自転車の車輪についていた“ケバケバ” あれは何だったのか 今や絶滅危惧で激レアに
昭和からや平成初期くらいまでよく見かけた、ママチャリのスポーク部分についている謎の“ケバケバの輪っか”。実は絶滅危惧種となっています。
実はあのケバケバには意味があった!
昭和や平成初期のシティサイクル、いわゆるママチャリなどの自転車のスポークの中央に、ハリガネからカラフルなケバケバが生えたモール状の輪っかが取り付けられていたことかありました。
ママチャリのイメージ(画像:写真AC)。
おそらく昭和50年代生まれあたりの人までは馴染みがあるのではないでしょうか。あれは「ハブ毛」または「ハブブラシ」と呼ばれる製品で、実は“掃除をしにくいハブをキレイに保つ”という役割があります。
その歴史は大正時代にさかのぼり、特に流行したのは1970〜80年代になるようです。掃除のほか、スポークをカラフルに彩るという役目もあり、かつては自転車店のサービス品として、自転車を買うと取り付けられていたときもありました。
これが、なぜ廃れたのかは諸説あります。ママチャリのライトの形式が車輪の摩擦で発電する形式ではなく、ハブ中央部分のドラムで発電するハブダイナモ式が増えたということもありますが、もっと大きな原因が、いわゆる街の自転車屋さんの減少にあったようです。
ホームセンターやスーパーなどの大型量販店で多くの自転車が売られるようになると、大量に仕入れるため安価な自転車が増えます。すると、街の自転車店も数を減らし、自転車屋に修理を頼み長く使うという習慣も消滅。ハブ毛はそうした自転車店が修理のときなどにもサービスでつけていたケースが多かったため、自転車店の減少と共に、ハブ毛もその数を減らしていきました。
ハブ毛は2023年現在、国内で最後まで製造していた愛知県津島市の三優商会が廃業し、ネットの通販サイトやフリマサイトに出回っているのみという、絶滅危惧種な製品となっています。
現在は、ハブ毛愛好家のTwitterユーザーである「もつなべ」さんが、芯材にステンレスを使用したフルオーダー品のハブ毛を個人で販売しているようです。また、輸入品が多少はあるようで、安価な商品がネットで確認できました。しかし、街中にハブ毛の自転車が溢れかえっていた時代には、もう戻ることはなさそうです。