西武ホールディングスの株主総会が開催。株主からは、池袋線と比べて近代化が進まない新宿線の「格差」是正を求める声が続出しました。新宿線で使用される特急車両は老朽化が進んでいますが、新型特急はどうなるのでしょうか。

中期経営計画に「新宿線特急車両の更新」記載も

 西武ホールディングス(HD)は2023年6月21日(水)、第18回定期株主総会を埼玉県所沢市で開催しました。株主から経営陣へ様々な質問が寄せられましたが、鉄道事業に関しては、西武新宿線に新型特急車両の導入を求める声もありました。


西武新宿線の特急「小江戸」で使用される10000系(画像:写真AC)。

「新宿線には、いつ特急ラビューが投入されるのか。池袋線の特急にはコンセントがついているが、新宿線の特急にはついていない。改善してほしい」

 株主からの質問に対して西武鉄道の藤井高明取締役は「新宿線特急車両の更新については、現時点で具体的な計画は未定です。今後もニーズに応じた運行計画の改善などと合わせて引き続き検討していきます」と回答しました。
 
 現在、池袋線の特急は2019年に登場した001系「ラビュー」で統一されていますが、新宿線の特急は全て1993年に登場した10000系「ニューレッドアロー」で運行されています。特急車両の車内設備に格差が生まれているばかりか、10000系は、101系などの古い車両の走行機器を流用して製造されており、老朽化が進んでいるといいます。
 
 西武HDの2019〜2021年度の中期経営計画には、「新宿線の特急車両更新検討」が盛り込まれていました。西武鉄道によると「新宿線の特急車両更新は、今まさに検討しているところです」(広報部)とのこと。「新宿線特急の車両更新にあたっては、池袋線と新宿線の利用状況の違いも考慮する必要があります。池袋線の特急は沿線に秩父があるため、観光と通勤での利用が半々くらいですが、新宿線の特急は通勤色がより強いという特徴があります」と話します。
 
 現在検討が進められているという新宿線の新型特急車両。10000系「ニューレッドアロー」も約30年が経過していることから、そう遠くない将来に発表があるかもしれません。
 
 株主総会ではこのほか、「西武新宿線は中央線と隣接しているのに、街の規模が大きく違う。打つ手はあるのか」といった質問も。これに対し西武鉄道の藤井取締役は「事業中の連続立体交差事業化を起爆剤として、西武新宿駅と丸ノ内線新宿駅をつなぐ地下通路の整備、拝島ライナーの運行など、グループの総力を結集して新宿線の魅力を高めていきます」と回答しました。