合わない人とは距離を置くようにすることが幸せになるコツといえます(写真:mits/PIXTA)

さまざまな悩みや不安を抱え、「楽しくないまま、いまを過ごしている」

そんな人は珍しくありません。

とある調査によると「いま、あなたは幸せですか?」という質問にイエスと答えられる人は2割もいないのです。

現代は生きづらさや不安が増しているのかもしれません。

しかし、幸いなことに、多くの先人たちが幸せに生きるコツを残してくれています。

それらを現代の生活にあわせて整え、「即役立つ」ようにしたのが、新刊『あやうく、未来に不幸にされるとこだった』です。

以下では、「嫌な人間関係の対処法」についてわかりやすく解説します。

人生の大部分は「つきあう人」で変わる

あなたがより幸せになるために。

より心豊かに生きていくために。

ちょっと立ち止まって、人間関係について考えてみましょう。


人生の大部分は、「つきあう人」(一緒に過ごす人)によって形づくられるといえます。

その中で、残念なことに「つきあう人」が私たちの成長の妨げになることがあります。

もしあなたが、特定の友人関係や人間関係に気をとられ、「気後れする」「嫉妬する」ということがあるなら、そこから徐々に遠ざかるほうがいいでしょう。

なぜなら、最も長い時間を共に過ごす人びとは、あなたの未来を決定的に変えかねないからです。

この原則を重く見て「つきあう人びと」を上手に見つけることが必要です。

わかりやすく言うと、合わない人を避けることです。

驚かれるかもしれませんが、重要なことです。

子どものうちは、社会性を身につけるための訓練として(それがどれほど役に立つかは別として)、みんなと仲良くする、という心がけも必要でしょう。

しかし大人になれば、むしろそれとは反対の訓練が必要なときがあります。

大人になると「避ける訓練」が必要

「相性の悪い」人に無理に合わせようとせずに、上手に避ける訓練です。

優しい人、いい人は苦しくても相手に合わせてしまいがちです。

とはいえ、距離を置くほうがお互いにずっとラクになり、人生が豊かになることもあります。

現在の社会では、「ありのままのあなたを愛してくれる人」と過ごす時間よりも、「あなたを好きではない人」の気を引こうとする時間のほうが長いことすらあるでしょう。

それを避けられないこともあるのがつらいところです。でも、だからこそ「無理に合わせよう」「合わせられない自分は社会人失格だ」などと考えず、お互いのために適度に距離を置く、という心がけはとても重要なのです。

職場での人間関係について考えてみましょう。

合わない上司や嫌な上司、不愉快な同僚は誰にでもいるものです。

そうした人びとと一緒に働かなければならないのは、大変つらいことです。

誰だって「相性の悪い人」はなるべく避けたいはず。でも職場では、なかなかそう言ってもいられません。

そこで、避けやすいものから難しいものへ、順を追っていくつかのパターンを見ながら、できること、すべきことをお話しします。

ケース1「合わない人」を避けやすい場合

まず、一緒に仕事をするわけではないが、気持ちよく交流できない人についてです。

職場の人との「人間的なかかわりや交流」を求めても、それを「拒まれる」「無視される」というような場合、その人とはやりにくいと感じることでしょう。

人生をより幸福にしよう」と前向きに取り組んでいるあなたが、そのように思うのは当然ですし、ガッカリするのもわかります。

でも相手があなたの要望を受け入れないなら、それはもう仕方がないことです。

相手を変えようなどとはせず、その人を最大限尊重して、「仕事以上のこと」を求めないようにするべきです。

相手の態度に気をもむよりも、「人間的交流と仕事を混同していないか」を自問するいい機会になったと考えましょう。

周りを巻き込むことも時には必要

ケース2「合わない人」を避けにくい場合

次に、仕事を進めるにあたって不愉快な状況が発生する場合です。

これはなかなか厄介です。

まず、周りの人にそれとなく相談してみましょう。

そして、不愉快な状況があなただけに起こっているのか、周りの人にも起こっているのか確かめてみましょう。

私たちはしばしば、「自分だけが苦しんでいる」と思い込んでしまいます。

その思い込みは孤独感を増幅させ、問題をより大きく感じさせます。

しかし、もしかすると同僚も同じ状況にあるかもしれません

彼らもまた、同じように悩んでいたり、疑問に思っていたりするかもしれません。

みんなで状況を確認できれば、あなたのつらさや苦しみはずっと軽くなるはずです。

不愉快な状況を変えていくチャンスも生まれます。

そして、あなたが周りと問題を共有するときには人をラベル付けしないようにしてください。

上司や同僚を不愉快な人物として決めつけてしまうと、あなたの態度や表現が雑になり、すべての対話や交流が歪んだものになってしまいます

人間関係のトラブルの多くは誤解先入観無意識のバイアスから生まれます。

特定の人物に対する否定的な感情は、人間関係の大きな障害となり、信頼関係を築きにくくしてしまいます

実を言うと、私にも「不愉快に思っていた知人」がいました。

でもあるとき、その知人と一度飲みに出かけ、人となりやモノの見方を知って、その人をまったく新しい角度から見ることができるようになり、大変親しくなることができました。

