歩を踏み出し、このオーディションに参加してくださった多くの若いチャレンジャーたちは、みな未来を担う有望な人材です。すべてのチャレンジャーに、この場を借りて、改めて最大限の敬意を表したいと思います。そして、ここにいる最終通過者も含めたチャレンジャーたち全員の、これからの飛躍、活躍を祈念申し上げまして、私の開会のご挨拶とさせていただきます。本日はまことにおめでとうございました」(菰田氏)
三井不動産 代表取締役会長 菰田正信 氏
○最先端・独自の視点が光る研究・留学部門
最初に発表されたのは「研究・留学部門」です。深宇宙での衛星の自律化実現のため、多数の衛星群同士の光通信GPSや協調アルゴリズムを研究・開発する王 方成さん。細胞にセキュリティをかけるための、遺伝子発現ゆらぎの定量とシステム解明を研究する北井朝子さん。
ニュートリノ検出器における電化検知技術の開発を行い、「人類の未だ見ぬ世界を切り拓く科学者」としての活躍を目指す久保田しおんさん。クラゲの無性生殖メカニズムの解明と応用に向けた研究を行い、大好きなクラゲで革命を起こすことを目指す佐藤愛海さん。
熊本の被災経験をきっかけに建築家を志望し、現在ハーバード大学の建築デザイン大学院に在学しながらサステナブルな建築を通じたイノベーションに取り組む高井万弥さん。「世界の言語は何もしなければあと100年で半分なくなる」というなかで、言語問題を通じて格差を生まないグローバルな社会の再構築を目指している巴山未麗さん。
二重コンクリーションの形成メカニズムの解明と、地質学的物性の制御法の確立を目指すプラート・アルヴィンさん。日本固有の山岳信仰・山伏文化に基づき、地方復興における文化観光の確立・普及と経済的意義について研究する水澤佑介さん。
「肌に一番近い衣服がどのような存在となるのか」という、ポストデジタル社会における人間と衣服の関係について取り組む宮瀬環さん。局所ラングランズの証明を目指し、数学研究で未来の科学の進歩に貢献する鈴木健太さん。
以上10名が最終通過チャレンジャーとなりました。
「研究・留学部門」の最終通過チャレンジャー10名
王 方成さんと一緒に「2035年に月に行こう」という話をしていると語るプラート・アルヴィンさん
審査員から「クラゲ愛が半端じゃない」と評価されていた佐藤愛海さん
審査員のひとりである丸 幸弘氏は、最終通過チャレンジャーに次のようなメッセージを送りました。
「世界を変える研究、そしてビジネス事業。なんでも一緒ですけれども、一番重要なのは“熱”ですね。情熱がなければたどり着けない場所にみなさんは目標を置いていると思います。この“熱”を絶やさずに前に進んでいただきたい。そして、もし自分がいま考えてることと違う面白い切り口が見えたとき、思いっきりそっちに舵を切ることも絶対に必要。こだわり続けないで逆に行ってみよう――そういう気持ちも持っていただきたいなと思っています」(丸 氏)
リバネス 代表取締役 グループ CEO 博士(農学) 丸 幸弘氏
○鋭い切り口で社会問題に取り組む事業・社会活動部門
次に発表されたのは「事業・社会活動部門」です。長期入院で闘病する子どもたちの生きる力を切り開くイノベーションプログラム「Poco!」(旧名称:Adventure)を提供している、社団法人Child Play Lab.の猪村真由さん。未利用の昆布を使い、地球温暖化における“牛のげっぷ問題”解決に取り組み、漁業と酪農を繋げるビジネスモデルづくりを行うプロジェクト「e-Combu」を行う大砂百恵さん。
医療と福祉を支えるモビリティのインフラ構築をミッションとし、モビリティサービス「mairu」に取り組む株式会社mairu techの大村慧さん。排水処理から水の価値連鎖を生むことを目指し、事業を進める株式会社Nocnumの大森美紀さん。
インフルエンサーを起用、私物などを購入できるフリーマーケットを全国各地で開催し、衣類の廃棄問題や地方創生に取り組む株式会社HAGIの岡本萌花さん。3Dプリンタを生産基盤としたデジタルテーラーメイドで独自性・デザイン性とサステナビリティの解決に取り組む株式会社積彩の大日方伸さん。
