南海じゃないぞ!泉北高速の新車「9300系」は「らしさ」十分 ″伝統と新機軸″の全貌を見た
15年ぶりに導入される新型通勤車両、泉北高速鉄道9300系。泉北高速らしさを活かしつつ、省エネ性能や快適さが大幅アップしています。
15年ぶりの新型車には「泉北高速らしさ」がたっぷり
泉北高速鉄道が、8月上旬に営業運転に投入する新型通勤車両9300系を報道陣に公開しました。泉北高速鉄道として7020系以来15年ぶりの新型通勤車両の導入で、外観はもちろん、内装にも「泉北高速鉄道らしさ」が詰まっています。
8月に運転開始する泉北高速鉄道の新型9300系電車(鶴原早恵子撮影)。
9300系は、2015年にデビューした南海電気鉄道の8300系をベースに設計。環境に優しくすべての人が使いやすい、安心・快適な車両を目指して作られました。
車体の側面には「SEMBOKU」のロゴと青い帯、前面にはアイボリーが塗装されています。青は泉北高速のラインカラー、アイボリーは従来の通勤車両の車体色で、利用者にとってはおなじみの色といえるでしょう。南海の車両と外観がそこまで変わらないはずですが、このカラーリングによって新型車両のアイデンティティがしっかり表れている感じがします。
車内は濃いめの木目調の内装となり、シックで上品な雰囲気です。座席のモケットは泉北高速鉄道らしい赤系カラーですが、今回初めて「濃淡の異なる2色」を1人分ごとに交互に配置する、お洒落なデザインが採用されています。ウレタンクッションを使った座面はしっかりした座り心地でした。
デビューは8月上旬。その前には試乗会などのイベントもあり!
9300系はまた、環境とバリアフリーへの配慮が至るところに見られるのも特徴です。エネルギー効率が高い機器やLED照明を使うことで、最古参の3000系と比べると約50%消費電力を抑えることができるといいます。また、ステンレス製の車体はメンテナンスも比較的楽で、環境にかかる負荷が軽くなっています。
1975年に運転開始した泉北高速の3000系電車(画像:写真AC)。
車内の扉横にはベビーカーや車椅子のスペースのほか、大きめの荷物を置けるスペースも設置しました。優先座席はモケットやつり革の色を黄色を使い、さらに床にも案内を表示し、目立ちやすく、わかりやすくなっています。
今後、9300系のイベントとして7月22日(土)に運転体験イベント(有料)が、8月5日(土)には試乗会(無料)がそれぞれ営業運転開始前に企画されています。なお、取材時点では具体的な営業運転開始日については未定とのことでした。