9月14日に最終回を迎えたドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系・木曜21時〜)。過去回はTVerやNetflixにて配信中です。さまざまな謎が明らかになった最終回を振り返ります。

『ハヤブサ消防団』全ての謎が明らかに。ハヤブサの解放とこれからを予感させる最終話見どころ

池井戸潤氏の同名小説が原作とした本作。亡くなった父の故郷であるハヤブサ地区に引っ越してきたスランプ中の作家・三馬太郎(中村倫也さん)。地元の消防団「ハヤブサ消防団」に加入しますが、その直後から放火事件が起こり始めます。団員たちとともに犯人を捜し始めますが、その事件の裏には「アビゲイル騎士団」という教団が関わっていました。

さらに、三馬の恋人で東京から移住してきた映像ディレクター・立木彩(川口春奈さん)はアビゲイル騎士団の信者で、次期「聖母」であることが第8話で明らかに。

皆既日食が起こる日に彩は聖母となる…その儀式を取りやめさせるために、三馬たちは動き始めます。

●孤独な少女はただ利用されただけだった

そんな中で語られたのは、教団の聖母とされる展子(小林涼子さん)の過去でした。それは随明寺の住職で展子の異母兄・江西(麿赤兒さん)と、アビゲイルの信者で展子の幼馴染である映子(村岡希美さん)の証言によるもの。

展子は江西の父親の愛人との間に生まれた子どもで、母はのちに崖から飛び降り自殺。江西の父親が展子を引き取りますが、お世辞にも幸せと言える環境ではありませんでした。

そんな中で江西だけは展子に優しく接していましたが、彼女はやがて遠い親戚に引き渡されてしまいます。そこでも幸せと言い難い生活を送っていた展子は江西を慕って戻ってきますが、彼は父親を恐れ、手を差し伸べることができませんでした。

その後、大人になってからの展子はすさんだ生活を送ることに。そのときに助けていれば、展子の人生は変わったのかもしれない、と江西はずっと後悔していました。

一方、三馬は映子から、展子が病に冒されながらも懸命に生きていたことを聞きます。そんな彼女の姿に感銘を受けて、アビゲイル騎士団の信者になった映子でしたが、じつは展子はそこで利用されていただけ。余命僅かということから、教団の幹部たちは展子を都合のいいように聖母に仕立て上げていたのです。

●事実を知った三馬は…

その事実を知った三馬はそれらを小説に仕上げ、彩に読ませます。彩はもちろん反発しますが、三馬は愛情を込めた言葉を贈ります。

そして彩の前に現れた展子が伝えた言葉。

それらによってようやく心が動かされた彩は、聖母降臨の儀式の日、防災無線を使ってアビゲイル騎士団の罪を告発します。絶望した真鍋(古川雄大さん)が彩を殺そうとするなど、恐ろしい展開からも身を挺して守った三馬。

かくしてハヤブサ地区には平穏が戻ってきました。

教団の弁護士・杉森(浜田信也さん)とのピリつく対峙、一方で彩に対する愛情があふれたシーン…。まさに中村倫也さんの語りのパワーがさく裂した最終回でもありました。

とは言え、アビゲイル騎士団が消えたわけではありません。あらたな教祖(ちゃんみなさん)を据え、活動は続けているよう。でも、これはある意味リアルなラスト。信仰心はそう簡単に変えることはできません。また新たな「ハヤブサ地区」を見つけるのか…アビゲイル教団の物語はまだまだ続くのでしょう。