ウクライナ至近に最強戦車「レオパルト2A6」部隊が展開 NATO
中欧の国々への「レオパルト2」戦車の配備、着々と進行中。
従来いちばん重かったのは「ボクサー」装甲車
チェコ国防省は2023年6月8日、スロバキア駐留のNATO(北大西洋条約機構)多国籍戦闘群にドイツの「レオパルト2A6」戦車が配備されたことを明らかにしました。
NATO多国籍戦闘群は2014(平成26)年に起きたロシアのクリミア侵攻を受けて編組されるようになった大隊規模の前方展開部隊です。その名の通り、複数の国々の軍隊で臨時編成された混成部隊であり、当初はバルト海に面したエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドの4か国に1個戦闘群ずつ駐留していました。
しかし、2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻したことで、中央ヨーロッパの国々にも展開させることとなり、2023年6月現在、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアの4か国にも配置されています。
駐スロバキアNATO多国籍戦闘群に配備されたドイツの「レオパルト2A6」戦車(画像:チェコ陸軍)。
そのうちの1つである、駐スロバキアNATO多国籍戦闘群(NATO Multinational Battlegroup Slovakia)は、チェコを主幹にドイツ、オランダ、スロベニアなどからなり、兵力約650人という規模でした。
このなかで最も派遣人数が多く、かつ重装備も数多くそろえていたのがドイツで、従来最も重い戦闘車両は「ボクサー」装輪装甲車だったものの、ロシアの脅威が高まったとして、このたび「レオパルト2A6」戦車が展開することになりました。
増備された「レオパルト2A6」戦車の数は不明ですが、公開された写真を見ると最低4両はある模様です。
「レオパルト2A6」戦車は長砲身の120mm滑腔砲を備え、増加装甲も装着、各種通信装置も最新のものにアップグレードされた「レオパルト2」戦車シリーズの中でも最強のモデルです。
一方、スロバキアもウクライナと国境を接している関係から、現在アメリカやドイツの兵器を導入する流れが加速しています。戦車についてもドイツから中古の「レオパルト2A4」を15両導入することが決まっており、それと入れ替える形で、旧ソ連規格のBVP-1(ロシア名BMP-1)歩兵戦闘車30両を始めとした各種装備をウクライナへ提供すると表明しています。