感覚過敏を抱える自身の経験をベースに、「五感にやさしい社会」の実現を目指し研究・啓発・商品の企画販売を行っている株式会社クリスタルロードの加藤路瑛さん。アフリカの農業改革を通じた貧困解決に取り組み、誰もが農業機械にアクセスし持続的な農業が行える社会の実現に向けて取り組む齋藤杏実さん。
ミルワームの生産システムにおいて、餌に食品残渣を活用し、持続可能な飼料原料供給に取り組む株式会社Booonの橋爪海さん。音声認識とAI要約によって診療中の会話からカルテを生成するサブスクリプションアプリ「medimo」で医療現場の変革を目指す株式会社pleapの中原楊さん。
以上10名が最終通過チャレンジャーとなりました。
「事業・社会活動部門」の最終通過チャレンジャー10名
プログラム名が応募時の「Adventure」から「Poco!」に変わった経緯を語るChild Play Lab.の猪村真由さん(左)
3Dプリンターで制作したプロダクトを持参した積彩の大日方伸さん
審査員のひとり、鈴木寛弘氏は、最終通過チャレンジャーに次のようなメッセージを送りました。
「我々審査員は本当に困りました。15人ぐらいから絞れないんですね。最後は『この人たちは人類の歴史を新しく作れるか』『地球の歴史を新しく作れるか』という観点で、10人のみなさんを選ばせていただきました。お願いが二つあります。まずひとつ目は、三井貴俊という人を覚えて、ひとりの志の持つ素晴らしさを研究をしていただきたいと思います。ふたつ目は、『30人の志を同じくする同志が、みんなで助け合い励まし合えば必ずできる』と信じて頑張っていただきたいと思います」(鈴木氏)
東京大学 公共政策大学院 教授 慶應義塾大学 SFC 特任教授 鈴木 寛 氏
○伝統から新たな創造を目指す「カルチャー創造部門」
そして最後に発表されたのが「カルチャー創造部門」です。社会問題を取り上げた作品制作を通じ、鑑賞者に問題の「自分ごと化」をさせるアートのあり方を研究する稲垣桃さん。ロシアの作曲家A.アガジャーノフによる音楽(演奏芸術)のメソッドを翻訳し日本で提案・普及させる事を目指すピアニスト、牛田智大さん。
世界中の有形・無形文化を現代に翻訳し分断を乗り越える新たなカルチャーの発信を目指す、劇団あはひの劇作家・演出家、大塚健太郎さん。親子向けの絵本の読み聞かせコンサート「ようこそ絵本の音楽会へ」に取り組む、株式会社オトギボックスの梶本大雅さん。
コロナ禍を契機とし、Z世代が受け入れるアプローチで落語をリデザインした「Z落語」に取り組む桂 枝之進さん。ミャンマー軍に拘束され奇跡の生還を果たし、現地ジャーナリストやミャンマー人クリエイターを側面支援する団体「Docu Athan」を立ち上げ、彼らをテーマにした長編ドキュメンタリー映画「ミャンマー・ジャーナリスト(仮)」の制作を目指すジャーナリスト、久保田徹さん。
自らを発明家と称し、他者との出会い方を増やす「接点の発明」をコンセプトに活動、発明を公共空間で実践する「接点の公園」の実現を目指す高橋鴻介さん。不登校だった10代の経験をオマージュした長編映画「ブルーを笑えるその日まで」を制作、沢山の人の人生を照らす物語を作るため、新しい脚本づくりに取り組む武田かりんさん。
ミュージカルの普及に取り組み、学生の活躍の場として「学生ミュージカルガチバトルライブ」を企画・運営、この大会を全国に広げることを目指す田中亜希子さん。映像・音響センサーや最新コンピュータ技術を使い、日本の伝統演劇である人形浄瑠璃「乙女文楽」に焦点を当てた音楽作品を制作中の向井響さん。
以上10名が最終通過チャレンジャーとなりました。
「カルチャー創造部門」の最終通過チャレンジャー10名
「日常生活の延長線上に落語というきっかけを作りたい」と語る桂 枝之進さん
最終審査で審査員を魅了した歌声を再び披露してくれた田中亜希子さん
審査員のひとりである太刀川栄輔氏は、熱を込めて最終通過チャレンジャーに語りかけます。
