子どもが巣立つなどして、これまでよりも小さな家への住み替えを考える人も多い50代。60代のミニマリストでカナダ在住のブロガー・筆子さんも、50代のときに、これまでよりも小さな家へ引っ越しをしたそう。

筆子さんの最新刊『50歳からのミニマリスト宣言!』(扶桑社)より、小さな家に住み替えるメリットをご紹介します。

60代ミニマリストが、小さな家に引っ越して手に入れたもの

賃貸派で、カナダに来て以来、ずっと家を借りて住んでいるという筆子さん。

「娘が生まれてからはいつも一軒家に住んでいましたが、2014年、娘が高校生のとき、ベースメント(半地下)のみの住まいに引っ越しました。カナダの家は、メインフロア(地上の階)にベースメントという構成です。それまで家を丸ごと使っていたのが、半分になりました。敷地も前より狭いので、実際は半分以下です。多少便利な場所になりましたが、スペースは大幅に減少。しかし、引っ越してすぐにラクになったと感じました」

小さな家に引っ越してよかったことを教えてもらいました。

●家賃と家事の負担が減った

筆子さんは、これまでよりも交通の便のいいところに引っ越したにもかかわらず、家賃が安くなったそう。

「差額は月に2万〜3万円というところです。家が狭いし、メインフロアの人と光熱費を折半するので、こちらも下がりました。スペースが限られていて大きな家具は置けないため、余計なものを買いにくくなり、この点でも出費が減りました」

出費が減っただけではなく、こんなメリットも。

「居住スペースが半分以下になったので、掃除がラクになりました。以前の家のリビングはフローリングだったので、毎日ぞうきんがけをしましたが、現在はカーペット敷きなので、たまに掃除機をかけるだけ。自分の部屋は、ペットの毛を取るためのゴムのほうきで掃いています。

庭に物干しをするスペースがないので、洗濯ものは洗濯機の奥にある小さなスペースに干しています。干すのも乾いたものを取り込むのも、とても簡単です。以前は、洗濯機は階下(ベースメント)にあったので、洗濯ものを持って階段を上り、それから外に出てロープに干すという、今思うと重労働をしていました」

●器が小さいとものが増えない

さらに、「小さな家は収納スペースが少ないので、余分なものがたまりにくい」と話す筆子さん。

「多くの人が、さして大事でないものを捨てずにいつまでも所有するのは、収納場所があるからです。夫は私とは違い、これまでの人生で関わりのあったものを、なんでもかんでもとっておくタイプです。しかし、持っていたものすべてを今の家に持ち込むことは物理的に不可能だったので、さすがの夫も引っ越し前はたくさんものを捨てました。引っ越し後も夫の捨てる作業は続き、夜な夜な古い書類をシュレッドしています」

●家族の時間が増える

筆子さんによると、こんな意外なメリットもあったそう。

「広い家だとそれぞれが自分の部屋を持ち、バラバラに暮らしがちですが、小さな家なら同じ部屋で過ごす時間が増えます。

以前住んでいた家の隣に、両親と息子さんの3人家族が、大きな家で暮らしていました。当時、流行っていたテレビドラマを3人とも毎週楽しみにしていましたが、一緒に見ることはせず、各自の部屋で見ていたそうです。この話を聞いて、『一緒に見ればもっと楽しいのに』と思いました。電気代ももったいないですよね。

わが家では娘が家にいたとき、夫と一緒に居間で恋愛系のリアリティショーを見ながら、ああでもない、こうでもないとうるさかったものです。私は仕事をしながら、背中で二人の声を聞きつつ、時々『ふふふ』と笑っていました」

 

筆子さんの新刊『50歳からのミニマリスト宣言!』(扶桑社)では、ここで紹介した以外にも、ミニマリストになってよかったことや、上手なものの減らし方、体と心の健康を保つコツなど、これからの暮らしに役立つ内容をたっぷり掲載しています。