実証機の初飛行に備え。

2035年の実用化に向けて重要な実験

 英BAEシステムズは2023年6月14日、次世代ステルス戦闘機「テンペスト」の射出座席の試験映像を公開しました。「テンペスト」は日本とイギリス、イタリアが共同で開発を進めている、いわゆる“次期戦闘機”で、BAEはそのプログラムリーダーです。


射出座席と前部胴体のテストユニット(画像: BAEシステムズ)。

 同実験は、射出座席と航空機用安全装備の大手であるマーティン・ベイカーと協力して行われたもので、時速500マイル(約800km/h)で走行するロケット推進のソリを使って射出座席の安全性を確かめました。

 厳格なテストを経た射出座席は、今後、飛行技術実証機に組み込まれる予定であり、テンペストの開発を進めるうえで重要なステップとなります。なお、実証機の初飛行は今後4年以内に行い、2035年までに実用化することを目指しています。

 今回、軍用機設計としては初めてBAEシステムズは自動コーディングを使用して、安全性が重要なシステムやソフトウェアの作成を行ったそうで、これまで数週間の期間が必要だったところを数日に短縮したとのことです。

 射出座席のほかにも、BAEシステムズでは、イギリス空軍とロールス・ロイス所属のテストパイロットが「テンペスト」用の特注シミュレーターで150時間以上の飛行訓練をおこなっており、初飛行に向けた準備は万全になっています。