来客に備えて、玄関を来客用と家族用に分ける。家づくりでそんな間取りを考えている人は、改めてその必要性を考えてみましょう。2年前に3LDKの平屋を建てた日刊住まいライターは、いまいち活用しきれず、家族用玄関が入居してわずか1か月で納戸のような状態に。玄関がコンパクトであったことも災いしました。そもそも来客用の玄関が必要だったのか? リアルにレポートします。

来客用と家族用に玄関が分かれている間取りを採用

筆者は2年前にハウスメーカーで延床面積33坪、3LDKの平屋の家を建てました。現在、夫と1歳の娘の3人で暮らしています。

それまで住んでいたマンションの玄関はとても狭く、収納スペースも十分にありませんでした。脱いだ靴や掃除道具など、ものがあふれごちゃごちゃした玄関で、常にストレスに。突然の来客時に急いで片づけるのもひと苦労でした。

そこで新しい家では、玄関を来客用と家族用に分けることにしました。「来客用と家族用に分かれた玄関」がある間取りにすれば、すっきりとした玄関が保たれるのではないか、と思ったからです。

 

家族用玄関を使っていたのは最初のうちだけ

憧れだった玄関が2つに分かれた間取り。夫も筆者も、最初のうちは意識して家族用玄関を使うようにしていました。しかしそれは1か月ともたず…。だんだん使わなくなっていったのです。

住み始めて2年たった現在は、家族用玄関はたまに靴を選んで出したり、収納したりする際に足を踏み入れる程度。普段は来客用玄関(写真)で出入りしています。

 

家族用玄関を使わなくなった原因は4つ

筆者が家族用玄関を使わなくなった理由は以下の通りです。

 

●スペースが狭く窮屈

わが家の家族用玄関は幅70cmほど。さらに壁づけのゲタ箱があります。大人1人通ることはできますが、少し圧迫感があります。さらにゲタ箱は開き戸タイプなので、靴を出し入れする際に、とても狭くなり利用しづらいのです。

玄関の幅やスペースを考慮して、引き戸タイプか扉なしタイプのゲタ箱を選べばよかったのかもしれません。

 

●小さい子どもと一緒に通るのが大変

狭い玄関の出入り口は、小さい子どもがいるとデメリットが多いです。子どもを抱っこしながら通るにも、一緒に歩いて通るにも窮屈さを感じます。

また、出入り口ギリギリまでゲタ箱があることで、保育園の荷物や買い物袋を置いたり、子どもの靴を脱がしたりといった動作がとても大変!

 

●迂回してリビングに入るのが面倒くさい

玄関をあけて目の前にリビングがあるのに、家族用玄関に迂回して家に入る…。家族用玄関を採用する際に理解していたものの、実際に生活してみるとその動作が面倒になってきました。

 

●そもそも来客玄関がある意味が薄い

「玄関をきれいに保って突然の来客に備える」という思いから採用した間取りでしたが、突然の来客といっても、親や宅配便くらい。それ以外は事前に連絡があるので、容易に片づけることができます。

靴の出し入れ以外に、家族用玄関として常に利用する目的があればよかったかもしれません。たとえば毎日着るコートや上着、バッグや帽子など出かけるときに必要なものが一式収納できるスペースを設けておけば、家族用玄関をもう少し活用できたように思います。

しかし、家族用玄関にこれ以上の広さと、収納スペースをつくるのは難しかったと思います。

住んで2年、家族用玄関は小さな収納部屋として活用中

そんな理由から、現在は家族用玄関としては使われていません。小物類、掃除道具やクルマ用品、工具、雨具、外遊び用の子どものオモチャなどを収納し、「小さな収納部屋」として活用しています。

 

また、一時的にベビーカーやゴルフ道具などを置く場所としては、とても便利な場所となっています。棚の上のスペースを有効活用し、マフラーや手袋、日やけ止めクリームやアームカバーなど、季節ごとに収納するものを変更しても便利です。

本来の利用目的とは異なってしまったものの、家族用玄関としてのスペースをつくったことで、来客用玄関はきれいな状態を保てています。子どもの成長や生活環境の変化に合わせて、また家族用玄関として使うこともあるかもしれません。