続・「ANAの驚愕の地方創生」実行! 「『でんぱ組.inc』1泊2日超濃密ツアー」 推し活から何が生まれる?
たしかに「徳島でライブ」は、あんまり聞いたことないかも。
ライブだけじゃない「推し活」
ANA(全日空)グループのANAあきんどなどが、ユニークな地方創生事業を2023年5月に実施しています。アイドルのグループ「でんぱ組.inc」のライブ参加を軸に、1泊2日でファンと彼女たちとの交流会を設けつつ、徳島県、ならびに淡路島の名所を巡る“推し活”ツアーです。これにはどのような効果が期待できるのでしょうか。
「でんぱ組.inc」とのツアーの様子(2023年5月、乗りものニュース編集部撮影)。
ツアーでは、徳島市内のライブハウスでのライブ公演を軸に、徳島空港近くに位置する「月見ヶ丘海浜公園」で、徳島の伝統文化「阿波おどり」の魅力に触れる機会を設定。ここでは、規格外の魚を使った食事の提供などでSDGs(持続可能な開発目標)への理解促進を深めます。また同空港からもアクセスの良い淡路島にある「ニジゲンノモリ」などでの交流イベントを設置。1泊2日の旅程で、同グループを”推す”ファンとメンバーの交流を深めるツアーとなっています。
ANAあきんどが展開する今回の企画について徳島県の担当者は、最初の印象を「純粋に面白そうだなと感じました」としています。
「同様のツアーの前例は全国的にはありますが、数は多くなく、徳島県ではおそらく初の試みになると思いました。アイドルというインフルエンサーの方がわざわざ来てくれることも、県としてプラスに働くと考えました。ツアー内容には徳島県を感じられる要素もあり、単なるファンツアーではなく、徳島県の魅力を味わえるものとなっていることも良かったです」
徳島県観光の課題は?
徳島県は、関西からアクセスが良好な立地でありすぎるがゆえ、宿泊者数が少ないことや20〜30代の若い世代の来県が比較的少ないなどの観光上の課題を抱えているといいます。
「ファンクラブに所属する首都圏などの大都市在住の、比較的若い世代の方約100名が来られ『推し』のアイドルと楽しい時間を共有することができた思い出の地として、徳島県のことももっと知りたいと思ってくれて、リピーターとしてまた来県してくださるとうれしいです」(県の担当者)
また、今回のツアーでは投稿者同士で自然発生的に話題を呼んでいく、いわゆる「バズる」ことで、同県の魅力が広く発信される可能性もあるとのこと。「インフルエンサーと言われるアイドルの方による自由な発信、またそれによる反応に期待したい」と同県の担当者は話します。
「でんぱ組.inc」とのツアーの様子(2023年5月、乗りものニュース編集部撮影)。
一方でANA/ANAあきんどの信岡保久氏は「徳島県にはアイドルのライブ・コンサートをできるような大規模な施設が非常に少なく、お呼びするのは難しいのかなと感じていました。今回の話を聞いたとき、アイドルとファンの方々が交流しながら、新たな徳島の魅力を発信していただけるのは、非常に楽しみでした」と話します。
また、同氏によるととくに「徳島県はSDGsを掲げる先進的な県」とのことで、参加者には、規格外の大きさではあるものの、名産である鯛を使った食事を提供するなど、同目標にちなんだコンテンツも組み込まれています。
「まだまだ徳島は他県に比べても、メジャーな観光地は少ないかもしれません。その分、だれも見つけていないような、オンリーワンの魅力を見つけていただけるようなチャンスがあるかなと考えています。まだ見ぬ、まだ知らない徳島の魅力を見て、発信していただきたいです」(信岡氏)