新潟駅の高架化に伴う再開発が進み、昭和の大駅舎だった万代口駅舎も消滅しました。そのなかで昭和のまま残り続けているのが、“スイッチバック式”のバスターミナル。独特の風情ある施設は今後どうなるのでしょか。

高架化・南北貫通・旧駅舎撤去…残る昭和のバスターミナル

 日本海側最大の都市の玄関口、新潟駅が大きく変貌しています。2022年に線路が全面高架化され、長年にわたり街の顔となった万代口(北口)駅舎は完全に撤去されました。2023年6月現在、旧駅舎の広大な跡地を含む万代口の駅前広場(万代広場)の整備事業が進行しています。


新潟駅万代口バスターミナル(乗りものニュース編集部撮影)。

 そうした変貌著しい新潟駅万代口で、“昭和”のまま、現在も極めて忙しく稼働している施設があります。新潟交通の路線バスが集まる“スイッチバック式”のバスターミナルです。

 駅前の通りに面した大屋根の下、1〜13の乗り場が横一列に配置されたバスターミナルです。駅前通りからクルマの流れに逆走するように乗り場へ進入したバスは、いったん頭を駅前通りに振ると、誘導員の案内にしたがいバックで乗り場へ入っていきます。バスがズラリと並ぶ様子や、入庫するバス、前進で出ていくバスがひっきりなしに発着する様は見ていて飽きないほどです。

「まさに“昭和の遺物”です。コンパクトにまとまっていて次から次へと発車でき、乗り場間の移動もしやすく、わかりやすさという点ではよいかもしれません。しかし(誘導などの)人手もかかりますし、正直、事故もあります」

 新潟交通の担当者はこう話します。同様の構造のバスターミナルは昭和の時代には多く見られたものの、全国的に数を減らしており、新潟のそれは残存するなかで随一の規模といっても過言ではないでしょう。

 近年になりスイッチバック式が新設されるケースもあるものの、旧来からのものでは、メリットよりも安全面のデメリットの方が目立つ場合があるようです。名鉄東岡崎駅(愛知県岡崎市)北口のように、再開発にあたり狭い土地を有効活用すべく、長年のスイッチバック式を踏襲する予定だったところ、バス事業者のほうから安全面を懸念する声が上がり、計画を見直したというケースもあります。

新しいバスターミナルはどうなる?

 新潟駅のスイッチバック式バスターミナルを代替する新バスターミナルも、その姿を現しつつあります。

 新バスターミナルは、駅の東側、高架下の南北自由通路に隣接して設けられます。2023年3月に歩行者動線が開通し、地上部で南北の行き来が可能になりましたが、その通路の横でバスターミナルが建設されており、6月時点で大まかな構造や乗り場配置などを確認できるほどになっています。

「駅の北側(万代口)と南側とを行き来して乗り換えている方には利便性が高まります。ラッシュ時には(これまでなかった)南北を直通する路線を運行することも検討しています」(新潟交通)。

 このバスターミナルの供用開始は2024年3月の計画で、その頃にスイッチバック式の現バスターミナルも役目を終える予定とのこと。


スイッチバック式バスターミナルは乗り場間の移動もしやすい(乗りものニュース編集部撮影)。

 また、高架下バスターミナルが整備された後は、駅前大通りに点在している中・長距離バスの停留所を集約したバスターミナルも別途、南口側に設けられる見込みです。

 一方、現在のスイッチバック式バスターミナルについても、使用終了後には、跡地開発が待っています。新潟市の駅周辺整備事務所によると、駅舎と現バスターミナルの間にはタクシープール、一般車用駐車場が整備され、現バスターミナルの敷地は主に、一般車用駐車場の一部と歩道になるということです。