トークイベントに臨んでいた、内田也哉子(写真左)と小泉今日子
エッセイストの内田也哉子が、22日に都内で、著書『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』の発売を記念したトークイベントを歌手の小泉今日子と共に開催した。

内田は今回、2001年刊行の『会見記』から、22年ぶりとなる単著を発売した。それは、2018年に創刊した『週刊文春WOMAN』に連載してきたページを5周年を機にまとめたもの。本を開くと、15人に達した各面々(谷川俊太郎、小泉今日子、中野信子、養老孟司、鏡リュウジ、坂本龍一、桐島かれん、石内都、ヤマザキマリ、是枝裕和、窪島誠一郎、伊藤比呂美、横尾忠則、マツコ・デラックス、シャルロット・ゲンズブール)と語らい綴ったエッセイを並べている。

その他には、ひとり原稿用紙に向かいしたためた2篇、当時大きな反響を呼んだ父・内田裕也さんの「Rock'n’Roll葬」で行った喪主挨拶なども収録している。(※今回ゲストの小泉は、2人目のページで登場)

「『BLANK PAGE』という本、結果的に本になりました」と改めて語った、内田。15人との対話を終えて「皆さんに共通して言えることが一つだけあるんです」と興味をひきつけ「それは、広い荒野に、1人ぼっちで、すっくと立っている人たち」と示す場面があった。

「もちろん、人は好きなんだけれども、群れることに価値を置いていない。つまり、自分1人、自分の足で歩いていく、面白がって歩いている人たちです」と言い表した。そして「隣にいる今日子さんは、もう、その中の最たるものでしょう。なので私は、そのまばゆい背中を眺めているんです」と内心も明かし、はにかんだ。

「母(樹木希林)がよく言ってた言葉があります。『人は生まれてから死ぬまで、ずっと孤独なんだよ』って。私はその孤独っていう言葉が、すごく寂しく、小さい頃から感じていたのですが、この15人の方々と出会って、1人で立っていられる清々しさ、あるいは、心が空っぽになった時に何も持たない、その清々しさをすごく教えてもらいました。孤独ということがネガティブじゃなく、むしろこれから、私はそのことを愛でられるように、生きていけたらなと思います」とキッパリ話していた。

小泉は、まったく別のことを取り上げ「私は、新しいシニア層を想像することが、今一番楽しい」と口にして、内田の興味をひきつけた。

「朝からスポーツをすることも素敵だと思うのですが…でも私は、そんなタイプじゃない。(ミュージシャンの)近田春夫さんとかと早朝から集まって『朝クラブ』。朝早くから、めっちゃカッコイイ曲をかけたりしています」と楽しく感じる要素を次々と並べた。そこから、段々と関心を寄せた内田の表情を確かめ「次あったら誘いますね」と約束を交わしていた。

90分間に及んだトークイベントの入場チケットは完売だった。なお、会場に足を運べない方々に向けて、有料の生配信や1カ月間(チケット販売は、2月22日19時まで)のアーカイブ配信の案内も流れていた。

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