負担軽減のためなら? ベルギーが次世代戦闘機FCASに参画へ 仏大統領「大きな進展」メーカーは難色
ダッソーと揉めない?
仏軍需企業のダッソーが難色を示していたが
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は現地時間の2023年6月19日、パリエアショー2023の開幕に合わせ、第6世代機開発計画である「フューチャー・コンバット・エア・システム(FCAS)」にベルギーが参加することを正式に発表しました。
パリエアショー2023に展示されたFCAS(画像:フランス国防省)。
同計画はフランスのほかドイツ、スペインが参加しており、そのなかにベルギーは直接的な決定権は有しない、オブザーバーとして加わります。「これは大きな進展だ」とマクロン大統領は話します。
また、フランス国防省はベルギーの参加により、欧州色の強い開発が行われるとしています。さらに、現時点で完成までの費用が約1000億ユーロ(約15兆5000億円)かかるといわれている同プロジェクトの予算負担の分散に関しても期待しているようです。
ただ、このベルギー参加を巡っては、企業としてFCASの開発計画に参加しているダッソー・アビエーションCEOであるエリック・トラピエ氏が 5月24日に「なぜ今更、ベルキーに仕事を与えるのかわからない」と発言し、難色を示したことがあります。
理由は、ベルギーが2018年10月に、アメリカ・ロッキードマーチン製のF-35「ライトニング II」を購入したことに理由があるようで、トラピエ氏は「なぜ、F-35を選んだ人たちのために、我々の工場や設計事務所に部屋を作らなければならないのでしょうか」とも発言。政府としては問題なくとも、企業としてどういう対応に出るかは未知数です。
なお、SCAFは2040年の就役を目指して開発を続けていましたが、ダッソーと同じく開発に関わっているエアバスとの摩擦で、2022年は長期にわたり開発が中断するなど、既に問題が発生し遅れも生じています。ダッソーとエアバス間の問題に関しては、2022年12月に計画の任務分担を定めた協定が締結されたことで、ひとまずは収まりましたが、今回のベルギーの参加は、オブザーバーとはいえ波紋を呼ぶ可能性もあります。