海底のタイタニック号見学ツアーで消息を絶った潜水艇「タイタン」は、操縦にゲームコントローラーが使用されていたとして、批判も起きています。しかし、実は考えようによっては極めて合理的な操縦手段でもあります。

皆使ったことがあることが重要

 アメリカ、オーシャンゲート・エクスペディションズの潜水艇「タイタン」が2023年6月18日に行方不明となった事故が世界中で報じられていました。その後、23日に潜水艇の破片が発見され、乗員乗客5名全員の生存は絶望的とアメリカ沿岸警備隊が発表しました。1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の残骸を見る観光ツアーのさなかでした。


オーシャンゲート・エクスペディションズのYouTubeチャンネルで公開されている潜水艇の映像(画像:オーシャンゲート・エクスペディションズ)。

 同潜水艇の操縦には、ゲーム機やPCゲーム用のゲームパッド(コントローラー)を使用していることが、明らかになっています。そのコントローラーはロジクール製の「F710」ワイヤレスコントローラーと言われており、事故後、海外では売り切れるネット通販サイトもあるようです。

 一方、PCでの使用で「接続が悪い」というレビューを掘り起こし、人の命を預かっているのにも関わらず、なぜコントローラーなのかという批判もあります。しかし、実は軍隊でも、ハイテク兵器にこうしたコントローラーを使用するケースは珍しくありません。

 アメリカでは、海軍がバージニア級原子力潜水艦の電子光学式潜望鏡の操作に、予算削減を目的として、マイクロソフト社製Xbox 360用コントローラーの転用を試みたことも。他にも米海軍は、試作中のレーザー兵器に同コントローラーを使用したこともあります。

 アメリカ陸軍も同様で、一部の無人兵器や爆弾処理ロボットの操縦などにコントローラーを使用しています。

 また、イスラエルが開発中のカルメル装甲戦闘車では、車両の操縦にコントローラーのようなコンソールが使われていることが注目を集めました。コントローラーにする利点として、予算削減のほかに、多くの兵士が使い慣れているものなので技術習得が早いということもあるようです。

 ちなみに日本では、各地の実証実験などで使われている自動運転バス、NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)で、緊急時や自動運転区間以外の車両運転用としてXbox 360用のコントローラーを使用するケースがあります。