全日本選手権SPで演技する佐々木晴也【写真:矢口亨】

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フィギュアスケート全日本選手権・男子SP

 フィギュアスケートの全日本選手権は21日、長野・ビッグハットで男子ショートプログラム(SP)が行われた。全体15番手で登場した佐々木晴也(京大)は3回転アクセルに着氷するなど70.88点をマーク。17位で23日のフリーに進出した。東大と並ぶ国内屈指の難関大で経営、財務などを学びながら、銀盤での技を磨いてきた20歳。「最後に1つミスが出てしまったけれど、集中を切らさず全体としては見せたい演技をできた」と納得の出来だった。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

 演技を終え、拍手を浴びた佐々木は天を仰いだ。調子が上がらない中で迎えた全日本の舞台。「ホッとしました。アクセルは入っただけで万々歳くらい。スピン、ステップも自分の中ではちゃんとやれたかな」。冒頭の3回転アクセル、続く3回転ルッツ―3回転トウループの連続ジャンプに着氷。最後の3回転フリップは乱れたが、やり切った。

 愛知有数の進学校・東海高出身。3年生になって受験勉強に専念し、スケートから一時的に離れた。2022年に京大経済学部に現役合格。経営、経済、会計など幅広い分野を学びながら、同年の全日本選手権では総合15位となった。

 今後は経営、財務を専攻にする考え。日本スケート連盟の強化選手プロフィールでは、趣味が「株銘柄探し」となっている。「もともとそういう系統に興味がある中で経済学部に入りました。大学に行って、いろんな友達が(株を)やっていたりするので、より興味が沸いています」。学業とスケートの両立の道は「ほぼ空き時間なく、という感じ」で険しい。

 睡眠、ケア、トレーニングの時間も確保しながらここまでたどり着いた。「考えることが多い競技。考える力は、勉強してきているからこそかなと思います」と文武両道で得られたプラス面も感じている。スケーティングの強化のため「スケートを始めたての子たちが練習するコンパルソリーだったり、単純なクロスの練習から今季はやってきている」と明かした。

 17位で迎えるフリー。「強化選手のライン12位を目指しているので、マジで追い上げないと」と話す。全ジャンプのフォームを改良して迎えた今季。「今年1年、スケーターとして成長するために多様性を持った練習をしてきた。演技を通して、まず自分が納得できるように」と意気込んだ。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)