維持費が最強そうな「ディーゼルの軽自動車」ってなんでないの?
燃料代も維持費も安い最強の軽自動車を考えてみた
バスやトラックなど、輸送系の車に多く使われるディーゼルエンジン。軽油を燃料にするため、ランニングコストが安く、低回転域から太いトルクが出るため、重量のある積載物を乗せていても、力強く走ることができます。
近年では、貨物自動車のみならず、乗用車でもディーゼルエンジンを搭載する車が増えてきました。しかし、ディーゼルモデルはミドルサイズからラージサイズの乗用車に多く、コンパクトカーには採用されるケースはほとんどありません。
日本の小さな車と言えば軽自動車ですが、軽自動車のディーゼルモデルは、現在販売されていません。これはなぜなのでしょうか。ディーゼルエンジンを取り巻く環境と、小さなディーゼルエンジンが作られない理由を解説していきます。
電動化に進む前、トレンドはディーゼルエンジンにあった?
2015年に発覚した、フォルクスワーゲンのディーゼル不正事件。いわゆるディーゼルゲートによって、ディーゼルエンジンは根本的な見直しを図られ、現在に至ります。
2022年には、日本でも日野自動車がディーゼルエンジンの認証申請において不正を行っており、大きな話題となったのを覚えている人も多いのではないでしょうか。
現在、自動車の潮流はEVシフトですが、フォルクスワーゲンのディーゼルゲートがなければ、今頃ほとんどの新型車にディーゼルエンジンが搭載されていたかもしれません。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べ、二酸化炭素排出量が少なく、地球温暖化対策に窮する欧州では、温暖化対策の主力商品になるはずでした。しかし、ディーゼルエンジンゲートにより、大きく方向転換を強いられ、現在のEVシフトへ繋がったというわけです。
しかし仮に、ディーゼルエンジンが車の内燃機関として主流になっていた場合でも、ディーゼルエンジンの小排気量化には大きな難がありました。
ディーゼルエンジンの特性は小排気量エンジンに必要な要素と相容れない
小型車でも、車のスペース効率を求められる昨今では、小排気量エンジンの小型化がトレンドです。しかし、ディーゼルエンジンは、そもそも小型化に向いていないエンジンであり、コンパクトカーと組み合わせるのが難しいのです。
ディーゼルエンジンは、圧縮着火型の内燃機関です。ガソリンエンジンと同じように4サイクルで動きますが、ガソリンエンジンは点火プラグに転化させる点火方式をとる一方で、ディーゼルエンジンは燃焼室内で空気をガソリンエンジンの約2倍に圧縮して高温にし、そこへ燃料を噴射して自然着火させます。
このため、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて熱効率が良く構造がシンプルです。しかしその分、高圧に耐えられるように頑丈に作る必要があり、必然的にエンジンは重く大きくなります。
さらに、小さな排気量のエンジンは、エンジン回転数を高くして馬力を稼ぐ必要があります。ガソリンエンジンに比べて、回転数を高くしにくいディーゼルエンジンは、小排気量エンジンにすることも難しいのです。
世界でも類を見ない660㏄のディーゼルエンジン
歴史を紐解けば、小排気量のディーゼルエンジンが無かったというわけではないことが分かります。
ダイハツのシャレードに搭載されたのは1.0Lの3気筒ディーゼルエンジンです。また、ダイハツでは2003年の東京モーターショーでディーゼルエンジンの軽自動車を登場させています。ショーモデルながら、660㏄の2気筒ディーゼルエンジンを搭載する予定でしたが、市販化には至らず、現在まで登場はありません。
海外に目を向けると、インド市場でスズキが800㏄のディーゼルエンジンを搭載した「セレリオ」という車を販売しています。E08A型ディーゼルエンジンと名付けられ、排気量793㏄で、最高出力35kW(47PS)、最大トルク125Nmを発生する珍しいエンジンです。
しかし、日本の軽自動車の規格である660㏄まで排気量を落としたディーゼルエンジンというのは、技術の進んだ今でも登場していません。
軽自動車という規格があるのは日本だけです。そのため、660㏄という基準に合わせて、新開発のディーゼルエンジンをつくることが、コストに見合わないという判断もあることでしょう。
何しろ、小型化・小排気量化と相性の悪いディーゼルエンジン。今後もディーゼルエンジンの軽自動車が登場する期待は、非常に薄いのではないでしょうか。つまり、軽自動車と組み合わせるのは、ディーゼルエンジンよりも電気モーターのほうが相性がよいということです。
