関西人と関東人で、同じ駅名でも違う駅のことを指している場合があります。特に、互いに繁華街など知名度が高い場合は、誤解を招いてしまうかもしれず注意です。

関西にも関東にもある駅名

 関西人と関東人が会話をしていて、「この駅名は当然この駅のことだろう」と思い込んでいたら、実は違う駅のことで、会話がかみ合わないケースがあるかもしれません。
 
 日本にはこのような「同名の駅名」が無数にありますが、関西・関東でそれぞれ知名度が高く、特に勘違いが起きやすいものがあります。


山手線のE235系電車と大阪環状線の323系電車(画像:写真AC)。

●京橋駅
 大阪ではキタ・ミナミに次ぐ繁華街のひとつで、京阪やJR学研都市線の重要結節点となるターミナル街。東京における池袋駅のように、遊び先や集合場所として欠かせない存在です。

 いっぽう東京では、地下鉄銀座線の単独駅として存在し、周囲は東京駅八重洲口に近いビジネス街となっています。関東人が京橋駅を集合場所に指定することは多くないかもしれません。

 ちなみにアクセントも異なっており、大阪の京橋は「きょ」が高音ですが、東京では「う」で上がるように発音されます。

●日本橋駅
 大阪ではミナミのターミナル駅・なんば駅の東側に広がる電気街・オタク街として名が通っています。また観光スポットである黒門市場の最寄り駅となっています。

 いっぽう東京では、京橋の北側に隣接して広大なビジネス街となっており、高島屋をはじめ商業施設も集積。まさに東京駅周辺エリアを代表する地区となっています。

 どちらも知名度は抜群ですが、決定的な違いが読み方で、大阪では「にっぽんばし」、東京では「にほんばし」となります。読み方でどちらの"陣営"に属するかがバレてしまうこともあり、注意です。ただ関西人でも、オタク街など象徴としての大阪日本橋を「にほんばし」と呼称することがあるため、無用な軋轢は避けるのが吉でしょう。

地元臭が強い駅名も実は…

●元町駅
 大阪に対する神戸、東京に対する横浜…どちらも「開港の地」として、古くから異国情緒がもたらされた都会です。そしてその象徴が中華街ですが、両方とも「元町地区」に存在します。

 神戸の元町駅は、中心ターミナル駅・三宮駅の西側に隣接。ショッピング街の中心地ですが、新快速が停車する三宮駅から徒歩でそのままたどり着く人も多く、JR三ノ宮駅とJR元町駅では利用客数に約3倍の差があります。遊ぶ行先としては「三宮」「南京町」「ハーバーランド」が挙げられ、「元町」の地名を使う人はさほど多くありません。かつては「阪神の各駅停車の終点」として地名が知られていましたが、現在は高速神戸行きに置き換わっています。

 横浜のほうは、東急東横線の行先として「元町・中華街駅」が圧倒的な知名度を誇っています。とはいえやはり日常会話で「あのあたり」に遊びに行く場合は「中華街」「山下公園」などランドマークが使われ、地区名としての「元町」は、首都高をくぐった南側「横浜元町ショッピングストリート」という、やはりランドマークとして狭義に用いられるにとどまっています。

●大宮駅
 関東の大宮駅は言うまでもなく、さいたま市の巨大なターミナル駅であり都会です。いっぽうで関西では、京都市内の阪急京都線に駅があります。

 京都の大宮駅は、中心繁華街にあるターミナル駅・京都河原町から烏丸駅と続いて、西に2駅目にあります。ここまで来ると街の喧騒はおとなしくなり、オフィスとマンションを兼ねたビルが並ぶ、郊外的な風景になります。嵐山行きの路面電車・嵐電はここが出発点です(四条大宮駅)。

●福島駅
 関東人にとって福島駅は当然「福島県の中心駅」ですが、(福島県に馴染みの薄い)関西人にとっては、ごく自然に「大阪環状線・阪神本線の福島駅」と解釈します。

 大阪駅のすぐ隣駅ですが、大阪駅周辺がターミナル街として発展したのに対し、福島駅周辺は通称「福島聖天」のお膝元として古くから参道街が賑わい、独特の下町情緒を形成しています。

 住宅街としてもビジネス街としても需要が多く、2012(平成24)年には大和路快速や紀州路快速の停車駅に昇格。住みやすさかつ大阪・梅田への利便性から、リクルートが実施した「SUUMO住んでいる街実感調査 関西版2020」でも「今後発展しそうと感じる街」のランキングトップに名を連ねています。