ちょっとした操作なのに作業効率を爆上げしてくれる、6つの超便利な「一発入力機能」をご紹介(写真:MediaFOTO/PIXTA)

「最低限のExcel操作ならできるけど、関数やマクロって聞くと、Excelって難しそう……」 

苦手意識を持つ人も多いExcelですが、Excelのプロである「かりゆし|Excel図解」さんは「ちょっとした操作を知っておくだけで、作業効率が爆上がりするのです」と語ります。 

本稿ではかりゆしさんの書籍『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』から一部抜粋・再構成してお届け。ちょっとした操作なのに作業効率を爆上げしてくれる、6つの超便利な「一発入力機能」をご紹介します。

01・頻繁に入力するからこそ日時は一発入力が便利

Excelでは、しばしば日時を入力する機会が訪れます。特に、表にデータを入力した日時の記録などは、よく使う機会があるでしょう。

日時を入力する場合、カレンダーや時計を見て手作業で入力するのは非効率的ですし、入力ミスや書式の違い(西暦と和暦、12時間/24時間表記など)といったトラブルの原因になることもあります。こんなときに便利なのが「現在の日時を入力する」ショートカットキーです。

日付のショートカットキーは「Control」+「;」(セミコロン)、時間は「Control」+「:」(コロン)で入力できます。もし日付と時間の両方を同じセルに入力したければ、「Control」+「;」に続いてスペースキーを押して半角スペースを挿入し、「Control」+「:」とすれば、「2023/04/15 12:34」のように入力されます。

日時の値にはパソコンの内蔵カレンダーや時計が参照されます。このときに入力された日時は「静的」なデータで、入力した瞬間の値が記録され、勝手に変わることはありません。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

02・罫線もキーボード操作で引けるって知ってた?

表の仕切りを明確にして、可読性を高めるのが「罫線」の役割です。罫線はセルの四辺に描かれる線で、通常はツールバー(リボン)の「ホーム」→「罫線」アイコン、または「セルの書式設定」(「Control」+「1」)の「罫線」タブから設定しますが、マウス操作も多く、面倒です。

実は罫線は、アクセスキーでも入力できます。アクセスキーでは「Alt」→「H」→「B」と入力し、次の入力で罫線を描く方向を選択します。よく使われるものとしては、選択された範囲のセルすべての周囲に罫線(格子線)を描く「A」(All(すべて)の「A」)、罫線を外す「N」(なしの「N」)、選択された範囲の外側だけに線を引く「S」(外の「S」)があります。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

また、ショートカットキーにも罫線に関連するものがあります。「Control」+「Shift」+「_」(アンダーバー)は、現在選択されている範囲のセルの罫線をすべて削除するショートカットで、前述した「Alt」→「H」→「B」→「N」と同等の効果があります。広い範囲の罫線を一度に消したい場合などに覚えておくといいでしょう。

03・文字列を分割・抽出できる魔法「フラッシュフィル」!

たとえば1つのセルに入力された名前を姓と名に分ける、住所を都道府県・市町村などに分割するなど、一度準備したデータを使用目的に合わせて加工しなければならないことがあります。これをコピー&ペーストで1つずつ処理していくのは大変です。

そこで活用したいのが、Excelの「フラッシュフィル」機能です。これはExcelがデータの法則性を見つけると、それに応じてデータを処理してくれるというものです。

例えば氏名が一緒に入力されている名簿のデータを用意し、一番上のデータの隣に「姓」と「名」に分けたデータを作成します。するとExcelは、元データと隣のセルとの関連性を認識するので、1つ下のセルを選んで「Control」+「E」のショートカットキーを押すと、残りのデータにもその関係性を適用し、姓と名に分けて入力してくれるのです。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

実際には人間のように「姓」と「名」を認識しているのではなく、最初の2文字とそれ以降で切り分けているだけなので、3文字以上の姓には対応できないケースもありますが、手動で修正しなければならない量は大幅に減らせます。

フラッシュフィルではこのように、セル内部の文字列を分割する、逆に複数のセルの値を1つのセルにまとめる、数字のカンマを取る、頭文字だけ大文字にするなど、さまざまな法則で利用できます。上手に使うことで、関数を使わなくても、効率的に大量のデータを自動処理できるので、ぜひマスターしましょう。

04・置換と検索はExcelの肝!

