「ペットボトルのふたをあけるのが大変」「朝、手がこわばってうまく動かせない」「パソコンやスマホ操作が痛くてできない」「フライパンを握ると手指がズキッと痛む」…。こんな症状に悩んではいませんか? この手指の痛みやしびれは「へバーデン結節(けっせつ)」というやっかいな病気である可能性があります。そこで、今回は日本で初めて「へバーデン結節外来」を開設した富永喜代先生に、今すぐできる対処法を教えてもらいました。

更年期頃に感じる手の痛みやしびれ…「へバーデン結節」かも?

更年期に差しかかった女性の多くが悩む身体症状のひとつに、手指の痛みやしびれ、変形があります。
しかし、医療機関では「加齢のせいです、なるべく手指を使わないようにしてください」といわれ、ないがしろにされてしまうことが少なくないのです。

 

●へバーデン結節とは?進行性の病気で5年で手指が変形

なかでも、第一関節(指先から1つ目)で起こる痛みやしびれは「へバーデン結節」という手指の病気であることが多く、症状を放置していると、およそ5年でだんだんと手指に節ができたように変形してしまうのです。

はじめのうちは、「ペットボトルのふたが痛くてあけづらい」「力を込めたグーが握れない」「レジ袋の持ち手が手指にくい込んで持てない」の症状。

放置しているうちに、手指の第一関節にジンジンとしびれるような違和感が出はじめ、関節にコブ(結節)や、水ぶくれのようなぷっくりとした腫れができることもあります。そしてひどくなると関節がごつごつと変形して動かしづらくなり、やがてちょっとした刺激でも激痛を感じるようになります。しかも、一度変形してしまうと、手術以外の方法で変形を治すことができないのです。

この手指の痛みやしびれは「へバーデン結節」というやっかいな病気である可能性が高く、症状を放置していると、だんだん手指が変形していってしまいます。今全国で悩む人が増加中で、患者数は340万人にものぼるといわれています。

今すぐできる“10秒神経マッサージ”

そんな手指の痛みに悩む人を痛みから解放してあげたいと思い、富永喜代先生が考案したのが自宅でも簡単にできる“10秒神経マッサージ”。痛む手指そのものに沿ってマッサージを行うため、刺激する場所もわかりやすく、高いマッサージ効果があります。

押す場所は手指の第一関節の横ジワのわきにあるゴリッとした部分です。親指か人さし指の爪を立てて、上下1cmの長さを目安に片側ずつ縦方向に10秒間こするようにイタ気持ちいい強さで刺激を与えます。

【ルール1】爪を立てて行う

指の腹ではなく、爪を立てて体表近くにある「神経ポイント」を直接刺激します。爪が長い人は、強く押すことで皮膚を傷つけないように注意してください。

【ルール2】イタ気持ちいい強さで

ほどよい圧をかけて、刺激を脳に送ることが重要です。「どちらかといえば痛いけれど、気持ちよさも感じる」ほどの強さをキープすること。また、神経ポイントへの刺激でないと効果がないため、確実に位置を捉えましょう。

【ルール3】10秒を守る

長すぎると過剰な刺激となって、かえって体を緊張させてしまうこともあります。刺激する時間は長すぎず、短すぎず1か所10秒を守り、朝と夜の1日2回行うようにしてください。

【NGポイント】両側から一度に刺激しない

指の関節の両側に行いますが、指を挟み込むようにして一度に両側を刺激するのはNG。左右いっぺんに行っても効果的に刺激を与えることができないため、片側10秒ずつ順番に行うのがコツです。

手指は、自分の目線に入る大切な体のパーツです。痛みやしびれが出たり、変形してくると毎日気になって気になって仕方がありません。へバーデン結節は進行性の病気なので、変形し始める前の予防がなにより重要になります。
日頃からこのマッサージをすることで、指先の痛みやしびれをやわらげましょう。

 

富永先生の最新刊『新装版 へバーデン結節を自力で防ぐ』(扶桑社刊)では、へバーデン結節以外にも「加齢によるものだから仕方ない!」と諦めていた手指の痛みやしびれから解放されるマッサージを多数紹介。手指が痛いときに役に立つ生活の知恵の数々を紹介しています。