軍用機にも値上げの波が?

物価上昇などの煽りを受ける

 アメリカの航空宇宙機器開発製造会社であるボーイングは、2023年11月7日、F-15戦闘機の最新モデルであるF-15EX「イーグルII」の価格を抑制する方法を模索していると、同国のメディアに明かしました。


アメリカ空軍で運用の始まったF-15EX「イーグルII」(画像:アメリカ空軍)。

 このような表明をした理由としては、同機の初期ロットが1機8050万ドル(約122億円)であったのに対し、新規の生産ロットとなるロット2〜4のF-15EXの価格が1機あたり約9000万ドル(約135億円)を超える価格になったことを受けてのものです。アメリカ軍はこの価格で、計48機のF-15EXを購入する予定です。

 同機は元々、アメリカ空軍で調達費用や運用費用がステルス戦闘機のF-35Aよりも低く抑えられるとして、ステルス機が空軍の中心になった後も、現在の空戦能力を維持するために購入が進められていました。

 しかし現状の価格でF-35Aは1機あたり約8250万ドル(約125億円)とみられており、なんと従来機のアップデート機体の方がステルス戦闘機よりも購入費用が高くなってしまっています。価格高騰の主な理由は長く続くインフレの影響や労働力確保の不安定性などのようです。

 この価格高騰を抑える方法として、ボーイングは同機の発注数を増やすことを目指しているようです。既にポーランド、イスラエルが同機の購入に関心を持っており、インドネシアは24機を購入する意向を示しています。これらの国が顧客となり、発注数が増えて大量生産の体制が整えば、コストを削減することができます。