東京都大田区が、「蒲蒲線」と蒲田駅周辺の機能更新を一体的に進めることを目的とした基盤整備の検討に本腰を入れます。

「蒲田駅周辺地区基盤整備方針」を具体化へ

 東京都大田区が、鉄道新線「蒲蒲線(新空港線)」と「蒲田駅周辺の機能更新」を一体的に進めることを目的とした基盤整備の検討に本腰を入れます。


東急多摩川線の車両(画像:写真AC)。

 大田区は2023年5月10日(水)、「蒲田駅周辺地区基盤整備検討支援業務」を委託する事業者を選定するための募集要項を公表しました。2023年6月以降に事業者を決定します。
 
 区は東急多摩川線の蒲田駅と京急蒲田駅を地下線でむすぶ「蒲蒲線(新空港線)」の事業化に向けた準備を進めており、2022年10月に整備主体となる第三セクター「羽田エアポートライン」を東急電鉄と共に設立しています。この新路線が整備されると、約800m離れていた蒲田駅と京急蒲田駅が結ばれ、大田区の東西の鉄道ネットワークが拡充する見込みです。
 
 蒲田駅周辺では、東口駅前地区で市街地再開発準備組合が2020年に設立されるなど、新たな再開発の動きがありますが、駅ビルや駅施設といった基盤施設は老朽化が進んでいます。また、駅利用者の増加によって東西通路が混雑したり、バス乗降場がある道路でバス待ちの利用者と歩行者が錯綜するなど、歩行者動線の面で課題を抱えている状況です。

 さらに、品川駅や大井町駅、川崎駅といった周辺地域で再開発が進む中、蒲田駅周辺整備の遅れを懸念する声もあります。新空港線の実現に向けた機運が高まる中、鉄道新線と蒲田駅周辺地区の整備を一体的に行い、活性化を図ろうというわけです。

 そうした状況の中、区は2022年4月に「蒲田駅周辺地区基盤整備方針」を策定。駅舎、駅ビル、駅周辺再開発などを一体的・段階的に行う基盤施設整備を推進するとしており、今後は方針の具体化に向けた検討を加速させる予定です。
 
 この方針では、現在の駅舎や駅ビルに関して、周辺施設整備と連携して建て替えることで、駅前空間の充実を図ることを盛り込みました。さらに駅ビルと連携し、新たな東西自由通路や北側自由通路を整備することを想定しています。駅周辺街路に関しては、バス乗降場を駅前広場へ集約して道路空間を再編するとしています。