子育て世代に人気の間取り「リビング階段」。しかし、1階リビングと2階がつながりすぎて、騒音やエアコンの効きの悪さなど、気になるデメリットも耳にします。こうした問題を解消するために、日刊住まいライターは、リビングと階段室をスライドドアで仕切る間取りを採用しました。はたしてその効果は?

家の中心に近い位置に、リビング階段がある家を建てる

わが家は筆者と夫、そして小学生の息子2人(8歳と6歳)の4人暮らし。2年前ハウスメーカーで2階建ての注文住宅を建てました。

間取りはこのようになっています。

1階 玄関、LDKとスタディスペース、趣味室、トイレ、手洗い場
2階 浴室、ランドリールーム、ウォークインクローゼット、来客部屋、寝室、子ども部屋、トイレ

 

こちらは、リビングのソファから階段を見た様子。わが家はLDKとつながる、いわゆるリビング階段を採用しています。

 

階段の形はコの字型(中空き階段)になっています。階段の場所は、家の中心に近い位置に(写真のピンクで囲った場所)。

廊下に階段があった方が便利? リビングにつくるなら、スケルトン階段にした方が開放感が出る? 家づくりでは、かなり悩みました。結果、実用性を重視してこの形を採用しています。理由を語っていきましょう。

 

理由1:家族とコミュニケーションが取りやすい

筆者にとってのリビング階段のメリット。それは、会話やあいさつを大切にした生活ができること。

普段家族が長い時間を過ごすLDK。わが家では、家の中を移動する家族が、必ず顔を合わせることに。リビング階段のおかげか、「おはよう」「おかえり」「おやすみ」…と自然と声がけが欠かさずできています。

筆者は在宅ワークがメイン。キッチン横のスタディスペースで日中仕事をしていることが多く、たまに玄関まで入ってきた家族に気づかないときも。それでも必ずLDKに入ってきた音で、「おかえり」と顔を合わせてやり取りしています。

また、来客があるときは、お客様にもひと言あいさつをする子どもに育ってほしいので、それを教える口実にも。実家の母に「子どもたちはよくあいさつをするのね。きっと普段から家族でよく言ってるんでしょうね」と言われました。

このうれしい効果も、リビング階段がひと役買っている模様。小さい子どもたちが、将来思春期になっても、上手に人づき合いしてくれるのではと期待もしています。

余談ではありますが…。わが家のライフスタイルには、ぴったりのリビング階段。しかし、家族同士のプライバシーを重視したい家族にとっては向かないケースもありそうです。

理由2:階段下空間を収納として有効利用したかった

なるべく空間を有効利用したい。そんな思いもあって、リビングの一部に階段を設置し、直線の階段ではなく、コの字型の階段にして省スペースにしています。加えて、階段下の空間も収納として活用しているわが家。

コの字型なので、階段下は2か所あります。内部は壁で仕切られていて、2つの空間に分かれています。扉もリビング側に1つ、玄関前の廊下側にもう1つ、という具合。

 

リビング側の階段下空間は、おもに子どもの学用品やランドセル収納として活用。玄関から近いので、子どもも帰宅してから片づけやすい位置になります。

わが家ではリビングやダイニングで子どもが勉強することもあり、この場所は、準備も片づけのどちらにもメリットが。散らかりっぱなし防止に大変役立っています。

 

反対側は、納戸&息子たちのクローゼットとして活用。玄関前の廊下のところがちょうど裏側になり、扉があります。そちらにはストック品や防災品、段ボールゴミなどを収納。

 

リビング階段にありがちな問題について

リビング階段のデメリットとしては、一般的に以下のようなことがよく言われています。

・騒音が伝わりやすい
・冷暖房の効率が悪くなる
・キッチンからのにおいが、2階に伝わりやすい

わが家は夜に大人の時間を過ごせるように、LDKの音響や照明にこだわった家づくりを予定していました。1階リビングで、音楽や映画の音を、2階の子ども部屋を気にせず楽しみたい。一方で、2階ランドリールームからの洗濯乾燥機の音を、1階には届かないようにしたい…。

また、電気代が高騰している昨今、エアコンで快適な温度になった空気を逃したくない。さらには、においを気にすることなく、キッチンで好きな料理をつくって、リビングで食事を楽しみたい。

ガマンしたり、デメリットを感じたりすることなく、楽しく暮らす。そのために、わが家は、リビングと階段室をスライドドアで仕切れるようにしました。

ドアの様子、また、その効果について説明していきましょう。

スライドドアが1枚あるだけで、効果を実感

こちらは、リビングと階段室を仕切るスライドドアを途中まで閉めたときの様子です。床にドアのレールによる段差をつくりたくなかったので、つり扉を採用。おかげで歩いていても、引っかかりはありません。

スライドドア1枚で仕切っただけですが、その効果は絶大。2階からの音もかなりさえぎってくれるし、エアコンの効きのよさも実感しています。

設計士からは「ドア1枚あれば、涼しい空気が逃げにくい」と聞いていました。実際暮らしてみて、エアコンをつけていない2階からつけている1階に降りると…。はたして、一気に汗がひくほど冷えていることを実感します。

また、「(エアコンなどであたためた)暖かい空気は上にいくので、オープンなリビング階段だと、暖房の効率が悪くなる」とのこと。ドアがあることで、節約にも役立っていると思います。

においについても、効果を実感。以前2階から1階に降りて扉を開いたら、「さっき焼いた魚のにおいがした」ということがありました。これは、においが2階に上がるのをちゃんと防いでくれているということ。

家づくりの際に扉をつけておいてよかったなと、暮らしてしみじみ感じています。

スライドドアのいいところは、開き戸と異なり、開閉分の床スペースが不要であること。ドア付近の床にものを置けない、ということもないし、あけっ放しにした際に、扉がジャマになりません。

 

こちらは扉を完全に閉めたときの様子。スライドドアはハイドア(天井まで高さがあるもの)にして、ほかの建具と色を合わせたので、非常にスッキリと見えます。

ありがちなデメリットを気にして、リビング階段の採用を迷っている。そんな場合は、リビングと階段室をドアで仕切る仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。