友達とチャットしたり、好きなコミュニティに参加して他人と交流を図ったりすることができるソーシャルアプリ「IRL」が2023年6月28日に閉鎖しました。このアプリは、2000万人いたとされるユーザーの95%がボットだったことが内部調査により発覚していました。

Unicorn social app IRL to shut down after admitting 95% of its users were fake | TechCrunch

https://techcrunch.com/2023/06/26/irl-shut-down-fake-users/



IRL admits 95% of its app users fake, will shut down | Fortune

https://fortune.com/2023/06/25/irl-shutting-down-startup-admits-95-percent-of-messaging-app-users-were-fake/



スタートアップのIRLは2021年にソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから2億ドル(約290億円)の資金を調達し、評価額が11億7000万ドル(約1700億円)に達するなど好調な滑り出しを見せていました。同社は自らを「イベントや共有体験を通じて人々を結びつける、グループ・メッセージング・ソーシャルネットワークのリーディングカンパニー」と説明しており、アブラハム・シャフィCEOは「IRLの第一の目標は、より信頼できる有機的なコミュニティを創造すること」との展望を語っていました。

しかし、2022年にIRLは約100人いたチームのうち25人近くを突然レイオフしてしまいます。2021年には従業員数を3倍以上に増やしていたため従業員からはこのレイオフに驚きの声が上がったと伝えられており、レイオフと同時期に従業員の間から「月間アクティブユーザー数が2000万人である」と主張するシャフィ氏の言葉を疑う声が増えていったそうです。



The Informationが最初に報じたところによると、IRLには取締役会による内部調査のメスが入り、その結果IRLの2000万人とされるユーザーの実に95%がボットであることが判明していたとのこと。この報告を受けて取締役会はシャフィCEOを停職処分にしました。

IRLの広報担当者は「調査結果に基づき、株主の大多数は同社が今後持続不可能であると結論づけました」と発表。IRLは間もなく廃業する予定であり、資本を株主に返還すると述べていました。



他のスタートアップのリーダーたちは「不正行為なしに本物のビジネスを構築した上で、数年でトップに上り詰めるのはほぼ不可能だということです」「なぜ私の会社はIRLのように急成長しないのかと聞かれることがよくありますが、IRLは最初から詐欺師だったのです」などと述べ、IRLの体制を批判しました。