おトクに購入できる鶏胸肉は、食費をおさえるにはとっておきの食材。でも、火をとおすとパサついたりかたくなってしまったりと、調理方法に困っている方も多いのではないでしょうか。今回は、和食の名店「賛否両論」店主の笠原将弘さんに、おいしさがアップする鶏胸の選び方、保存、切り方を教えてもらいました。

笠原将弘流、鶏胸肉の基本。選び方や切り方でぐっとおいしく!

鶏胸を知りつくした笠原さんが、鶏胸使いのコツをご紹介! 基本的な扱い方をしっかりと押さえるだけで、鶏胸がぐっとおいしく仕上がります。
「かみしめるほどにうま味が広がる鶏胸肉を使えば、おなじみの定番おかずもひと味違う別次元のおいしさになりますよ!」(笠原さん)

【写真】繊維を断った切り方はこちら

●鶏胸使いの極意:1

【選び方】肉の色とハリを確認して鮮度をチェックする

きれいなピンク色で肉にハリがあれば、新鮮な証拠。白っぽいものは鮮度が落ちているので避けた方がベター。

ドリップが多く出ているものも、うま味成分が流れ出てしまっているので気をつけて!

●鶏胸使いの極意:2

【保存】傷みにくいよう水分をよくふき取って

ほかの肉に比べて傷みやすい鶏肉にとって、雑菌などが繁殖しやすい水分は大敵。保存する際は、表面の水分をしっかりふき取ることが鉄則です。

なるべく早めに食べきることも心がけてみましょう。

●鶏胸使いの極意:3

【切り方】繊維の見きわめがやわらかさの秘訣

鶏胸肉は加熱すると繊維が縮んでかたくなるので、やわらかく仕上げるには繊維を断つように切ることが最大のポイント!

1枚の肉でも繊維の向きは部位によって異なるため、切る前によく確認してくださいね。

(1) 皮をはぐ

細い方の端から手でめくり、包丁で皮と肉を切り離しながらはぐ。はいだ皮にはうま味があるので刻んで煮物や炒め物に使っても。

(2) 3分割する

写真のように繊維の向きは3方向に分かれています。

まな板に皮のついていた面を下にして置き、繊維の向きごとに3つに切り分けて。

(3) 繊維を断つ

3分割した肉をそれぞれ繊維を断つように斜めに包丁を入れてそぎ切りに。こうすると、加熱してもやわらかな食感が楽しめます。

これもおすすめ!しっとりやわらかに仕上がる保存テク

保水効果のある砂糖と保存効果のある塩を混ぜた水に1日漬けるだけ。パサつきやすい鶏胸が驚くほどしっとりするので、試してみる価値あり!

塩味は下味程度なので、基本的にどんな料理にも万能に使えます。から揚げや鶏天などの揚げ物のほか、照り焼きやソテーにもおすすめ。

●鶏胸肉の塩糖水漬け

【材料(つくりやすい分量)】

鶏胸肉 3枚(約900g)
A[水1と1/2カップ 砂糖15g(水の重量の5%) 塩9g(水の重量の3%)]

【つくり方】

(1) 鶏肉は皮を除く。Aは混ぜ合わせて砂糖と塩を溶かす。

(2) ジッパーつき保存袋に(1)を入れてなじませ、空気を抜いて口を閉じる。冷蔵庫で1日おく。

【保存】

冷蔵で5日ほど(だんだん味が濃くなるので、2日たったら塩糖水は捨てる)

 

ESSE11月号 の別冊付録「しっとり、うまいにこだわった!鶏胸おかず」では、笠原将弘さんのほか、料理家の大庭英子さん、市瀬悦子さんが、何度でもつくりたくなる絶品鶏胸おかずをたっぷりと紹介しています。

おかずをつくりおきする際は、清潔な保存容器に入れて保存してください。保存状態によっては傷みやすくなることもあるので、保存期間内であっても早めに食べるようにしましょう

電子レンジの加熱時間は600Wを基準にしています。500Wの場合は1.2倍、700Wの場合は0.8倍を目安に加減してください。機種によって多少差があります

電子レンジやオーブントースターで加熱する際は、付属の説明書に従って、高温に耐えられる耐熱ガラスの皿やボウルなどを使用してください

液体を電子レンジで加熱した場合、取り出して混ぜるときに、場合によって突然沸騰する可能性があります(突沸現象)。できるだけ口の広い容器に入れ、粗熱をとってから取り出すなどご注意ください