窓枠や取っ手、レンジフードのシロッコファンに、カーポート。アルミ材は家のさまざまなところで使われています。この素材、じつは、掃除に使える洗剤が非常に少ないやっかいなもの。アルカリ性の洗剤や酸性の洗剤を使用すると、変色したり、溶けてしまったりするからです。洗剤メーカーに勤め、工学博士でもある日刊住まいライターが、自宅を例に、実践している正しい洗剤を選び方と掃除法を紹介。

じつはアルミ材に使っていい洗剤は少ない

建材や家電に使われている「アルミ材」の主成分はアルミニウムです。軽量で、熱伝導率に優れているので温まりやすく、さまざまな場所で用いられています。

じつはこのアルミ材、掃除するとなると、非常にやっかいな材質。使用してはいけない洗剤が多く、洗剤選びには注意が必要です。

アルミはアルカリと酸の両方と非常に反応しやすいため、一般的に、アルカリ性の洗剤(重曹、炭酸ソーダなど)、酸性の洗剤(クエン酸など)、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤のいずれも使用不可とされているのです。これらの洗剤を使用すると、アルミが変色し、いずれはアルミが溶けてしまいます。

アルミ材の掃除に使えるのは、基本的に中性洗剤一択。とはいえ、市販の洗剤にもいろいろなものがあるので、洗剤の選定と掃除の方法を工夫すれば、可能な限りアルミ材を傷めずに掃除できます。

 

シロッコファンの掃除は、中性洗剤で落とせるときにやる

レンジフードにあるシロッコファンは、アルミ素材が使われることが多いようです。レンジフードにあるため、汚れは食用油がメイン。この油汚れが熱によって固まっていない状態であれば、中性の洗剤で汚れを十分落とせますが、熱によって固まってしまうと中性の洗剤では厳しいです。そうなると、洗剤の化学的な作用ではなく、こすって物理的に落とす必要があります。

熱によって固まった油汚れに対してはアルカリ洗剤が有効で、世の中には、アルミ対応のアルカリ洗剤があります(後述の焦げつき汚れにも有効)。アルミ対応とは、一般的なアルカリ洗剤と比べるとアルミを傷めにくいというだけで、アルミ対応洗剤もアルミを徐々に傷めています。

そのため、レンジフードの掃除は定期的に行い、油汚れが中性の洗剤で落とせる状態のときに行うのがベスト。わが家は3、4か月の頻度で掃除をしており、中性洗剤で問題なく汚れを落とせています。

なお、レンジフードを掃除する際は、メーカーの取扱説明書をしっかり確認しましょう。

トースターの受け皿についた焦げつき汚れは落とせない

トースターの受け皿には、アルミ製のものが使われていることも。わが家のトースターの受け皿はアルミ製でした。先ほどのレンジフードと違い、トースターの受け皿は熱源との距離が近いため、レンジフードよりも焦げつき汚れができやすいです。

わが家は、この受け皿の材質の確認不足で、確認したときには焦げつき汚れがついてしまっていました。焦げつき汚れに対しては、アルカリ洗剤の中でも強力なものでなければ落とせません。具体的には、成分の中に「水酸化ナトリウム」「水酸化カリウム」と記載のあるもの。

しかし、強力なアルカリ洗剤は焦げつき汚れを落とせる一方で、取り扱いが危険で、アルミ材をより早く傷めることにもなります。こういったことから、わが家では受け皿の汚れを落とすことを断念しました。

軽度の焦げつき汚れであれば、中性洗剤とお湯を使い、こすって汚れを落とせるケースも。なので、トースターの受け皿がアルミ製で、アルミを傷めずにするなら、とにかく焦がさないよう注意してください。また、焦げついても最小限に抑えるよう、なるべく頻繁に掃除するのがベストといえます。

 

サッシ、手すり、カーポートなどにもアルミが

家の中では、ほかにもアルミ材が使われているところがあります。窓のサッシは樹脂が増えてきているとはいうものの、まだまだアルミ製のものも。それ以外にも、手すり、取っ手、カーポートなどもアルミ製のものを多く目にします。

カーポートを除き、サッシなどに付着している汚れは、おもにホコリや手アカなど。これらの汚れは中性の洗剤で落とせます。除菌もしたいなら、除菌剤配合の中性洗剤が適しています。

お手元にある中性洗剤に除菌剤が含まれていないなら、アルコール製剤で除菌するのもいいでしょう。ただし、アルコール製剤は酸性のものではなく、中性のものが適しています。

カーポートの掃除も、アルミ材の部分に対しては中性洗剤を使用し、落としにくい汚れに対しては高圧洗浄機を使用するのがいいでしょう。

家や家電において、さまざまなところでアルミ材が使われています。優れた特徴がある一方で、使う洗剤を間違えると、比較的簡単に傷んでしまい、外観を損ねてしまいます。基本的には中性洗剤で、頑固な汚れになる前に掃除するよう心がけてください。