2階建ての各階にトイレのある間取り。とても一般的ではありますが、それぞれの目的を考えて、トイレの位置や内装を決めると、いっそう使いやすくなります。掃除のしやすさ、来客への案内、外出&帰宅時のアクセス…。さまざまなシチュエーションで便利。日刊住まいライターが考え抜いた、自宅のトイレのプランについて語ります。

わが家のトイレは2つ。2階はシンプルな家族用

わが家は夫婦、8歳の長男、6歳の二男の4人暮らし。2年前ハウスメーカーで2階建ての注文住宅を建てました。でき上がったわが家の間取りは、以下のようになっています。

1階:玄関、手洗い場、LDK、趣味室(楽器演奏ができる部屋)、トイレ
2階:浴室、洗面所、ランドリールーム、寝室、子ども部屋、トイレ(家族専用、一般的なサイズ)

わが家のトイレは、各階に1つずつ。かなりメリハリをつけて、プランしています。詳しく語っていきましょう。

 

こちらは2階のトイレ。ラクに掃除したいので、TOTOのタンクレスを採用しました。手洗い水栓、トイレのリモコンなどは、ハウスメーカーから提案された標準仕様のもの。天井の照明は、施主支給にして、費用を削減しました。

 

1階のトイレはこだわり満載。動線にも配慮

こちらは1階の間取り図。1階のトイレは手洗い場の隣に設置しました。この手洗い場は、帰宅してすぐ手が洗えるように玄関ホールのすぐ横にあります。

 

1階のトイレは、便器こそ同じですが、2階とはかなり異なる内装に仕上げています。その理由は、リビングダイニングと同じ階にあるので、家族が使うだけでなく、来客にも案内するからです。

壁紙の色使いや照明にこだわりました。ウォールナットや暗いブルーグレーを使って、少し暗めで、落ち着き感を演出。

 

ペンダントライトをつけると、なんとも美しい陰影が壁に生まれます。おしゃれなレストランにあるトイレのような空間。隣接する手洗い場とも、色に統一感を持たせています。

来客にも大好評! 筆者がInstagramでトイレを紹介したところ、設備や仕上げになにを使っているか質問をいただいたこともあります。このトイレは、筆者もお気に入りの場所となりました。

 

1階トイレの間取りや設備で、こだわった3つのこと

1.玄関の近くに配置した

こちらは玄関土間からの眺め。奥でライトが光っている空間がトイレです。この場所にあると、出かける際、また、帰宅の際に、すぐアクセスできてとても便利。

なぜかわが家の息子たちは、帰宅と同時にトイレに直行する傾向が。家に帰るとホッとするからでしょうか(笑)。トイレの場所を家の奥にしなくてよかった!

 

玄関とトイレ隣の洗面所は、写真のような位置関係(写真はリビングの出入り口から玄関を見たところ)。玄関から直接トイレに行ける動線になっているので、来客に家の奥を見せなくてすみます。

トイレの音が届きにくい、というメリットも。LDKからトイレの位置が離れた間取りになっているので、家族はもちろん、来客もリビングにいる人に気兼ねなくトイレが使えます。

 

2.手洗い場をあえて別に。使い勝手をよく&コストも削減

筆者は、トイレ掃除が好きではありません。なるべく掃除をラクしたい。そこで、ふき掃除がしやすいタンクレスの便器を採用。そして、トイレ内の洗面ボウルはなしにしました。存在しなければ、洗う必要がないからです。

その代わり手洗い場を、トイレに隣接して別につくることに。かつ、帰宅直後に利用する手洗い場と兼用とすることで、掃除する洗面ボウルを1つ減らしました。ついでに、費用も浮きました!

ただ、ここは賛否が分かれるところ。設計士にも言われましたが、個人の衛生面への意識で感じ方が違うそうです。「トイレ室内で手洗いを終わらせてほしい」という人がいる一方で、お店のトイレのように、「トイレの外でも気にならない」という人も。

しかしいずれにせよ、掃除をする筆者の立場からすると、1つでも掃除する場所が減ってうれしいです。

 

ちなみに、洗面ボウルを減らしたことで、トイレ室内の棚の中は広々。本来このカウンターの一部は洗面ボウルになっていたはず。水栓のための配管がないので、その分たっぷり収納スペースができました。とても効率的な空間です。

水栓を減らすと収納に当てられるスペースが増える、というのは目からウロコでした。

 

3.広々したサイズに

小さな子どもがいると、トイレのお手伝いが必要です。そこで、子どもと一緒に入っても狭くないサイズにしました。カウンターを除く有効な床面積は約1畳。開閉の際にジャマにならないよう、スライドドアを採用しています。

おかげで、子どものお手伝いをするときに、ドアをあけっ放しにしなくてすみます。玄関前だから余計にドアを閉めて使いたいところ。

実際、このサイズにしてよかったと感じています。これだけ広さがあると、子どものつき添いだけでなく、車イスを使う方も使いやすそう。

暮らしてから、予想外だったこと

●コンセント位置について

明かり取りの窓もあり、一般的なサイズより少し広いため、わが家のトイレは冬、とても寒くなります。対策として、足元にヒーターを置くことに。この際のコードの取り回しが、見た目がイマイチなのです。

間取りを考えた際、トイレに複数のコンセントをつくる、という発想がありませんでした。せっかく空間にゆとりがあります。トイレの入り口付近に、別でコンセントをもう1つつけても便利だったかなと感じました。

 

●照明が暗くて、当初は子どもが怖がった

おしゃれなレストランにあるような、薄暗いムーディーな雰囲気にしたくて(笑)、照明はペンダントライト1つだけに。照明位置は、便座に座ったときに眺められるように、入り口横に設置しました。

 

こちらが実際の夜の様子。狙った通りの雰囲気になったのですが、便座からは光が遠くて、夜は思った以上に手元が暗い…。引っ越し当初、子どもが怖がって入ってくれず、また、大人も慣れるまで違和感を感じました。

さすがに2年暮らしているので、大人も子どもも慣れましたが、「失敗したかも!」と当時はヒヤヒヤ。壁紙の色が暗く、照明が便座付近を照らしていないことも悪影響に。

ちなみに日中のトイレ内は、窓があるので十分な明るさがあります。

以上、わが家のこだわりトイレをご紹介しました。新築を建てる方、リフォームを考えている方は、ぜひ筆者の体験を参考にしていただけたら幸いです。