「日本一短い鉄道」どんな路線?所要時間わずか3分 成田空港の知られざるミニ鉄道
「日本一短い鉄道」として知られる芝山鉄道。どのような路線なのでしょうか。
空港を走るのにあまり知られていない理由とは
成田空港には、「日本一短い鉄道」として知られる芝山鉄道が走っています。一般の空港利用者にはあまり馴染みがない路線ですが、どのような路線なのでしょうか。
芝山鉄道の車両(乗りものニュース編集部撮影)。
芝山鉄道線は、初代の成田空港駅だった東成田駅と、空港敷地の南東側にある芝山千代田駅までを結ぶわずか2.2キロの路線で、2002(平成14)年10月27日に開業しました。開業の背景には、成田空港によって周囲と隔絶されたようになる地区を鉄道で直結して救済する目的があったといいます。
京成成田〜東成田駅間のルートは当初、京成の本線として空港アクセス輸送を担っていましたが、空港の手前から分岐して現在の成田空港駅に向かう新線が開業すると、初代の「成田空港駅」は「東成田駅」に改称。旧線も「京成東成田線」として、ほぼ空港関係者のみが利用する路線になってしまい、今に至ります。芝山鉄道は、その東成田線の延伸部として開業したのです。
京成東成田線は空港へのメインルートではなくなっているため、同線と一体的に運行されている芝山鉄道も利用者は少なく、列車本数は日中時間帯で40分に1本となっています。京成成田〜芝山千代田間を運行する列車が多数を占め、朝夕のみ都心方面(京成上野や西馬込)まで直通するダイヤになっています。2022年からは一部時間帯でワンマン運転も開始されています。
車両は、京成電鉄からリースされた3500形の4両編成1本を保有。この車両は京成電鉄の3500形では青色で塗装されている部分が緑色となっており、車体側面に「芝山鉄道」の銘版、車体前面に芝山鉄道を示す「SR」表記があることが特徴となっています。主に京成成田〜芝山千代田間の列車で使用されています。実際に乗車してみると、車内は成田空港の利用促進をPRする広告が多く目につきました。
終点の「芝山千代田駅」どんな場所?
列車は東成田駅を出ると、しばらく地下を走って地上に出た後、終点の芝山千代田駅の手前で高架に上がります。所要時間はわずか3分です。もともとは真っすぐ芝山千代田駅まで行く予定だったのですが、用地取得の関係で、東成田駅を出ると急カーブで迂回するような線形になっています。
終点の芝山千代田駅は1面1線の高架駅。滑走路や空港関連施設に隣接し、駐機中の機体をホームから間近に見ることができます。2022年度の1日あたりの平均乗降人員は1308人と首都圏の駅では少ない方ですが、駅舎はなかなか立派です。
駅ではグッズが販売されているほか、枚数限定で乗車記念証明書も配布されることがあります。駅の周辺には芝山古墳群があることから、はにわも展示されています。ちなみに、芝山鉄道では「PASMO」や「Suica」などのIC乗車券は利用できず、自動券売機できっぷを購入する必要があります。
ホームの先には車止めがあり、路線はここで途切れています。将来、空港周辺地区のアクセスにとどまらず、このまま房総半島の付け根を横断し、九十九里に近い蓮沼海岸まで延伸するという構想もあります。周辺自治体で構成する「芝山鉄道延伸連絡協議会」はこの構想案を「騒音下各市町及び東総地域の発展策」としており、横芝屋形海岸から空港へのシャトルバスを「暫定措置」として運行しています。
駅から約2.2キロ離れた場所には、観光スポットとして航空科学博物館があり、国産旅客機「YS11」の試作機などが展示されています。
※誤字を修正しました(6月26日14時13分)。