ホテル雅叙園東京で、企画展「和のあかり×百段階段2023 〜極彩色の百鬼夜行〜」が始まりました。2015年に始まったこの企画展はこれまでに7回実施され、昨年までの累計来場者が44万人を超えるほどの人気ぶりで、いまや同ホテルの夏の風物詩に。8回目となる今年は「極彩色の百鬼夜行」をテーマに、歴史的な文化財空間に妖しくも美しい異世界が待ち受ける……という趣向。想像するだけでワクワクしてきます。



舞台となる東京都指定有形文化財「百段階段」は、1935年に建てられた、同ホテルで現存する唯一の木造建築です。99段の長い長い階段廊下が7つの部屋をつなぎ、当代屈指の画家たちによって趣向を凝らした装飾がなされた部屋は、江戸時代から伝わる伝統的な美意識と昭和初期のモダニズムが息づく絢爛豪華さ。

舞台となるのは、7つの部屋を99段の長い階段廊下がつなぐ、東京都指定有形文化財「百段階段」

第1回目の「和のあかり展」は、そんな階段の明かりを一度全部消して、違うものを入れてみたらどう見えるのだろう? というアイディアから始まったそう。「有形文化財の中にねぶたのような無形文化財をいれたら面白いのでは」という発想自体が面白いですが、それを実現できちゃうのが、この“日本美のミュージアムホテル”のすごいところ。





回を重ねるごとに人気と評判は高まり、昨年は「光と影・百物語」と題して、光によって生まれる影、陰影の美しさを展示テーマに、百物語の怪談ストーリーで演出して大好評。となると「今年は何を?」という周囲の期待もおのずと高まるわけで、淡色の美しさを表現した昨年とは真逆の“極彩色”をテーマに、古からの言い伝え、鬼や妖怪が深夜に徘徊する「百鬼夜行」を打ち出してきました。





部屋ごとに異なるストーリーがあり、さまざまな「あかりアート」の美しさの中に、異界のものが潜んでいる気配が……。階段を上るにつれて、まるで現世から異世界へと迷い込んでいくみたい。たとえば「籠染灯籠」の幻想的なあかりと生け花のコラボレーション、あるいはペットボトルがダイナミックなアートとして蘇るサステナブルなあかり。「名古屋ちょうちん」「柳井金魚ちょうちん」「平塚七夕飾り」などの伝統的な技法に新たな発想を加えた作品から現代アートまで、多彩なジャンルのアート作品が、百鬼夜行の世界を創り出しています。





それらのアートを際立たせ百鬼夜行の世界を完成させているのが、この企画展のために作られたオリジナル楽曲。さらに香りの演出も加わって、目で、耳で、香りで、妖しくも美しい異空間を全身で体感しながら、鬼や妖怪たちに遭遇し、階段を上り終えて行きつく先は一体……?



「文化財でこんな大胆な演出ができちゃうの!?」と驚きながら、あかりアートが創り出す極彩色の異空間に酔いしれる。部屋をつなぐ廊下のあちこちにも、さまざまな趣向がこらされているのでお見逃しなく。とにかく、どこもかしこも映えスポットだらけの「和のあかり×百段階段2023 〜極彩色の百鬼夜行〜」は、9月24日まで開催です。

同展の期間中は1日1室限定で、漉き紙の柔らかなあかりや籠染灯籠が映し出す幻想的な影が彩る「和のあかりルーム」プランも。1室2名103,500円〜(税サ込・宿泊税別)

■information

「和のあかり×百段階段2023 〜極彩色の百鬼夜行〜」

会場:ホテル雅叙園東京

期間:7月1日〜9月24日(11:00〜18:00 会期中無休)

観覧料:当日券1,500円/学生800円※要学生証呈示/未就学児無料