閉経前後に訪れる、心身ともにゆらぐ更年期。対処法を知って、女性ホルモンのアップダウンによる波を上手に乗りこなしましょう。産婦人科専門医の高尾美穂先生に、更年期の上手な乗りこなし方を教えてもらいました。今回は「閉経前後5年間の更年期」編です。

閉経前後の更年期、体に起こる変化を知ろう

「閉経が近づくと、女性の心と体はゆらぎやすくなります(心身が不安定になって不調が起こりやすくなること)」と、産婦人科医の高尾美穂先生。原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
「女性の体は思春期になると脳の指令を受け、卵巣からは女性ホルモンが分泌されるようになります。やがて女性ホルモン量がピークに達する性成熟期へ。しかし、40歳前後から女性ホルモンはゆるやかに下降し、閉経の5年前になると急激に分泌量が減少する更年期に突入します」
更年期は卵巣機能が低下し、脳からの指令を受けても卵巣は女性ホルモンをつくることができなくなります。
「指令を出してもホルモン分泌がされず脳が大混乱。この脳の部分は自律神経を調整する場所でもあり、心身がゆらぎやすくなります」

また女性ホルモンは、血管や骨、肌を健やかに保つなど女性の健康と美の維持に大きく貢献しています。
「更年期には、女性ホルモンの恩恵を受けられなくなるため健康や美容の悩みが急増します。ただ、この変化はだれにでも訪れるもの。だからこそ、ゆらぎの波を上手に乗りこなす対策を知っておきましょう」

 

女性ホルモンが急激に減少する更年期

40代後半になると女性ホルモンの分泌量が急激に減少。それに伴い心身のバランスが崩れやすくなります。

閉経前後5年間の「更年期」を数字でチェック!

閉経をはさむ前後の5年、計10年間にあたる更年期。平均値は、自分を知る助けに。

●25〜38日だった生理周期が乱れだすのが閉経のファーストサイン

閉経が近づいたファーストサインは生理不順。通常25〜38日だった生理周期が短くなるのが一般的です。逆に生理周期が延びたり、ある日突然終わったりする人もいます。

●閉経の平均年齢は約50歳。12か月生理がなければ閉経です

12か月生理がなければ、さかのぼって最終生理を経験した年齢が、その人の閉経年齢です。日本人の平均は約50歳なので、45〜55歳は多くの人が更年期。ただ、これには個人差が。

●女性の約6割は更年期の不調に悩まされますが4割の人は生理周期の変化くらい

日常生活が立ち行かないほどの「更年期障害」で悩む人は約3割。なんとなく不調でもやり過ごせる「更年期症状」で悩むのは約3割。残り4割は生理周期の変化以外の不調なく過ごしていけるとされています。

●更年期に現れる症状は200種類以上も!

・自律神経の乱れ
・疲れ・だるさ
・イライラ・憂うつ
・皮膚の乾燥やかゆみ
・不眠などの睡眠障害
・デリケートゾーンの悩み
・めまい・耳鳴り

更年期の不調を更年期症状といい、その数は「症状のデパート」といわれるくらいじつにさまざま。女性ホルモン減少の変化に慣れない閉経前後2年は、ゆらぎの波も大きいです。

<じつはこんな症状も>

・もの忘れ・記憶力の低下
・頭痛
・肩こり・関節痛・腰痛
・体のむくみ・冷え
・動悸・息ぎれ
・高コレステロール