完成見えてきた“日本海沿い高速” 未開通区間の工事進む「日本海東北道」 お得なルートに?
新潟から秋田まで日本海沿いに縦貫する計画の「日本海東北道」。いまは途切れた区間も長いですが、建設が進んでおり、完成形が見えつつあります。青森へ向かう“第3の縦貫道”はいつ完成するでしょうか。
終点下りたら築堤もりもり 日本海東北道
新潟、山形、秋田の日本海側を貫く「日本海東北道」の建設が進んでいます。2023年6月現在、それぞれの県境部に未開通部があり、完成へ向けて工事が進捗しています。
新潟県内の日本海東北道無料区間(乗りものニュース編集部撮影)。
日本海東北道は北陸道・磐越道と接続する新潟中央JCTから、秋田道の河辺JCTに至る約260kmの自動車専用道で、現在は約190kmが開通しています。北陸道などと一体になり、北東北から日本海側を縦貫する道路ネットワークが形成されます。
新潟方面から北上すると、現在は新潟県村上市の朝日まほろばICが終点。ここから山形県鶴岡市のあつみ温泉ICまで48.0kmが、「朝日温海道路」の名で建設中です。5月下旬に朝日まほろばICを訪れると、延伸区間の築堤やアンダーパス(カルバート)が建設中で、その先までしっかりとルートが見通せるようになっていました。
並行するJR羽越本線が海沿いの“笹川流れ”などを経由するのに対し、日本海東北道は国道7号に沿って山側を進み、県境近くで海へ近づく線形です。ただ、その途中は山また山で、48kmのあいだに大小21本ものトンネルがあります。すでに1本は2020年に貫通済み。そのほかのトンネルも建設が進んでいます。ICは途中に6か所が整備され、国道7号などと細かく連絡する計画となっています。
朝日温海道路は開通見込みが立っていませんが、開通が近づいているのが、山形・秋田県境区間です。
山形県北部の遊佐比子IC〜遊佐鳥海IC間6.5kmは、2023年度の開通予定で、工事はかなり進捗しています。その先の県境部は、秋田県側の小砂川IC〜象潟IC間7.3kmが2025年度、県境の遊佐鳥海IC〜小砂川IC間が2026年の開通目標です。
有料・無料が入り混じるけど結局安いの?
日本海東北道は河辺JCTで秋田道と接続し、そのまま能代、大館方面へと通じています。能代市〜北秋田市の区間では「二ツ井今泉道路」4.5kmが2023年度に開通予定。前後の現道活用区間と合わせ、東北道の小坂JCTまで一応は高規格道路ネットワークがつながることになります。
新潟から日本海東北道、秋田道、東北道を経て青森に至るルートは、法定路線名「日本海沿岸東北自動車道」といいます。日本海東北道や秋田道の区間はほとんどが暫定2車線区間のため、規格やスピードの面では東北道などに劣るものの、距離のうえでは青森・秋田と関西方面の最短路になります。
また、日本海東北道や秋田道は建設の経緯から有料・無料区間が入り混じりますが、いま未開通の区間はすべて無料区間にあたります。
朝日まほろばIC付近の工事区間にて(乗りものニュース編集部撮影)。
東京方面、川口JCTから青森ICまで全て東北道1本で行った場合と、練馬ICから新潟に回り日本海東北道・秋田道経由で青森ICまで行った場合(未開通部は国道7号経由)を比較すると、普通車ETC料金は前者が1万4100円、後者が1万2950円(深夜割引などを考慮しない料金)と多少安くなりました。
時間はかかりますが、日本海東北道や秋田道は国道7号などと密接に連携しており、いくつかあるICを下りてすぐの道の駅で休憩もできます。同じく時間はかかるものの無料区間が多い太平洋側の三陸道経由とともに、東京方面〜青森のあいだで第3の迂回路となるかもしれません。