「今日もらった500万円をお金だと思うと大した額じゃないんですよ、僕らおじさんにとっては。ただこう考えてみてほしいんです。みなさん、3,000時間あったら何ができますか。500万円は、時給2000円弱のバイトをそれくらい積み上げたときにできる金額です。だから、今日手に入るものは時間と繋がりなんですよ。そしていまのみなさんにとって得がたいものだと思います」(太刀川氏)
NOSIGNER代表 太刀川栄輔氏
○三井グループが30名の夢を全力でバックアップ
こうして幕を閉じた「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者発表会。閉会後には交流会が行われ、新たに多くの繋がりを築くことができたでしょう。
三井グループは、30名の若者の夢の実現に向け、これから全力でバックアップすることを約束しました。それぞれの夢が実現し、彼らの名をふたたび耳にする日が楽しみです。
未来ある若者30名が一堂に会した「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者発表会
○722名のチャレンジャーが名乗りを上げた「三井みらいチャレンジャーズオーディション」
三井グループ350周年記念事業の一例
そのひとつが、夢や目標を持ちチャレンジする次の時代を担う若者を発掘・応援するプロジェクト「三井みらいチャレンジャーズオーディション」です。2023年8月より応募受付を開始し、締め切りまでの3カ月間で722名ものチャレンジャーが名乗りを上げました。
募集された人数は3分野・各10名、計30名。1つ目は、新しい事業や社会貢献活動によって、世の中にイノベーションを起こそうとしている人を求める「事業・社会活動部門」。2つ目は、より良い未来の社会を目指し、海外留学も含めさまざまな場で学び、研究しようとしている人を求める「研究・留学部門」。3つ目は、自らの文化芸術活動を通じて新しいカルチャーや価値観の創造に挑もうとしている人を求める「カルチャー創造部門」です。
最終通過者には、「活動に対する支援金として一律500万円の提供(初年度)」「活動状況や資金ニーズに応じた追加の支援金提供(2年目から最長3年間)」「オーディション通過者同士のネットワーキング機会の提供等、一定のプラットフォーム提供」「チャレンジ内容や活動進捗を踏まえた通過者個々人に合わせた支援」といった支援が与えられます。
そして3月19日、ついに最終通過者30名の発表が行われました。狭き門を突破した若きチャレンジャーたちを紹介しましょう。
○すべてのチャレンジャーに最大限の敬意を
「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者発表会の開会にあたり、三菱グループ350周年記念事業実行委員会の委員長を務める三井不動産 代表取締役会長の菰田正信氏は、次のように挨拶を述べます。
「自らの意思で新しい一歩を踏み出し、このオーディションに参加してくださった多くの若いチャレンジャーたちは、みな未来を担う有望な人材です。すべてのチャレンジャーに、この場を借りて、改めて最大限の敬意を表したいと思います。そして、ここにいる最終通過者も含めたチャレンジャーたち全員の、これからの飛躍、活躍を祈念申し上げまして、私の開会のご挨拶とさせていただきます。本日はまことにおめでとうございました」(菰田氏)
三井不動産 代表取締役会長 菰田正信 氏
○最先端・独自の視点が光る研究・留学部門
最初に発表されたのは「研究・留学部門」です。深宇宙での衛星の自律化実現のため、多数の衛星群同士の光通信GPSや協調アルゴリズムを研究・開発する王 方成さん。細胞にセキュリティをかけるための、遺伝子発現ゆらぎの定量とシステム解明を研究する北井朝子さん。
ニュートリノ検出器における電化検知技術の開発を行い、「人類の未だ見ぬ世界を切り拓く科学者」としての活躍を目指す久保田しおんさん。クラゲの無性生殖メカニズムの解明と応用に向けた研究を行い、大好きなクラゲで革命を起こすことを目指す佐藤愛海さん。
