著書累計が108万部を突破した作家でメンタルコーチのワタナベ薫さんが、5年ぶりに東京ビッグサイトで講演会を行いました。コーチングのオンラインサロンメンバーは5000人超で、今も入会待ちが多数とのこと。今回の講演会もチケットは即完売し、全国から1000人のファンが集結するということで編集部がお邪魔しました。かつては普通の主婦だったワタナベ薫さんが、ビッグサイトを満員にしてしまうほどのメンタルコーチに至ったきっかけを教えてもらいました。

ワタナベ薫さんの人生が変わった理由

「私は2006年からブログを毎日更新しているのですが、そのブログを始めたのは、流産したのがきっかけでした。喪失感が大きすぎて、そんな後ろ向きな気持ちを遮断するためにブログを始めたんです。

美容やメンタルにテーマを絞り、アフィリエイトも始めようとリサーチをしたのですが、当時の美容系ブログは、言うことや紹介するものがコロコロ変わるものが多かったんです。私はあえてデメリットもちゃんと書こうと思って、本当に自分が信用できるものだけ、商品は年に3〜4つしか紹介しませんでした。それが評判を呼んでアクセス数が増えていき、当時美容系のアフィリエイトでは月1万円得られればいい方だったのに、サラリーマンの月収くらい稼げるようになりました」

●不思議な「3つの出会い」

そこから不思議な出会いが3つ、偶然にも重なったといいます。

「ある日、ブログ読者の1人からセミナーを行うことを勧められました。その人が『私にはワタナベさんの未来の姿が見える。大きな会場でセミナーをやっているの』と言うんです。夢みたいな話ですけど、そんなことを言われると気分がいいじゃないですか(笑)。そこからまんざらでもなくなって、私の妄想が始まったんですね。

その頃、昔からお世話になってた知人に、『私の言うことを信じなくてもいいけど、まあ聞いて。これからあなたは本を出すわよ。講演活動もするし、海外に行くし、お金がいっぱい入ってくるから』と言われて。

3つ目は、当時の元夫の言葉です。ある日なぜか急に、『うわ! 今あなたの未来のイメージが見えたんだよ。あなたが1000人くらい入る大きな会場で講演をしている光景なんだけど…』と言い出したんです。立て続けにそんなことがあって、ちょっとびっくりしました(笑)」

●なりたい将来像をイメージしたら変わった

それらの言葉をワタナベさんは偶然だとスルーせずに、自分のなりたい将来像のイメージづくりに活かしました。

「私はメンタルコーチをしているので、今ならその重要性がわかるのですが、夢をかなえるためにはイメージングというのがとても大事です。

人生にはいくつもの分岐点があって、私の場合、そのまま主婦をしていた人生も、アフィリエーターで満足していた人生もあった。だけど私はそこで、本を書いたり、セミナーや講演会を開催してお金を稼ぐ、というイメージを描いたわけです。ワクワクしながら未来の自分の姿を妄想していたら、実際にそういう人生を歩むことになりました。

コーチングでは、自分の夢をかなえるためには、まず具体的なビジョンを持つこと、目標を設定することが大切です。今、私のオンラインサロンのメンバーは5000人ですが、それも始める時から目標を設定して、徐々に達成していきました。人は、自分が立てた理想やゴールに向かって、自分の行動をうながしていく性質があります。その推進力として大切なのがイメージングなのです」

●ゴールから逆算。限られた人生をどう生きるか意識する

「『最高の人生の見つけ方』という映画があります。余命半年の宣告を受けた老人2人が、死ぬ前にやりたいことリストをつくって、片っ端からやりたいことをやる旅に出る、という物語です。

コーチングは、まずゴールを決めてから、それに向かって行動力を上げていくという、逆算の思考法です。まさにこの映画のとおり、人は死というゴールを意識したとたん、限られた生を思いきり生きるようになるわけです。

私が45歳の時、人生80年だとして、自分に残された日はあと何日になるのか数えてみたら、12780日でした。でも、自分があと20年生きるのか、明日突然寿命が来るのかなんて本当のところはわからないですよね。

私のコーチングのスローガンは、『やりたいことは全部やる! 自分の人生』です。たとえ志半ばで亡くなったとしても、好きなことを精いっぱいやって、生きがいを感じながら人生をまっとうできたら、『ああ、この人はこういう生き方をしたよね』と、周りの人たちには影響や教訓が残るはずです。だから、自分にとって最高の人生を一生懸命に生きましょうね、と私は常々皆さんにお伝えしているんです」

ワタナベ薫さんが紹介した「ゴールを自分で設定し、そこから逆算して行動力を上げる」といった方法。こうしたコーチングのノウハウを、気軽に書き込みながら体感できる手帳があります。

「私のコーチングセミナーにもとづいたさまざまなワークを掲載している『未来手帳』です。今回で9年目になりますが、ダイアリーとして使えるのはもちろん、たくさんの質問に答えて書き込んでいくうちに、自分の潜在意識を刺激して、本当の願望や理想の人生が見えてくるというものです。

また、かなえたい夢や理想を具体的にイメージして、そのゴールを手帳に書き込むことで、理想を現実にしようとする意識が高まって、ゴールから逆算しておのずと行動力がアップするという効果があります」

●手帳に書くことで自分の「本心」を発見できる

たとえばどんなワークがあるのか、ワタナベ薫さんにその一部を教えてもらいました。

「書いたことはすべてかなう、という前提で、リミッターを外して自分の願望をすべて書き出してみる『やりたいことリスト』。途方もない夢でもいいので、自由に書きだすうちに、思いもよらない自分の本心を発見することがあります。

また、『3年後の未来日記』というワークは、すべてがかなったという前提で、3年後の自分がこれまでを振り返って、過去形で日記を書くというものです。夢が実現したていで書いているうちに、脳がそのように錯覚して、行動に移すハードルが下がり、行動力がアップする効果があるんです」

こうした自分の夢を自覚するワークや、コーチングのメソッドにもとづいた行動力を上げるノウハウが、ワタナベ薫さんの『未来手帳』にはたくさん掲載されています。

「先が見えない世の中で、なにもしないまま不安に押しつぶされるのではなく、自分が本当に望むライフスタイルは何なのか、手帳に書きだしながら自分と向き合ってはいかがでしょうか。

理想の未来像が明確になってきたら、脳内でビジュアル化してイメージングを繰り返すことで、そのゴールに向けて情報を集めたり、実際に行動したくなってくるはずです。

私のコーチングスクール卒業生であるコーチたちやブログ読者たちが、この手帳の『シェア会』を自発的にやっていますが、念願だった結婚がかなった人も多数いらっしゃいますし、夢を持つようになったと言う主婦の方も増えています。『やりたいことリスト』が年々壮大になっていって、ついには夢だった起業を果たした人もいらっしゃいますよ」