HPの直販サイトなどで発売中の「HP Pavilion Aero 13-be」は、APU(CPUとGPUを組み合わせたもの)に8コア16スレッドのRyzen 7 7735Uを搭載し、十分高い基本スペックを備えながら、957gの軽さ、最大12時間のバッテリ駆動を実現とモバイル性もバツグン。ゲームもけっこう遊べる3D性能もあり、仕事でもプライベートでも満足度の高い1台となっている。さっそくレビューをお届けしよう。

HP Pavilion Aero 13-be。Ryzen 7 7735U搭載モデルの直販価格は129,000円から(2023年7月下旬現在)

まずは、AMDの「Ryzen 7 7735U」がどのようなAPUなのか紹介していこう。ノートPC向けのRyzen 7000シリーズは、複数のアーキテクチャが入り交じり、少々ややこしいので簡単に整理していこう。

同じRyzen 7000シリーズでも末尾2桁でアーキテクチャを判別できる。Ryzen 7 7735Uが属する7035シリーズは、高性能と携帯性を両立するという位置付け。開発コードネームはRembrandt-Rで、Ryzen 6000シリーズで使われていたRembrandtのリフレッシュ版で動作クロックが底上げされている。

Ryzen 7 7735Uは、8コア16スレッドでブーストクロックは最大4.75GHzとノートPCとしては非常に高く、2次キャッシュが4MB、3次キャッシュが16MBとキャッシュの容量が多いことからも基本性能の高さがうかがえる。TDPは28Wだ。

CPU-Zでの表示。Ryzen 7 7735Uは8コア16スレッド仕様で、TDPは28W

GPU-Zでの表示。CPUに内蔵されるGPUはRDNA 2ベースのRadeon 680M。CUが12基と多く、ゲームもそれなりにプレイできる

CPU以外スペックも紹介しておこう。メモリはLPDDR5-6400が16GBと一般的な用途なら十分な容量を搭載。ストレージは512GBのNVMe SSDだ。ディスプレイは13.3型で解像度はWUXGA(1,920×1,200ドット)。フルHD(1,920×1,080ドット)よりも縦の表示領域が広いので、Webサイトや文書が見やすいのがメリットと言える。IPSパネルを採用しているので、鮮やかで視野角も広い。また、表面は映り込みのないノングレア仕様だ。

無線はIEEE802.11ax/ac/a/b/g/n、いわゆるWi-Fi 6Eに対応し、Bluetooth 5.3もサポート。有線LANは非搭載だ。OSはWindows 11 Homeとなっている。

サイズはW298×D209×H16.9〜18.9mmで、重量は約957g。8コア16スレッドのCPUを搭載して1kg切りはなかなか魅力的だ。しかも、天面耐圧試験では300kgの負荷もクリアと高耐久のボディなので満員電車でも安心と言える。公称で最大12時間とバッテリ駆動時間も非常に長い。気軽に長時間持ち運べるのもポイントだ。ACアダプタは65Wタイプが付属しているが、Type-Cポート経由での充電にも対応。筆者の手持ちの65W出力のUSB PD充電器をType-Cポートに接続して試したが、問題なく充電できた。

65W出力のACアダプタを付属。筆者実測による重量はケーブル込みで204gだった

ホワイトカラーのシンプルなデザイン。ピンクカラーもラインナップする

ディスプレイ上部には92万画素のWebカメラとデュアルマイクが内蔵されており、ビデオ会議にも対応しやすい

公称の重量は約957gだが、筆者の実測では994gだった

ディスプレイは13.3型で解像度はWUXGA(1,920×1,200ドット)。視野角に優れるIPSパネルを採用する

ディスプレイは最大でここまで開く

インタフェースは右側面にUSB 3.0、左側面にHDMI出力、USB 3.0、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort出力、USB PD対応)、ヘッドセット端子というスリムなボディとしては充実している。

本体右側面。USB 3.0のみだ

本体左側面。左からHDMI出力、USB 3.0、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort出力、USB PD対応)、ヘッドセット端子

日本語キーボードを採用。Homeやendキーが一番右に並ぶのが少々特殊な配列だが、そこ以外は特別小さなキーもなく使いやすい

キーピッチは筆者の実測で約19mmと十分広い

キーボードにはバックライトも備える

ここからは性能チェックに移ろう。まずは、PCの基本性能を測定する「PCMark 10」、CGレンダリングでCPUパワーを測定する「CINEBENCH R23」の結果から見ていこう。

PCMark 10の結果

CINEBENCH R23の結果

PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の「Essentials」で4,100以上、表計算/文書作成の「Productivity」で4,500以上、写真や映像編集の「Digital Content Creation」で3,450以上が快適度の目安となっている。EssentialsとDigital Content Creationは目安の2倍以上のスコアを達成、Productivityも大きく上回っており、一般的な用途において非常に高い性能を持っているのが分かる。

CINEBENCH R23は、モバイル向けのCPUということもあって、マルチコアのスコアは8コア16スレッドとしては、それなりという結果。一方で、シングルコアならいくら電力や熱に制限があるノートPCでもフルパワーで動くので、Zen3+アーキテクチャのCPUとして妥当なスコアが出ている。ただ、1kgを切るノートPCとして見れば、どちらも十分高いスコアだ。

公称12時間というバッテリ駆動もテストしておきたい。PCMark 10のBatteryテストから「Modern Office」を実行した。ディスプレイの輝度や電源設定はデフォルトのまま、100%の充電状態から残り5%までを測定している。

PCMark 10のBatteryテストの一つ「Modern Office」の実行結果

オフィス系のさまざまな処理を実行だけにどのノートPCでも基本的に公称のバッテリ駆動時間よりも低く出るテストだが、それでも8時間13分の長時間駆動となった。一般的な使い方なら1日持ち歩いても大丈夫だろう。

また、内蔵GPUはRDNA 2ベースのRadeon 680Mで、GPUコア数に当たるCUを12基も搭載しているということもあり、どこまでゲームをプレイできるかも試しておきたい。ちなみに、Ryzen 3 7320Uは内蔵GPUに同じRDNA 2ベースのAMD Radeon 610Mを搭載しているがCUは2基だ。12基がいかに多いか分かるところ。

ここでは軽めのFPSとして「レインボーシックス シージ」と人気格闘ゲームのベンチマークアプリ「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」を実行した。

レインボーシックス シージの結果。フルHD、画質“最高”で実行している

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールの結果、フルHD、画質“LOW”で実行している

レインボーシックス シージはフルHDで最高画質設定でも平均125fpsで余裕で快適に遊べるフレームレートを出した。軽めのゲームなら十分快適に楽しめる性能がある。ストリートファイター6も画質をLOW設定にすればフルHD解像度でも「問題なくプレイできます」という判定だ。なお、画質設定を一番下のLOWESTまで落とせば、「快適にプレイできます」とより高い判定を達成できる。人気ゲームを画質を落とす必要があるものの、息抜きに楽しめるのはうれしいところだ。

Ryzen 7 7735Uを搭載する「HP Pavilion Aero 13-be」は、12万円台からで1kgを切る薄型軽量ボディに8コア16スレッドのパワフルな処理性能、ゲームもそこそこプレイできる3D性能を備えた汎用性の高いノートPCだ。ディスプレイのサイズも13.3型と小さすぎないので、長時間の作業もしやすいのもよいところ。軽くて使い勝手のよいノートPCを探しているならチェックして損のない1台だ。