熊本の被災経験をきっかけに建築家を志望し、現在ハーバード大学の建築デザイン大学院に在学しながらサステナブルな建築を通じたイノベーションに取り組む高井万弥さん。「世界の言語は何もしなければあと100年で半分なくなる」というなかで、言語問題を通じて格差を生まないグローバルな社会の再構築を目指している巴山未麗さん。
二重コンクリーションの形成メカニズムの解明と、地質学的物性の制御法の確立を目指すプラート・アルヴィンさん。日本固有の山岳信仰・山伏文化に基づき、地方復興における文化観光の確立・普及と経済的意義について研究する水澤佑介さん。
「肌に一番近い衣服がどのような存在となるのか」という、ポストデジタル社会における人間と衣服の関係について取り組む宮瀬環さん。局所ラングランズの証明を目指し、数学研究で未来の科学の進歩に貢献する鈴木健太さん。
以上10名が最終通過チャレンジャーとなりました。
「研究・留学部門」の最終通過チャレンジャー10名
王 方成さんと一緒に「2035年に月に行こう」という話をしていると語るプラート・アルヴィンさん
審査員から「クラゲ愛が半端じゃない」と評価されていた佐藤愛海さん
審査員のひとりである丸 幸弘氏は、最終通過チャレンジャーに次のようなメッセージを送りました。
「世界を変える研究、そしてビジネス事業。なんでも一緒ですけれども、一番重要なのは“熱”ですね。情熱がなければたどり着けない場所にみなさんは目標を置いていると思います。この“熱”を絶やさずに前に進んでいただきたい。そして、もし自分がいま考えてることと違う面白い切り口が見えたとき、思いっきりそっちに舵を切ることも絶対に必要。こだわり続けないで逆に行ってみよう――そういう気持ちも持っていただきたいなと思っています」(丸 氏)
リバネス 代表取締役 グループ CEO 博士(農学) 丸 幸弘氏
○鋭い切り口で社会問題に取り組む事業・社会活動部門
次に発表されたのは「事業・社会活動部門」です。長期入院で闘病する子どもたちの生きる力を切り開くイノベーションプログラム「Poco!」(旧名称:Adventure)を提供している、社団法人Child Play Lab.の猪村真由さん。未利用の昆布を使い、地球温暖化における“牛のげっぷ問題”解決に取り組み、漁業と酪農を繋げるビジネスモデルづくりを行うプロジェクト「e-Combu」を行う大砂百恵さん。
医療と福祉を支えるモビリティのインフラ構築をミッションとし、モビリティサービス「mairu」に取り組む株式会社mairu techの大村慧さん。排水処理から水の価値連鎖を生むことを目指し、事業を進める株式会社Nocnumの大森美紀さん。
インフルエンサーを起用、私物などを購入できるフリーマーケットを全国各地で開催し、衣類の廃棄問題や地方創生に取り組む株式会社HAGIの岡本萌花さん。3Dプリンタを生産基盤としたデジタルテーラーメイドで独自性・デザイン性とサステナビリティの解決に取り組む株式会社積彩の大日方伸さん。
感覚過敏を抱える自身の経験をベースに、「五感にやさしい社会」の実現を目指し研究・啓発・商品の企画販売を行っている株式会社クリスタルロードの加藤路瑛さん。アフリカの農業改革を通じた貧困解決に取り組み、誰もが農業機械にアクセスし持続的な農業が行える社会の実現に向けて取り組む齋藤杏実さん。
ミルワームの生産システムにおいて、餌に食品残渣を活用し、持続可能な飼料原料供給に取り組む株式会社Booonの橋爪海さん。音声認識とAI要約によって診療中の会話からカルテを生成するサブスクリプションアプリ「medimo」で医療現場の変革を目指す株式会社pleapの中原楊さん。
以上10名が最終通過チャレンジャーとなりました。
「事業・社会活動部門」の最終通過チャレンジャー10名
プログラム名が応募時の「Adventure」から「Poco!」に変わった経緯を語るChild Play Lab.の猪村真由さん(左)
