“7W”か“UT”かどっちで打つべき?プロキャディが徹底解説!
スコアメイクにもスコアアップにも欠かせないコースマネジメント。教わるなら、ぜひ専門家にと、ツアーでもバリバリ活躍するプロキャディに依頼。マネジメントの必須テクを伝授してもらった!
今回は、国内女子ツアー樋口久子 三菱電機レディスの会場となっている『武蔵丘ゴルフコース』で、数多くのプロのキャディを務めてきた栗永遼さんに解説してもらいました。
罰打がつく箇所は徹底的に避ける!
僕はツアーのオフの期間は、ゴルフ場でアマチュアゴルファーのキャディをしています。そのときは、単にクラ ブを渡したり、ホールの説明や距離を教えるだけでなく
「ベストスコアを更新してほしい!」という気持ちをもってサポートしています。
大事にしているのは、悪くてもボギーに収めること。そのためには、OBや池などのペナルティエリアへは絶対に 打たない、打たせないことを徹底する。それによってベストスコア更新を達成したお客さんは多数いるので、そのマネジメントの仕方をみなさんにもお教えします。
ベストスコアを出す考え方とは?
●最悪でもボギー(+1)で収めるのが基本
●OBなどのペナルティエリアには絶対に打たない
●最初の3ホールでの大叩きを防ぐ
●ナイスショットを求めすぎない
●ベタピンよりも確実に前に進むことを優先
これはダメ思考!
●何も考えずに打ってしまう
●つねにピン狙い
●ミスショットに気を取られすぎる
「No.1/Par5」フェアウェイが狭く見えるティーショット
「視覚的に狭く感じる」に惑わされない
ティーイングエリアに立って、視覚的にすごく狭く見えるホールは景色に惑わされずに狙いを定めてください。 たとえばこのホールは、左右の林が迫っていますが、左右に20ヤードはブレてもセーフ、そんなターゲットをしっかり決めて打てば問題ありません。コースレイアウト図を見て、幅の広いエリアに打つのもオススメです。
「No.3/Par4」OBが近いティーショット
OBがあるサイドにティーアップ
このホールは、左サイドが全部OB。フェアウェイも右から左に傾斜しています。プロでもOBを打ってしまいがちなホールですが、こういうホールのティーショットは立つ位置が大事です。OBから離れた位置(左OBなら右側)に立ちたくなりますが、OBエリア側に立って、ターゲットはOBとは逆サイドに打つ〝対角線〞で狙うと、視覚的にも広く感じるし、実際にコースを広く使えます。
打ち下ろしはなるべく目線を上に!
「No.5/Par4」右サイドの木が気になるティーショット
木から遠ざかる方向狙い
右側に木が迫り出しているホールのティーショットも、対角線で狙うのが◎。右に打ちたくないので、ティーイングエリアの右側に立って左サイドを狙う。持ち球に関係なく、木から遠ざかる方向を狙うことが基本です。
「No.6/Par4」バンカーが気になる打ち上げのセカンドショット
バンカーやその手前も×。グリーンを外しても次打はバンカーが気にならないところに運ぶのが〇。
ちょうどの飛距離よりオーバーめの番手で
グリーン手前のバンカーが気になるホールは番手アップ! たとえば、ピンまで180ヤードあるとしたら、本当はユーティリティで打ちたいところをフェアウェイウッドにして軽く打つ。アマチュアは当たりが薄くなることが多いので、ハザード越えの状況はオーバーを気にせず、絶対にショートしない大きめの番手を選んでください。
「No.8/Par3」グリーン周りに深いバンカーがある
パー3は1打でグリーンに乗せたい。でも、グリーン周りもしっかりチェックしてください。写真のホールはグリーン幅が狭く、とくに蟻地獄のようにアゴが高い左手前のバンカーは絶対に避けたい。こういうときは、気になるバンカーを消すマネジメントをとります。手前のバンカーは確実に越える番手を選び、ピンではなくオーバーしても大ケガにならない奥行の広い方向を狙って打ちます。
絶対にダフらないために高めにティーアップ
「No.9/Par5」刻むか飛ばすか迷うティーショット
バンカーには入れない。2打目付近にバンカーなどのハザードがあるときは、無理せず刻む選択も考える。
刻むことに集中! その次も想像する!
ティーショットは、プロも僕もつねにドライバー? or それ以外のクラブ?と複数の選択肢をもってマネジメントしています。ドライバーではなく刻む選択肢が色濃く出るのは、落下地点にハザードがあるとき。そして、刻むと決めたら狙うエリアへ打つことに集中し、さらに2打目をどうするかまでの計画も立てると、刻んだ結果が大成功へとつながっていきます。
解説=栗永遼
●くりなが・りょう/1995年生まれ、香川県出身。2019年からプロキャディとしての活動を開始。淺井咲希や尾関彩美悠のツアー優勝に貢献。ほかにも片山晋呉や稲森佑貴、柏原明日架など、数多くのプロのキャディを務めてきた。
写真=村上悦子
協力=武蔵丘ゴルフコース