オーストラリアにあるロイヤルメルボルン工科大学の研究チームが、使用済みのコーヒーの出がらしを使うことで、コンクリートの強度を30%向上させる技術を開発したと発表しました。研究チームは、この技術がコンクリートの強度問題だけでなく、気候変動の原因となる有機廃棄物の処理問題も解決できると期待しています。

Transforming spent coffee grounds into a valuable resource for the enhancement of concrete strength - ScienceDirect

https://doi.org/10.1016/j.jclepro.2023.138205



Coffee offers performance boost for concrete - RMIT University

https://www.rmit.edu.au/news/all-news/2023/aug/coffee-concrete



Coffee offers performance boost for concrete | RMIT University - YouTube

ロイヤルメルボルン工科大学によると、コーヒーを入れた後に残る出がらしのゴミは、オーストラリアだけで毎年7500万kgも排出されており、そのほとんどが埋め立て処分されているとのこと。また、世界全体で見るとコーヒーの出がらしは年間100億kgもゴミとして排出されているそうです。こうした有機廃棄物の処理は、気候変動の原因となるメタンや二酸化炭素などの温室効果ガスを大量に排出するため、環境問題にもなっています。



ロイヤルメルボルン工科大学の博士研究員であるラジーブ・ロイチャンド氏は、コーヒーの出がらしを無酸素状態かつ350℃という高温で加熱して炭化させ、バイオ炭を生成しました。

以下の写真の左下がコーヒーの出がらしで、右下がバイオ炭です。研究チームによれば、コーヒーの出がらし7万5000トンから、約2万2500トンのバイオ炭が生成されるとのこと。



そして、コンクリートに混ぜる砂の15%をコーヒー出がらし由来のバイオ炭に置き換えたところ、強度が29.3%向上したと報告されています。



研究チームのリーダーであるジー・リー教授は、コーヒーの出がらし由来のバイオ炭はコンクリートの製造に使われる砂と置き換えることができるとのこと。リー教授は「建設業界でコンクリートの需要が急速に高まっており、世界中で毎年500億トンもの天然の砂が採取されています。こうした砂は川床や堤防から採取されていますが、環境にも大きな悪影響を与えています」と述べ、コーヒーの出がらしを再利用することが環境問題の解決につながると主張しました。