大田区は新空港線(蒲蒲線)の整備を見据えた沿線まちづくり構想をまとめました。各駅の将来像のほか、新空港線の運行形態に関する記述もあります。

蒲田駅では東西自由通路整備など「大改造」も検討

 東京都大田区は2023年6月、「大田区鉄道沿線まちづくり構想(案)」をまとめました。構想の実現を見据え、新空港線(蒲蒲線)の運行形態などに関する記述も盛り込まれています。どのような内容なのでしょうか。


東急多摩川線(画像:写真AC)。

 この構想は区が「40年来続く長年の悲願」としている新空港線(蒲蒲線)の整備を契機に沿線まちづくりを進めるため、区内における各鉄道沿線の駅周辺地区の将来像を示すものです。東急多摩川線、新空港線、京急空港線の沿線を「新空港線軸」として位置付け、他地域にも整備効果を波及させるとしています。
 
 新空港線(蒲蒲線)は現在、一期整備区間として(東急多摩川線)矢口渡〜京急蒲田間の事業化に向けた取り組みが進められています。2022年10月に整備主体となる第三セクター「羽田エアポートライン」が設立されており、運行車体は東急電鉄となる見通しです。

 同区間は地下線として整備され、東急多摩川線の蒲田駅は地下化、京急蒲田駅にも地下駅がつくられます。これにより、約800m離れているJR・東急の蒲田駅と京急蒲田駅が結ばれます。
 
 現在、東急多摩川線は、多摩川〜蒲田駅間を結ぶ3両編成の各駅停車のみが運行されています。ただ、新空港線開業後は、東京メトロ副都心線や東武東上線、西武池袋線から直通する優等列車が走ることも想定されており、大きく変化する見込みです。

 構想では、新空港線(蒲蒲線)について「多摩川線のどの駅にも停車しないことがないよう、また現行の多摩川線の運行形態から大幅な変更がないように運行本数にも配慮し、鉄道事業者と協議・調整を行っていく」と明記しました。
 
 また、二期整備区間となる京急蒲田〜大鳥居間については、東急電鉄と京急電鉄でレール幅が異なるなどのハードルがあることから、鉄道事業者と課題解決を図りながら実現に向けた検討を進めていくとしています。

 新空港線(蒲蒲線)など、各エリア別の駅の方針も示されています。蒲田駅では、東西自由通路と北側通路の整備に向けた検討、駅前広場の機能向上、駅前広場と連携した駅舎・駅ビルの機能更新などを推進する予定。東急の下丸子駅周辺では、連続立体交差化で生まれる高架下などを活用するとしています。

 京急の大鳥居駅と穴守稲荷駅では、新空港線整備を見据えた機能強化や駅周辺の動線改善などを進める方針。天空橋駅では、羽田イノベーションシティ周辺の船着場などを活用した舟運事業などを推進していくとしています。