JALは2023年3月にスマートフォン決済サービス「JAL Pay」を立ち上げ、ANAは同5月に「ANA Pay」をリニューアルしました。

スマートフォン決済サービスでは、PayPayが圧倒的に強く、他社のコード決済サービスはかなり出遅れている感じです。

そんな中、航空会社のJALとANAがそれぞれのPayを開始したり、リニューアルしたりして勝算はあるのでしょうか?

JAL Payとは?

JAL Payを利用するにはJAL Global WALLET(以降JGW)が必要です。JGWはMastercardのプリペイドカードとなり、日本円を外貨に両替し、両替した外貨を海外のMastercard加盟店で利用することが想定されていました。

チャージ方法は銀行振込の他、住信SBIネット銀行のJAL NEOBANKからの口座振替によるチャージ、JALのマイルからのチャージなどがあります。マイルチャージは1万マイルを1.1万円相当のJGWポイントに交換でき、実質JALのマイルを利用して世界中で買い物ができるようになっています。

しかし、JGWが開始した2018年11月は新型コロナウイルス感染症もなく、基本的には海外旅行や出張で利用する事が想定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で海外に行く事もできなくなりました。

2023年3月に開始したJAL Payは、JGWアプリに表示されたコードを日本国内のSmart Code加盟店(コンビニやドラッグストア、家電量販店などで利用可能)などで読み取ってもらうなどすると、JGWの残高から支払う事ができるサービスです。

コード決済サービスは基本的に国内利用となるため、国内ではJGWのカード不要なアプリを使って決済し、これから増える海外需要としては、これまで通りMastercard利用の2段構えでサービスを拡充したのでしょう。

ANA Payとは?

ANA Payは2020年10月に開始したコード決済サービスです。JAL Payと同じくSmart Code加盟店で利用できます。ANA JCBカードからのチャージでマイルが最大1.1%たまる特典もあります。

このANA Payが2023年5月に大幅リニューアル。これまでコード決済サービスのみの提供でしたが、新たに開始したのはタッチ決済。これまでのANA PayをANA Pay(コード払い)、新しいANA PayはANA Pay(タッチ払い)と分けてあります。今後、ANA Pay(コード払い)は終了予定で、新しいANA Pay(タッチ払い)に組み込まれるようです。

通常、年1回国内旅行するような家庭であっても、ディスカウントチケットを利用すると、たまるマイルはわずかです。3年間の有効期限内に特典航空券(無料の航空券)として利用するのはほぼ不可能。せっかくマイルをためたのに、いつもマイルは失効すると感じている型も多いでしょう。

今回リニューアルしたANA Pay(タッチ払い)の最大のメリットはANAのマイルをチャージして利用できるようになったことです。さらに、1マイル=1円として1マイル単位でチャージできるのがポイント。

チャージしたANA Payの残高はVisaのタッチ決済・iD加盟店、オンラインのVisa加盟店などで利用できます。

国内旅行で500マイルたまれば、500円分としてコンビニでVisaのタッチ決済やiDで利用したりできるため、わずかなマイルも無駄になりません。

また、以前はJCBブランドのみしか対応していなかったクレカチャージもJCBの他、Visa、Mastercard、Diners Clubにも対応するなど使い勝手も向上しています。

2023年5月に新型コロナウイルス感染症も5類感染症に移行し、GWや夏休みの旅行も大幅に伸びています。航空会社は旅行サービスに加え、金融サービスに力を入れることで、マイルで生活できる新たな経済圏を作りだし、一気に業績を回復させるのが狙いでしょう。

菊地崇仁

ポイント交換案内サイト「ポイント探検倶楽部」を運営する株式会社ポイ探の代表取締役。さまざまなポイントやカード情報に精通し、テレビや雑誌等で活躍中。著書に『新かんたんポイント&カード生活』(自由国民社)等がある。