その人に対する不愉快さが、実は誤解からきていたのだとわかると、予想外の友情が芽吹くこともあるのです。

つまり、人間関係の問題のほとんどは、コミュニケーション不足や誤解が原因なのです。

ですから、誰かとの関係がうまくいかないと感じたときは、まずその人とコミュニケーションを取ること、お互いの考えを共有することから始めてみてください。

そして、どんな状況でも「相手をラベル付けせず、心を開いて理解しようとする姿勢」を保ちましょう。

それが、心地よい職場環境を築くための最初の一歩となるはずです。

歩み寄ろうとしても難しい場合

もしこれらの試みがうまくいかず、状況が改善しない場合は、自分自身と相手の立場を守るために、その人との接触頻度を減らさなくてはなりません

そもそも、すべての人と良好な関係を築くことなんて困難です。

どんな人だって「周りの人の約7割とは自然と相性が悪い」と捉えてみてください。

それは性格や価値観の相違、あるいはコミュニケーションスタイルの違いなどからくるものです。

でも逆に言うと、この7割の人びととの距離をうまく保てれば、ストレスを最小限に抑えられます

もちろん職場で距離を保つなんて、難しいこと。

職場とは多くの人びとが一緒に働く場ですから、特定の相手との関わりを完全に断つのは、ほぼ不可能でしょう。

とはいえ、接触頻度を減らす努力は必要です。

具体的には、一緒になる仕事や時間帯を極力避けたり、仕事関係以外の会話を最小限に抑えたりすることです。

重要なのは、自分の精神的な健康を最優先に考え、「仕事」として割り切れる範囲内で、距離を保つことです。

ケース3「合わない人」を避けるべき場合

最後は、あなたが長期的なストレスや過度の不快感にさらされている場合です。あなたの健康や幸福を第一に考え、職場を変える必要があるでしょう。

職場は、生活の大部分を占める重要な場所です。だから、働く環境は私たちの幸せや健康に大きな影響を及ぼします。

その影響がネガティブである場合、適切な対処法を急いで見つけなければなりません。

長期的なストレスや過度の不快感は、日常生活のすべてに悪影響をもたらします。

相性の悪い相手との接触を減らす努力や、感情を管理する技術を磨くことなど、できる限りのことはやってみるべきです。

でもそうした努力が実らないとき、転職を検討するのは、ごく自然なことです。

また、必須の行動と言っても差し支えありません。

なぜなら、あなた自身の幸福と健康は「仕事を通じてあなたが達成したい目標」の土台であるべきだからです。

職場がその目標を妨げたり、あなたの幸福や健康を脅かしたりするようなら、できるだけ早いうちにその場を離れましょう。

「職場に迷惑がかかるのでは」と心配なのは、あなたが責任感の強い人、優しい人だからです。

そのように考えられるのは素晴らしいことです。

でもあなた自身の幸福と健康を犠牲にしてまで、職場に残る義務なんてありません

「逃げる」という判断は自分しかできない

あなたにあるのは、未来を自分で決定する権利です。

もちろん、権利を行使して職場を変えることは大きな決断です。

一歩踏み出すことだって大変でしょう。

でもあなたの幸福と健康を守るには、大胆なステップが必要です。

その決断ができるのは、あなたしかいないのです。

最初は勇気がいるかもしれません。

未来が心配で仕方ないかもしれません。

でも、大丈夫です。

その勇気があなたの人生をきっと好転させてくれます

大原則は、ストレスのもととなる人間関係手放すこと。

ストレスのもととなる人から離れること、避けること。

そんな自分の行動を、思いっきり肯定してあげることです。

がまんをしながら「合わない人」と時間を共にし続ける努力なんて、無駄な努力でしかありません。

あなた自身をすり減らすだけで、人間の本質的な成長とは何の関係もないのですから。

(堀内 進之介 : Screenless Media Lab. 所長、立教大学特任准教授)
(吉岡 直樹 : Screenless Media Lab.テクニカルフェロー)