3Dプリンターで制作したプロダクトを持参した積彩の大日方伸さん
審査員のひとり、鈴木寛弘氏は、最終通過チャレンジャーに次のようなメッセージを送りました。
「我々審査員は本当に困りました。15人ぐらいから絞れないんですね。最後は『この人たちは人類の歴史を新しく作れるか』『地球の歴史を新しく作れるか』という観点で、10人のみなさんを選ばせていただきました。お願いが二つあります。まずひとつ目は、三井貴俊という人を覚えて、ひとりの志の持つ素晴らしさを研究をしていただきたいと思います。ふたつ目は、『30人の志を同じくする同志が、みんなで助け合い励まし合えば必ずできる』と信じて頑張っていただきたいと思います」(鈴木氏)
東京大学 公共政策大学院 教授 慶應義塾大学 SFC 特任教授 鈴木 寛 氏
○伝統から新たな創造を目指す「カルチャー創造部門」
そして最後に発表されたのが「カルチャー創造部門」です。社会問題を取り上げた作品制作を通じ、鑑賞者に問題の「自分ごと化」をさせるアートのあり方を研究する稲垣桃さん。ロシアの作曲家A.アガジャーノフによる音楽(演奏芸術)のメソッドを翻訳し日本で提案・普及させる事を目指すピアニスト、牛田智大さん。
世界中の有形・無形文化を現代に翻訳し分断を乗り越える新たなカルチャーの発信を目指す、劇団あはひの劇作家・演出家、大塚健太郎さん。親子向けの絵本の読み聞かせコンサート「ようこそ絵本の音楽会へ」に取り組む、株式会社オトギボックスの梶本大雅さん。
コロナ禍を契機とし、Z世代が受け入れるアプローチで落語をリデザインした「Z落語」に取り組む桂 枝之進さん。ミャンマー軍に拘束され奇跡の生還を果たし、現地ジャーナリストやミャンマー人クリエイターを側面支援する団体「Docu Athan」を立ち上げ、彼らをテーマにした長編ドキュメンタリー映画「ミャンマー・ジャーナリスト(仮)」の制作を目指すジャーナリスト、久保田徹さん。
自らを発明家と称し、他者との出会い方を増やす「接点の発明」をコンセプトに活動、発明を公共空間で実践する「接点の公園」の実現を目指す高橋鴻介さん。不登校だった10代の経験をオマージュした長編映画「ブルーを笑えるその日まで」を制作、沢山の人の人生を照らす物語を作るため、新しい脚本づくりに取り組む武田かりんさん。
ミュージカルの普及に取り組み、学生の活躍の場として「学生ミュージカルガチバトルライブ」を企画・運営、この大会を全国に広げることを目指す田中亜希子さん。映像・音響センサーや最新コンピュータ技術を使い、日本の伝統演劇である人形浄瑠璃「乙女文楽」に焦点を当てた音楽作品を制作中の向井響さん。
以上10名が最終通過チャレンジャーとなりました。
「カルチャー創造部門」の最終通過チャレンジャー10名
「日常生活の延長線上に落語というきっかけを作りたい」と語る桂 枝之進さん
最終審査で審査員を魅了した歌声を再び披露してくれた田中亜希子さん
審査員のひとりである太刀川栄輔氏は、熱を込めて最終通過チャレンジャーに語りかけます。
「今日もらった500万円をお金だと思うと大した額じゃないんですよ、僕らおじさんにとっては。ただこう考えてみてほしいんです。みなさん、3,000時間あったら何ができますか。500万円は、時給2000円弱のバイトをそれくらい積み上げたときにできる金額です。だから、今日手に入るものは時間と繋がりなんですよ。そしていまのみなさんにとって得がたいものだと思います」(太刀川氏)
NOSIGNER代表 太刀川栄輔氏
○三井グループが30名の夢を全力でバックアップ
こうして幕を閉じた「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者発表会。閉会後には交流会が行われ、新たに多くの繋がりを築くことができたでしょう。
三井グループは、30名の若者の夢の実現に向け、これから全力でバックアップすることを約束しました。それぞれの夢が実現し、彼らの名をふたたび耳にする日が楽しみです。