「明らかな女性蔑視」アート作品とその解説投稿が物議「様々なご意見が…」美術館“無言削除”の裏事情
《明らかに女性蔑視的な作品》
《説明なし、投稿消して終わり?》
北海道立近代美術館が9月16日から11月12日まで開催するイベント『【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ』が、ツイッター(現・X)で物議を醸している。
公式サイトの説明によれば、同展は《観る者の心ばかりか、日本画の枠組みそのものさえ揺さぶるインパクトをもった1960年代以降の日本画の数々を、豊橋市美術博物館と道立美術館・芸術館のコレクションを中心にご紹介》するというもの。ネット上で話題となったのは、展示作品の1つだった。
絵画の解説が“女性蔑視的だ”と大炎上
「疑問視されているのは、美術家の田中武氏による『裏側(十六恥漢図シリーズ)』という絵画です。同シリーズは食欲、色欲、金銭欲などの煩悩や欲望を露わにした現代人を描いた作品群ですが、欲を体現したモデルはなぜかすべて女性。『裏側』は、椅子に座った女性がフェイスパックを外すと目元にはモザイクがかかっており、女性の周囲にも性的なものを想起させるような表現がなされています」(美術雑誌編集者)
作品について、北海道立近代美術館のツイッターは《フェイスパックの裏側に現れたのは真実の顔か、それとも…。機知と皮肉、古典絵画へのオマージュが複雑に絡み合あう画面の解読は、さながら知的ゲームのようです》と解説したが……。
「この解説に対して、ネット上では“気持ち悪い”“芸術を舐めてるのか”という声が寄せられ、内容が“女性蔑視的だ”と大炎上を招くことになりました。そんな反応を受けてか、美術館は解説文の投稿を“無言削除”しましたが、この対応も火に油を注ぐ結果となっています」(前出・編集者)
現代人の欲望を鋭く表現した作品
ツイッターでは、
《人間の欲を描く作品で、なんで女性だけなの?違和感しかない》
《どう見ても性的な作品》
《作品をどう評価したのか、なんでツイ消ししたのか、美術館の見解を知りたい》
など、作品および美術館に対して批判的な声が多く寄せられている。さらに、こんな指摘も。
「展示される『裏側』以外の『十六恥漢図』の作品に関しても、タイトルや表現が女性蔑視的だというコメントが集まっています。口から異性の像が次々と出てきている女性の図には『夜妄』、指で何かを数えながら思いを馳せる女性の図には『皮算用』、六法全書を手に椅子に腰掛ける女性の図には『mount』と、そのタイトルには攻撃的な部分も」(前出・編集者)
女性を何かと性的に捉えた作品が多いこともあって、疑問の声が寄せられている田中氏。同氏の作品《裏側》を巡って炎上騒動となってしまった北海道立近代美術館は、この事態をどう捉えているのか。解説の投稿を削除した理由について問い合わせると、以下の回答があった。
《様々な意見を拝見する中で、当館のX上の解説は、作品の意義を的確に伝えていないものと判断したことから、削除しました》
『週刊女性PRIME』へ回答が寄せられた数分後、美術館は公式ツイッターで同様のコメントを投稿。
そして、ツイッターには綴られていないものの、田中氏の作品に対してSNS上で“女性蔑視的である”と批判の声が寄せられていることについては、
《当館の特別展「揺さぶる絵」は、戦後の日本画が社会と向き合うなかで表現の幅を広げていく様を検証する展覧会です。 そのなかで、当該作品は現代人の欲望を鋭く表現した作品として展示するものですが、作品についてSNS上には様々なご意見があるものと受け止めています》
との見解だった。
アートの世界では、さまざまな事象を題材として、芸術家がそれぞれの思想のもとに多種多様な作品を生み出す。変貌する時代の流れの中で、田中氏の作品が揺さぶったのは人々の心か、それとも――。