副都心線の真上に「入口だけのトンネル」出現 出口はどこへ? 工事進む明治通りバイパス
新宿で明治通りのバイパスとなるトンネルが開通しましたが、実は同様のバイパスの建設が池袋周辺でも進んでいます。トンネルもほぼ完成状態ですが、“出口”はまだ影も形もありません。どのような道路なのでしょうか。
明治通りのバイパス「環5の1」工事進む
2022年12月、新宿駅近くに「新宿御苑トンネル」を含む新たな道路が開通し、明治通りのバイパスが完成。周辺の交通の流れが大きく変わりました。
実は同様のバイパス建設は、池袋の周辺でも進んでおり、かなり進捗しています。その本線となるトンネルも完成に近づいています。ただ、明治通りから、そうした変化を伺い知ることが未だできない状態です。どのような道路なのでしょうか。
東池袋交差点。明治通りのバイパスはここへ接続し、この先、池袋六ツ叉で明治通りに合流するようになる(乗りものニュース編集部撮影)。
新宿、池袋とも、「環状第5の1号線」と呼ばれる都市計画道路の未成区間をつなげるプロジェクトです。実は明治通りの西側は大半がこの「環5の1」に当たりますが、新宿と池袋の区間は長らく未開通で、両駅前の通りが明治通りに組み込まれています。
池袋の未成区間「環5の1(雑司が谷)」は、「東池袋」交差点から南へ延び、工事の真っ最中。豊島区役所の横には、新しい道路トンネルが口を開けています。このトンネルが将来の本線、地上部分が側道になる計画です。
このトンネルは地下鉄副都心線の真上を通っており、途中にある地下鉄雑司が谷駅は、両方のトンネルに挟まれるような形になります。駅を避けるため、道路トンネルはここだけ少し上って下りるような線形になります。
「環5の1(雑司が谷)」の整備工事は1.4kmを3工区に分け進められており、池袋寄りの2工区と3工区では、2023年6月現在、すでにトンネル躯体が完成しています。東京都第四建設事務所によると、「現状では入口だけがあって、出口がない(地上に現れていない)状態」なのだそう。
では、出口はどこになるのでしょうか。
トンネルの出口は“崖下”だ!
「環5の1」の地上道路は、雑司ヶ谷駅の南側を東西に通る目白通りで行き止まりになります。そこから先は“崖”であり、下に明治通りが通っています。並行する都電荒川線は崖を切り開いた急な坂を下っており、坂の途中にあるのが「学習院下」電停です。
「地上道路は目白通りで行き止まりですが、本線トンネルは、明治通りの坂の途中に接続します。今はまだ立坑に着手した段階です。今後、明治通りの坂を交通規制し、道路の真ん中にトンネル坑口を構築する工事が本格化します」(東京都第四建設事務所)
崖上の目白通りは、1932(昭和7)年に完成した千登世橋で明治通りをまたいでおり、崖下の明治通りとはかなりの高低差があります。この高低差を地下トンネルで克服するのです。
なお、環5の1の本線トンネルは片側1車線の計画です。現在、明治通りは片側2車線ですが、トンネル接続部付近は、上下それぞれ1車線がトンネルに通じる計画のため、ここで分岐・合流が生まれます。分岐後の明治通り北行きは千登世橋をくぐって2車線に復帰。逆に南行きはその付近から、合流に備え2車線が1車線に絞られるようになるといいます。
目白通りから明治通りを望む。坂の中腹にトンネル坑口が設けられる予定(乗りものニュース編集部撮影)。
ちなみに、千登世橋は日本初の道路の立体交差ともいわれ、目白通りから明治通りへ意匠を凝らしたコンクリートの階段が通じていますが、今後、工事の過程でいちど取り壊しになるそう。崖上と崖下をつなぐ新たな歩行者用施設の整備も検討しているといいます。
こうした高低差のため、現在は明治通りから崖上で行われている環5の1の工事を伺うことはできませんが、今後、学習院下付近は大きく変わりそうです。開通は、2028年度の目標とされています。