Excelで大量のデータを編集する際は、1つひとつ手作業で行わず、できるだけまとめて処理するのが効率的です。こうしたデータの一括処理に便利なのが「検索」と「置換」機能です。

「検索」と「置換」はワープロなどでもおなじみの機能で、書類の中から該当する値を探し出し、指定した値に置き換える機能です。たとえば10年分の販売記録から「キュウリ」の売り上げの項目をすべてリストアップし、それを「ナス」に置き換える、というような作業は、手作業では気の遠くなるような手間と時間がかかりますが、検索と置換を使えば一発です。

「検索」は「Control」+「F」(探す:Findの「F」)で「検索と置換」ウィンドウを表示し、「検索」タブの「検索する文字列」に探したい値を入力して「次を検索」ボタンで実行します。「次を検索」では標準設定の場合、選択中のセルから右方向にセルを調べ、右端まで行くと下の列の左端から右方向に調べていき、該当する値があればそれを表示します(最後まで行くと、先頭のセル(A1)に戻って繰り返します)。検索はデータを改変しないので、何度やっても問題はありません。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

「次を検索」の代わりに「すべて検索」ボタンをクリックすると、「検索と置換」ウィンドウの下側に検索結果がすべてリスト表示され、クリックするとそのセルにジャンプします。何個あるか調べたい場合などは「すべて検索」が便利です。

「置換」は、検索して見つかった値を、指定した値に置き換える機能です。ショートカットは「Control」+「H」で、「検索と置換」ウィンドウの「置換」タブが直接開きます。「置換」タブでは「検索する文字列」に加えて「置換後の文字列」を指定します。「次を検索」ボタンで置換したい値を見つけたら「置換」ボタンをクリックすると、その値が置き換わります。「すべて置換」をクリックすれば、シート内の指定した値がすべて置換されます。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

置換は大変強力ですが、データを改変する機能なので、ミスしたときの影響も大きくなります。Excelは行った作業の取り消し(「Control」+「Z」)も可能ですが、念のため、置換する前にファイルをコピーしてバックアップを用意しておくといいでしょう。

05・条件を選択して見たいデータにジャンプ!

Excelではセルに記録できるのは値だけではなく、メモなども埋め込めます。こうした付随情報は便利ですが、表が巨大になると、探し出すのも一苦労です。このようにセルの値以外の情報を探して表示するには「検索」ではなく「移動(ジャンプ)」機能を使います。

ジャンプ機能は「Control」+「G」で呼び出します。検索したい範囲のセルを選択し、「Control」+「G」を押すと「ジャンプ」ウィンドウ(ダイアログ)が表示されます。ここで「セル選択」ボタンをクリックすると「選択オプション」ダイアログが表示されます。ここで「メモ」を選べばメモのあるセルが選択されます。同様に「空白」セルを選ぶと、値のないセルがすべて選択されます。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

ジャンプ機能はやや地味ですが、大きなファイル内を効率的に移動して編集する際には役立ちます。ぜひ覚えておきましょう。

06・人名も関数もリストから選べば入力ミスが激減!

データの入力で重要なのは正確性です。例えば売り上げの管理など、同じ名前を何度も入力する場合、入力や変換をミスしてしまうと、正確なデータが得られません。こうした入力時のミスを減らすには「プルダウンリスト」を使いましょう。


「プルダウンリスト」は、あらかじめ入力に使用するデータの一覧を作っておき、入力時にはそれをリストから選ぶことで、キーボードを使わずにデータを入力する機能です。

部署のメンバーなど、データの種類があらかじめわかっている場合、非常に効果的です。

プルダウンリストを作るには、まずシート内にプルダウンリスト用の項目を入力します。

続いてリストで入力したい範囲を選択し、ツールバー(リボン)の「データ」タブ→「データの入力規制」をクリックします(アクセスキーは「Alt」→「A」→「V」→「V」または「Alt」→「D」→「L」)。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

「データの入力規制」ウィンドウ(ダイアログ)が開いたら、「設定」タブで「入力値の種類」に「リスト」を、「元の値」にリストにしたい項目の範囲を指定します。

セルの右下に「▼」マークが表示されるようになるので、クリックすると先ほど設定したリストが表示されます。あとは入力時にマウス、またはショートカットキー「Alt」+「↓」でリストを表示して、入力したい項目を選ぶだけです。


(出所:『仕事が10倍速くなる! 見るだけExcelカンタン図解』)

リストは入力ミスを減らすだけでなく、入力速度の向上にも役立ちます。ぜひ活用しましょう。

(かりゆし|Excel図解 : Excelスクール「EXCEL STUDIO」)