今年もあんな質問やこんな質問が出てきました。

オンラインでの回答開示の取り組みも

 JAL(日本航空)の株主総会が2023年6月23日に定時株主総会を開催。同社では今年からは会場での質問に加え、オンラインで事前に質問を受け付け、回答を開示する新たな取り組みを開始しています。会場・オンライン上で、JAL経営陣に対し、株主からさまざま質問が寄せられました。

 質問が多かったのは、2023年4月12日からリニューアルされた国内線の新運賃体系や、新型旅客機の導入計画、2024年1月から導入予定の新たなマイレージプログラムについてなど。このほかにも、それらの議題以外の質問も多数寄せられています。以下はその一部です。


JALの飛行機(乗りものニュース編集部撮影)。

――(ボーイング737-8の導入について)同型機は運航開始当初に墜落事故が相次いでいた経緯から、不安と抵抗感があります。ジェットスター・ジャパンも運航するエアバスA320ではなく、こちらの導入を決定した理由について、乗務員訓練が不要であるという観点以外での理由を教えてください。

 安全性の確保については、過去に発生した事故について既に事故原因が特定され、必要な機材改修や運航マニュアルの整備が完了しており、当社としても十分に確認をしております。導入理由については、運航乗務員や整備士の移行が円滑に進むほか、既にボーイング737-800を運航しているため、予備部品等の初期投資が抑制できるなど、経済性と機材計画の柔軟性の面での評価が高かったことから、ボーイング737-8の導入を決定いたしました。

――最近、SNS上でダブルデッカーキャビンという、2階建てのエコノミークラスの座席が話題になっており、日本の航空会社とも導入に向けて協議しているなどと言う投稿もあるが、日本航空として導入する考えはあるのか、また導入するのであれば緊急着陸時の姿勢など、安全性への懸念についてはどう考えているのでしょうか。

 現時点では、当社としてこの座席を導入するという予定はなく、協議を進めているという事実はございません。実現するに際しては、ご指摘のような安全性をはじめ、さまざまな課題をクリアする必要があると考えております。一方、このような斬新なアイデアをはじめ、さまざまな機内サービスにおけるイノベーションの調査・研究は今後も継続してまいります。

「国内線新運賃」「ジャニーズまだ使うの?」

――国内線の新運賃体系について、同一カテゴリ内で早く購入したほうが遅く購入するより金額が高くなるケースはあるか。あるとしたらどの程度の頻度で発生するか。

 新運賃は、シンプルでわかりやすい運賃ラインナップへ変更しお客さまの利便性を向上させるとともに、混雑状況に応じた価格設定により収入最大化を図っております。このため、ご利用いただく路線や購入いただくタイミングによってどの運賃がお得かは異なってまいります。特に競合他社の動きや需給環境の変化などを加味した結果、ご指摘のようなケースが生じることがございますが、頻度については一概に申し上げられない状況でございます。

――(リニューアル後のマイレージ特典航空券について)以前は国内線の予約変更が可能だったものが、当日を含めて変更不可になり、とても利用し辛くなりました。せめて当日の早い便への変更だけでも認めて頂くように改善願えませんでしょうか。何卒ご検討頂きたくお願い申し上げます。

 混雑時期においてもマイルで特典座席を取ることができる仕組みを導入し利便性を大幅に向上する中、便変更の結果として混雑便を中心に他のお客さまのご搭乗機会を制約してしまうケースもある点を加味させて頂き、予約変更の際には一度払い戻しの上で新規予約していただく仕組みとさせていただきました。


JALが導入を計画しているボーイング737-8(画像:JAL)。

――国内問わず海外からも注目され批判の声も多く見受けられるが、ジャニーズ事務所のタレントを起用し続けるのはイメージダウンに繋がらないのか?JAL利用者の半数以上がファンであるなら話は別だが、そうでなければスポンサー継続する理由を教えていただきたい。

 当社は、企業にはあらゆる人々の人権を尊重する責任があると認識しているため、ジャニーズ事務所の対応については引き続き注視してまいります。一方で、この問題により所属タレント個人の責任が問われるものではないと考えますし、当社が起用しているタレントは現在も多くのファンから応援され続けていると受け止めています。当社ブランドのイメージダウンには繋がらないと考えております。

「新マイレージプログラム」、どうなる?

――JALではタッチ&ゴー(編注:事前に予約・購入・座席指定を済ませることでチェックインなしで保安検査上にそのまま進むことができるシステム)を無くす予定がありますか?

 JALグループでは幅広いお客さまにより多くの選択肢を提供すべく、国内線における「JAL タッチ&ゴーサービス」や「自動チェックイン機によるサービス」を今後も継続する予定です。今後もお客さまのご意見やニーズを捉えながら、より快適なサービスを提供できるように努め
てまいります。

――現在検討されている新しい(マイレージ会員の)上級会員制度の内容は、いつ頃発表の予定ですか。また、ステイタス毎の特典内容が改悪されることもあるでしょうか。

 現行のFLY ONプログラムについては、新ステイタスプログラムを開始以降も、単年度の航空搭乗に応じてステイタスを獲得いただけるという従来の内容で継続いたします。これに加えて、2024年1月から導入予定の新プログラムの詳細については、今年の秋ごろに発表する予定としております。

 なお、コンセプトの柱は以下の3点です。

・航空のみならず、JAL グループのさまざまなサービスのご利用実績に基づいてステイタスランクを獲得いただけます。
・ランク獲得に必要なポイントは、単年度だけでなく生涯にわたりご自身のペースで蓄積できます。
・ランクが上がれば上がるほど、これまで以上の特典・サービスをご利用いただけます。例えば、JALグローバルクラブ招待やマイル有効期限の無期限化を予定しています。

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株主総会にのぞむJALの赤坂祐二社長(乗りものニュース編集部撮影)。

 このほか株主からは「株主割引券でなかなか予約を取りづらい。特にファーストクラスはほとんど取れない。供給数が少な過ぎるのではないか」「インド便について、国柄特殊な食事が多く、あまりにも(優先的に配られることが一般的な)特別機内食が多すぎて、本来期待しているJALのサービスが受けられない。逆に日本食を特別機内食とするなどサービス改善できないか」「女性ばかりをなぜ採用しているのか、人材を少ないといいながらなぜ男性を採用しないのか?」といった質問が経営陣に投げかけられました。

 なお、JALによると、グループ連結の売上高ならびに利益の推移について、売上高は、すでに昨年度、コロナ前の水準まで回復し、今年度は再上場後の最高水準となる見込みとのことです。

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